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米政権の高速鉄道網構想に地方自治体が呼応

 ワシントン(ウォール・ストリート・ジャーナル)米国に高速鉄道網をめぐらせるため、連邦政府が仕掛けた地方自治体刺激策が動き始めた。24日には複数の州が、旅客鉄道プロジェクトに向けて数十億ドル規模の補助金を連邦政府に申請した。

 カリフォルニア州運輸省によると、同州だけで42件、総額11億ドルを申請した。バージニア州では、交通量の激しいワシントンの南部を走る高速道路「I-95」に平行させて全長1140万マイルの鉄道路線を敷設する計画があり、そのための7500万ドルを申請している。ノースカロライナ州は、州都ローリーから北に向かう旅客鉄道を高速化する事業など6つのプロジェクトに充てる総額7600万ドルを申請した。

 連邦鉄道管理局(FRA)のジョセフ・サボー氏によると、補助金の交付は9月下旬、あるいは10月上旬に始まるという。

 州政府自身がどの程度の資金を拠出するのかによって、今後のFRAの決定が変わってくる。ノースカロライナ州運輸省では、連邦政府に申請した金額のほか、州政府も1660万ドルを投じる。またカリフォルニア州運輸省も「1976年以降、州間鉄道サービスに18億ドルを費やしてきたが、有権者は昨年、州政府が高速鉄道サービス向けにさらに90億ドルを借り入れることを認めた」などとアピールしている。

 にわかに鉄道サービス向上への熱意が高まっている米国だが、鉄道において欧州や日本に追いつける公算は小さい。日本や欧州では旅客鉄道が最高時速200マイルで走るが米国では79マイルを超えることはない。旅客列車が貨物列車と同じ線路を走るからだ。80億ドル規模の景気刺激策から支出される補助金はこのような鉄道の改革に充てられる。

 連邦鉄道管理局のサボー氏は「高速道路システム構築が数十年を要して行われているのと同じように、鉄道プロジェクトも長期の取り組みとなる」とし「まだ著についたばかり」と述べた。「どの州も補助金の獲得に熱心で、競争心を燃やしているが、勝敗の問題ではない。単なる始まり過ぎないことを認識すべきである」としている。

 向こう数年間は連邦政府の負担が大幅に増加する可能性がある。連邦議会は来年の歳出法案に、高速鉄道プロジェクトに向けた40億ドルを盛り込むことを検討している。サボー氏は「FRAは国民の旅行に革命を起こすつもりだ」とも語った。

 補助金の獲得を狙う各州政府も思いを同じくしている。イリノイ州政府は、シカゴ・セントルイス間のアムトラックの走行時間を現在の5時間半から、4時間に短縮したいと目論む。両都市間の電車移動を自動車よりも速くするためには、4時間を切ることが前提になる。

 イリノイ州政府高官は、ネブラスカ州の貨物鉄道会社ユニオン・パシフィックとともに新たな計画に取り組んでいる。同社のボブ・ターナー上級副社長によると、計画とは現在の路線に平行して貨物列車用の側線を敷設し、旅客列車が追い抜けるようにすることだという。

 ターナー上級副社長は、「われわれの目標は、“このままでも企業として成長できるにもかかわらず、何故に列車を高速化するのか”という疑問に答えることだ」と述べている。

 24日に提出されたプロジェクトの大半は、既存の都市間路線サービスの漸進的な改善に充てられる。新路線および時速110マイル超の高速鉄道サービスに関しての申請期限は10月上旬である。

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