【第88回】 2009年07月30日
民主党マニフェストに“ダメ出し”するのがメディアの仕事か?
一昨年の参院選公約と比べれば政策の実施時期を特定し、財源も具体的になった点では前進だ。だが、国の総予算207兆円の組み替えで巨額の財源を本当に確保できるか、との疑念が依然残る〉(読売新聞/7月28日社説。
こうした論調に筆者は違和感を持つ。筆者は民主党員でもなければ、民主党支持者でもない。だが、野党である民主党のマニフェストの実現性に疑問を投げるこの種の「社説」や「テレビ解説」をどうしても理解できないのだ。
そもそもマニフェストは、実現可能性を問うものではなく、将来の政策を示し、その達成度合いをチェックするための指針なのである。よって、メディアに期待されるのは、未来の実現可能性を問うことではなく、現実(過去の)のマニフェストの達成状況を検証することではないか。
つまり、2009年の「民主党マニフェスト」よりも、2005年の「自民党マニフェスト」をチェックするのが先なのである。
相変わらず政府のプロパガンダにそのまま乗せられた報道姿勢には、あきれるというよりも笑ってしまう。
まだ打席に立っていない
民主党の三者凡退を語る愚
すべての新聞やテレビは、郵政選挙マニフェストを、もう一度確認した方がいいのではないか。次のようなたとえ話で説明しよう。
1955年以降、自民党は実に長い間バッターボックスに立っていた。93年の一時期を除いて、責任政党として日本の発展に大きく寄与してきたのは紛れもない事実である。
だが、いまや、その長かった攻撃も終わろうとしている。鳩山一郎首相から数えて、25人の首相がバッターボックスに立ち、ヒットを打ってきた。だが、二回の表の攻撃は、麻生首相という打者の凡打に終わるのは確定的なのだ。
総選挙後には自民党は野に下るだろう。それは、16年ぶりに野党がバッターボックスに立つことを意味する。
自民党の選手や応援団からしてみれば、二回の裏に臨む民主党の打者たちに対して、「三振」や「凡打」を期待し、野次を浴びせるのは当然である。
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著者プロフィール
- 上杉隆
(ジャーナリスト)
1968年福岡県生まれ。都留文科大学卒業。テレビ局、衆議院議員公設秘書、ニューヨーク・タイムズ東京支局取材記者などを経て、フリージャーナリストに。「宰相不在 崩壊する政治とメディアを読み解く」「ジャーナリズム崩壊」「官邸崩壊 安倍政権迷走の一年」「小泉の勝利 メディアの敗北」など著書多数。最新刊は「世襲議員のからくり」(文春新書)。
この連載について
永田町を震撼させる気鋭の政治ジャーナリスト・上杉隆が政界に鋭く斬りこむ週刊コラム。週刊誌よりもホットで早いスクープ情報は、目が離せない。
「お腹の調子が悪い」と政権を投げ出した安倍首相。「あなたとは違うんです」と逆ギレして職を辞した福田首相。そして漢字と空気が読めず政権崩壊寸前の麻生首相。この国の政治の混迷とメディアの体たらくを上杉隆が斬る。1500円(税込)
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