2009年4月16日
15日から放送されているドラマ「アイシテル~海容」(日本テレビ系)で稲森いずみさんは7歳の少年を殺してしまった10歳の少年の母を演じる。精神的にもつらい役どころで、撮影オフの時も「買い物に行く気になれない」と自分を追いつめるところもあるが、女優の仕事は「その役を通して、他人の人生を生きられることがつらくもあり、楽しくもある」とやりがいを感じている。【細田尚子】
稲森さんは、役が決まるとその人の立場で物事を考え、「この人なら、日常でこういう動き方をするんじゃないか」と自分の中に徐々にインプットしていきながら役作りをするという。しかし、今回の母親役は「考えただけでも苦しいし、切ない。(事件の後)警察で初めて子供の顔を見た時、どういう顔をするんだろうと、いままで経験したことのない気持ちを探るのはすごく難しかった」と明かす。
結婚も子育ても実生活では未経験で、「まず(息子役の)小学校5年生がどのくらいの大きさ(身長)なのか、どれくらい(心が)大人なのか、どんな発言をするのか分からなかった」と話す。「子供のいる知り合いや周囲の経験者に聞いて」、役づくりを進めた。「家族がテーマなので、感情移入はしやすかった」と振り返る。
「アイシテル」はマンガ誌「BE-LOVE」(講談社)で連載された伊藤実さんのマンガが原作。出演が決まり、原作を読んだ稲森さんは「すごく感動しました。ずっと涙が止まらなかった」。そして「考えさせられる作品で、やりがいを感じるし、(きちんと演じなければという)使命感も感じた」という。実際に演技をしてみると「大げさ過ぎるとおかしいし、逆に表現を小さくすると違うニュアンスに取られてしまう。(バランスの)難しさを感じています」と明かした。このドラマを見て「本当に子供に向き合って理解しているか。『好きだよ』とか『愛してる』と言葉に出して家族で言い合ってほしい」と“家族のきずな”の再確認を勧める。
女優の仕事は「役を通して、他人の人生を生きられることはつらくもあり、楽しくもある」という。「本当に私が感じた、心が揺れたことを表現するしかない」と全身全霊で役に向かう。ドラマは始まったばかりだが、「1話分撮っただけでも、ものすごく長く感じる。終わるころには2、3人分の人生を生き抜いた感じになって、やり切ったことによって、私の中にいい変化が表れるのではないかと思っています」と期待する。今は母親役にどっぷりつかっているが、オフやリラックスしたい時間には、どんなことをしているのか。次回、稲森さんの“オフの顔”を紹介する。
<プロフィル>
1972年3月19日、鹿児島県出身。モデルとして活動後、94年、ドラマ「上を向いて歩こう!」で女優デビュー。「29歳のクリスマス」や「ロングバケーション」などのヒットドラマに出演。98年に「ハッピーマニア」でドラマ初主演を果たした後も、ドラマや映画、舞台などで幅広く活躍している。08年にはNHK大河ドラマ「篤姫」に大奥総取締役・滝山役で出演。5月に公開する映画「THE CODE」に上海の歌姫役で登場している。日本テレビ系ドラマ「アイシテル~海容」(15日から毎週水曜日午後10時~)では加害少年の母親役で主演する。
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