2009年8月6日
若手実力派の女優、貫地谷しほりさんが1日、ユーロスペース(東京都渋谷区)で公開されたチェコの人形アニメ「屋根裏のポムネンカ」(イジー・バルタ監督)の日本語吹き替え版で、主人公の人形「ポムネンカ」役で声優に初挑戦した。07年のNHK連続テレビ小説「ちりとてちん」で主演、放送中のドラマ「ブザー・ビート~崖っぷちのヒーロー~」(フジテレビ系)にも出演するなど、ドラマや映画の話題作に引っ張りだこだ。声優の仕事は「お芝居の比じゃないくらい緊張しました」と、初体験に戸惑いもあったが、思い切り楽しんだという。【細田尚子】
「屋根裏のポムネンカ」は、住んでいる人たちに忘れられたガラクタたちが活躍するチェコの人形アニメ。ポムネンカは普段は心優しい屋根裏の人気者の人形だが、いざとなると悪者たちと戦うおてんばな面を持つ。ある日、ポムネンカが悪の銅像に捕らえられ、粘土でできたシュブルトや壊れたあやつり人形のクラソンら仲間たちが彼女を助けようと冒険の旅に出るという物語。
映画を見て貫地谷さんは「すごく人形が可愛いかった。なんだろう、この愛らしさはって。キャラは全部好きなんですけど、(粘土でできた)シュブルトが、クシャっとされても自分で立ち直る姿が、めちゃめちゃ可愛いなって思いました」と、テーブルの上に置かれたシュブルトとクマのぬいぐるみのムハを触りながら、自然と笑みがこぼれる。「見ていて心がほっこりするというか、大人が見ても楽しい。(CGアニメ全盛の時代に)こういう手作りのものが改めて“新しい”って感じられると思います」と絶賛する。
声優は初挑戦で「スタジオに入ったらドキドキしました。お芝居の比じゃないくらい緊張しました」というが、完成した作品はとても落ち着いた大人っぽい声を出している。「(日本語の)台本と照らし合わせながら、チェコ語の映像を見ていたんですけど、ポムネンカの声がすごく(予想より)低くて。現場では『あまり作ろうと考えないで、素のままやってくれればいいから』とディレクターさんから言われ、ちょっと照れながらも普段のままでやりました」と振り返る。「滑舌(かつぜつ)をよくするのが難しかった」というが、吹き替え版の完成作は「ちょっとまだ恥ずかしい感じがするんですけど、冷静に見られるようになるまで、何度も見ようと思います」と話す。
悪の親玉フラヴァの声を担当した俳優の佐野史郎さんが、貫地谷さんより先に録音すると聞いて、スタジオをのぞかせてもらった。「佐野さんからは『とにかくすごい監督の作品だから』って言われて、すごい世界に来ちゃったなという感じはしてたんです。完成した作品を見ると、非日常なんだけど日常っぽいというか、不思議で可愛い世界観の中に入れて、とても楽しかったですね」という。3月にジャパンプレミアのため来日したバルタ監督と対面し、「めちゃめちゃカッコいいんですよ。この間、『最近ときめいた出来事はなんですか?』と聞かれて『60歳のチェコ人です』とか言ったくらい。でも、妻子持ちらしいですけどね」と笑顔を見せた。今後は「二次元のアニメの声もやってみたい」と目を輝かせる。
女優の仕事は「テレビも映画も、どちらの仕事も好きです。テレビはたくさんのカメラで1回撮ったらOKで、それは1回勝負で楽しいし、映画は同じ芝居を同じ角度で何度も撮ったりして、時間をかけてぜいたくに撮るというスタンスがすてきだと思うし、どちらもいいところがいろいろとあります」と前向きに取り組み、今後も「どちらの仕事も続けていきたい」という。
次回は、忙しい女優業の合間も「家の中にじっとしてられない」という貫地谷さんのオフの顔を紹介する。
<プロフィル>
1985年12月12日、東京都出身。05年にフジテレビ系「大奥~華の乱」、06年にテレビ朝日系「氷点」などのドラマに出演後、07年に大河ドラマ「風林火山」に出演。オーディションで選ばれ、同年10月からNHK連続テレビ小説「ちりとてちん」で初主演。現在はフジテレビ系の月9ドラマ「ブザー・ビート~崖っぷちのヒーロー~」に出演している。2010年の大河ドラマ「龍馬伝」の出演も決まった。主な映画は「スウィングガールズ」(04年)、「愛の流刑地」(07年)など。8月22日公開の妻夫木聡さん主演の日韓合作映画「ノーボーイズ、ノークライ」にも出演する。8月1日からユーロスペース(東京都渋谷区)ほか全国で順次公開するチェコの人形アニメ「屋根裏のポムネンカ」(イジー・バルタ監督)の日本語吹き替え版で声優に初挑戦した。
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