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天声人語

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2009年8月24日(月)付

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 30日は仕事なので、一足先に選挙権を使ってきた。区役所の出張所にできたばかりの投票所には絶え間なく人が訪れ、暦が1週繰り上がったかのようだ。昨日の朝日川柳の一句が浮かんだ。〈待ちきれず期日前投票に行く私〉▼各紙の情勢調査は「民主党圧勝」である。議席の予測は、小紙「300うかがう勢い」、読売「300超す勢い」、毎日「320超す勢い」。掲載が後になるほど「勢い」が増している。片や自民党には「半減」の悪夢が忍び寄る▼郵政選挙で「純ちゃんブーム」に乗った無党派層が、大挙して「政権交代ムード」に身を任せたかに見える。大盤振る舞いの公約に不安を覚えつつも、いっぺん民主にやらせてみると思い定めた人が結構いるらしい▼風の変化が増幅される小選挙区制の、自民には災い、民主には恵みである。それが4首相でつないだ4年間への審判、我慢の爆発ならば、今さら「ムードに流れる大衆」とくさしても始まらない。前回「ブームで300議席」の自民に、そもそも嘆く資格はなかろう▼あと6日、この風は変わらないのか。新聞の予想に対し、麻生首相はきのうのテレビで「1日2日で全然違います」と巻き返しを誓った。油断を恐れる民主党の鳩山代表も、同じ番組で「メディアが乗りすぎている」と、両者が一致した▼報じたことの虚実は時が検証しよう。報道に身を置く者にも、この戦後史の山場は勝負時である。久しぶりに、いや初めて「歴史」に関与している感慨を覚える。コラム書きではなく、一人の有権者として。

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