スポーツは地域の力地方企業が地元のプロスポーツを支援する動きが広がっている。利益は度外視し、「広告塔」としての効果を狙うケースが多いが、著名選手を擁して、ビジネス面で急成長を果たしたチームも現れている。どの企業にも共通するのは、「地域を元気にしたい」という思いだ。 宇都宮市 人気アップで経済効果日本リーグに所属するプロバスケットボールチーム「リンク栃木ブレックス」(宇都宮市)。今季終了後の3月15日に市体育館で開かれたファン感謝デーには約1300人が集まった。 徹底した地域密着が信条だ。試合のない平日には、選手は練習の合間に学校訪問や地域行事、トークイベントなどに参加する。その件数は2007年のチーム設立から2年間で300回。リクルート出身の山谷拓志社長は「地域活動はプロチームで最多のはず」と胸を張る。 今季は、日本初のNBA(米プロバスケットボール協会)プレーヤー、田臥勇太選手が入団し、人気、実力とも急上昇した。観客数はリーグで初めて、ホームとアウェーの合計で10万人を超えた。 運営会社の09年3月期決算の売上高は3億6000万円と前期比2・7倍と急増し、このうちチケット収入は6・7倍、広告収入は2・1倍を記録した。 県経済への波及効果も大きい。山谷社長は「全国のファンが地域で消費し、地場企業がグッズを製作している。10億円はあるだろう」と推測している。(宇都宮支局 工藤圭太) 高崎市 減益でも厚い支援野球独立リーグ・BCリーグの「群馬ダイヤモンドペガサス」(高崎市)は、11日の開幕戦を勝利で飾った。前橋市内の球場に詰めかけたファンの声援に手を振って応える選手たちのユニホームには、緑と黄色のセキチュー(高崎市)の企業ロゴが躍っていた。 関東地方で27店のホームセンターなどを展開する。07年の球団発足以来のスポンサーの1社だ。 国峯真澄経営企画部長は「球団の『群馬を元気にするぞ』という精神が気に入った。会社の利益は度外視」と笑う。本業が減益を見込む今シーズンも、同社は球団への支援額を増やしている。 選手が無給となるオフ期(11〜3月)には、店舗近くに住む8人の選手にアルバイトの場を提供した。重い資材の運搬などの力仕事も進んでこなした選手のバイト姿はインターネットで話題になり、商談が野球の話で盛り上がる効果もでている。 選手側も嫌なことがあっても笑顔を絶やさない店員から“プロ根性”を学びとったという。(前橋支局 植竹侯一) 大津市 地元100社がスポンサー男子プロバスケットボールbjリーグの「滋賀レイクスターズ」(大津市)は、滋賀県に本拠を置く初のプロスポーツチームだ。特定の大手資本に頼るのではなく、隣の京都府を含め、中小・中堅企業を中心とした約100社が、年間5万〜数千万円を協賛金や広告費として拠出する。運営会社の坂井信介社長(40)は「無理のない範囲で支援してもらっている」と感謝する。 メーンのスポンサーは、学習塾の成基コミュニティグループ(京都市)。ユニホームにグループ2社の名前を入れた。佐々木喜一・グループ代表(50)は「滋賀での知名度を高める効果は想定以上だ」とほおを緩める。 約2億円の運営費は、スポンサー収入のほか、ホームゲームの入場料収入とグッズ販売でまかなう。収支は、「収入をあと3割増やせば黒字になる」(坂井社長)水準にきているという。(大阪経済部 向野晋) (2009年4月20日 読売新聞)
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