リテーナ成形法とは
板付け蒲鉾を特殊フィルムで包装した後、かまぼこ型リテーナ(金型)に入れて加熱殺菌する製造方です。
簡易真空包装のため、二次汚染などの細菌汚染が少なく、保存料などを使用しなくてもよい、
保存性にすぐれた製造方法です。

リテーナ成形ができるまで
それまでの蒲鉾製造方は、地場で水揚げされた魚をさばき、
水さらし、らいかい、手付けと言う工程でかまぼこを製造していました。
当時は現在のように便利な流通手段が少なく、クール便もありませんでしたので、
昭和30年頃までのかまぼこは傷みやすく地元消費が主で生産量も現在に比べ少なかったです。
蒲鉾が傷みやすく、長距離輸送に耐えられない事に悩んでいた創設者である竹中
徳四郎が、
寝ずに考えてできたのが、円柱のビニールに板とすり身を入れ、かながたと言う型枠で形成するものが
原案として出来たと言われています。
この原型にたどり着くまでに何年も考え試作しては失敗を繰り返し、
現在のリテーナ成形かまぼこと言う、型枠の中で包装・成型・蒸気過熱殺菌をするものができました。
リテーナは加熱後の汚染が少なく品質が安定し保存性にすぐれていた為、
その当時の流通でも十分に対応できたため、とくに山間部などや県外出荷が可能になり、
商圏拡大に繋がりました。
リテーナの研究は主に昭和30年代前半から始まり昭和30年代後半には特許申請をしていました、
特許申請をしたのが竹中 徳四郎の長男である竹中 繁で、実際の特許証に記載されている名も、
発明者 竹中 繁になっています。
当初は特許を取得するつもりは無かったそうです。
ですがその当時の金型を造っている鉄工場の社長がリテーナのアイディアを他の
かまぼこ屋に売ろうとしたため、このままでは同業者がその工場にお金を払ってかまぼこを、
造らなくてはいけなくなると思い特許申請をいたしました。
所得後すぐに竹中 徳四郎の言葉である
「みんなが食べる食品だからこそ、みんなが造れなければならない」
という言葉を受け、現在の全国蒲鉾水産加工業協同組合連合会に
特許を無償で寄贈いたしました。
これにより全国の蒲鉾業者が特許料を払うことなく著作権フリーでリテーナ成形かまぼこを
生産することが出来るようになりました。
タイミングよくスケトウダラの冷凍すり身が登場し原料入手が容易となったため、
またたく間に全国へとリテーナ成形かまぼこは普及していきました。
リテーナ蒲鉾を製造する段階で急に過熱すると成型したすり身が膨張しすぎるため、
それを防いだ製造方法が「すわり」技術です、竃x川(当時、堀川蒲鉾工業梶j
創設者である故堀川 兵三朗氏が同時期に発案されています。
現在では、保存料やペーハー調整剤などの添加物を入れなくても良い、保存性の高い技術のため、
病院食・介護食・学校給食などに多く用いられています。
その他 雑学
*素人が申請したため何度も書き直した説明文書が現在も保管されています。
最終的に昭和41年9月5日に出願し、昭和49年4月30日に
特許第726974号
包装板付蒲鉾 を所得いたしました。
*特許証での名称は「包装板付蒲ぼこ」です。
*山高のくずれを防止するために開発されたわけではありません。
*形が崩れにくいので、水や澱粉を多くいれて安い蒲鉾を作る技術ではありません。
*昭和49年には社団法人 発明協会から「発明奨励賞」をいただきました。
*昭和48年にも包装細工型蒲鉾の特許709567号も所得しています。
*リテーナの名前を付けるとき、自分の名前でもよかったが、恥ずかしかったのでリテーナにしました。
|