福岡県警の警察官による飲酒運転ひき逃げ容疑事件で、危険運転致傷などの疑いで送検された小倉南署の巡査部長古賀達雄容疑者(49)が、対向車と衝突するまでブレーキを踏んだ痕跡がないことが27日、捜査関係者への取材で分かった。県警は、泥酔していたため衝突まで対向車に気付かなかったとみている。
事件は24日午後8時10分ごろ、同県飯塚市鯰田(なまずた)の国道200号で発生。古賀巡査部長は、国道を逆走し、自車の右前方と50代女性が運転する車の右側面を衝突させ、女性にけがを負わせた疑いを持たれている。
捜査関係者によると、現場には古賀巡査部長の車がブレーキをかけた跡がなかった。古賀巡査部長の車は、衝突で右前方のタイヤが車体カバーからはみ出して動かなくなっており、このタイヤが引きずられたような跡は衝突地点から残っていたという。
県警によると、古賀巡査部長は自宅から約9キロ離れた同県飯塚市の居酒屋で、24日午後6時ごろから約1時間半にわたって飲酒したとし「ビール中ジョッキ3杯、冷酒3合を飲んだ」と供述。車で帰宅しようとしていたが、自宅とは反対方向に国道を逆走したという。
同日午後8時すぎには居酒屋から約1.5キロ離れた同市鯰田の県道で、古賀巡査部長の車に似た白いセダンが軽乗用車に接触する当て逃げ事故が発生。その後、国道200号沿いの飲食店駐車場から白いセダンがバックで路上に出て国道を逆走する様子が、トラック運転手の男性(31)に目撃されている。ひき逃げ事件は直後に起きた。県警は、当て逃げ事件との関連も捜査している。
県警によると、古賀巡査部長は当初「関係ない」と否認していたが、26日になって容疑を認め、27日には飲酒量などの供述を始めた。「罪が重くなっても事実をありのままに話す」と反省の様子を見せているという。
■「十分な指導できず残念」 県警本部長
飲酒ひき逃げ事故を起こしたとして福岡県警の古賀達雄巡査部長が逮捕された事件を受け、同県警の田中法昌(のりまさ)本部長は27日「逮捕は痛恨の極み。職場で十分に指導できなかったのは残念」とするコメントを発表した。
田中本部長は、古賀巡査部長について「アルコール依存状態にあった」とし「このような者への個別具体的な立ち直り支援を行い、同種事案の絶無を図って、信頼回復に努める」としている。
古賀巡査部長の飲酒傾向は、所属する小倉南署が以前から把握していた。上司が節酒を指導していたが、日常的に飲酒を続け、今回の事件につながったとされる。
県警は9月3日に全署の副署長を集めて緊急会議を開き、再発防止策を検討、指導の徹底を図りたいとしている。
=2009/08/28付 西日本新聞朝刊=