総選挙終盤、麻生総理が、また「失言」をしてしまいました。
参照:
<麻生首相>学生集会で「金がねえなら結婚しない方がいい」(Excite・政治ニュース)
以上の記事によると、総理は23日夜、学生主催の集会で「そりゃ金がねえなら結婚しない方がいい。うかつにそんなことはしない方がいい。金がオレはない方じゃなかったけど、結婚遅かったから」とのべられました。学生から、若者に結婚資金がなく、結婚の遅れが少子化につながっているのではないか、と質問されたのに答えたものです。
記事によると、総理は「(金が)あるからする、ないからしない、というもんでもない。人それぞれだと思う」としながらも、「ある程度生活していけるものがないと、やっぱり自信がない。稼ぎが全然なくて尊敬の対象になるかというと、なかなか難しいんじゃないか」と語ったそうです。
総理なりに実は言葉を結構慎重に選んでおられると思いました。だから、これはふざけた後でご紹介するように「まじめな発言」です。しかし「まじめさを発揮するような方向性」が間違っていました。
「個人の価値観」を「真剣に」答えてしまった麻生さん
今回の、総理のご発言は、「個人レベルの価値観でどう思うか」という話でなら、ひとつの答えだと思います。総理としては相手に相槌を打ったつもりという面もあるでしょう。
私は総理を弁護するつもりはありませんが、麻生総理は「悪い人」ではないと思います。むしろ、あんまり世間的な苦労をしらない分、「良い人」かもしれません。今回の回答も「ふざけた」ものではなく、大真面目な回答でしょう。
小泉総理(当時)だったらどうでしょうか? あの人のことです。多分「人生いろいろ、結婚いろいろ」などとふざけた回答でお茶を濁しかねない。そして、あまりマスコミも叩かない。ある意味、麻生さんは真剣に応えてしまったのです。だからこそ、逆に叩かれてしまうのです。
自民党を破裂寸前の赤色超巨星にした小泉さん。彼ならふざけた回答をして、却ってマスコミに叩かれなかったろう。(画像作成筆者)
小泉さんよりはある意味、麻生さんはまじめではないか、と思います。小泉さんは麻生さんよりもはるかに「冷酷な自己責任主義」であることは、経済政策を見ても明らかでしょう。中身が問題ですが・・・。
新自由主義、特に2001年から2006年にかけての小泉さんの政治の結果として若者がますます結婚に希望を持てない世の中になったのは確かです。
その後始末をさせられる麻生さんも、まあ、「間が悪かった」と諦めるしかないでしょう。だれが総裁でも、自民党が木っ端微塵になるのは防ぎがたいと思います。
参照:
自民党の「超新星爆発」が止まらない!
公務員のトップとしてどうすべきか答弁してほしかった
ただ、結婚するのにお金が必要なことくらいは、総理に質問した若者はわかりきっているわけです。
そんなことはわかった上で、総理に対し、ではどういう対策を、日本国総理である麻生さんが具体的に打ち出すか。その回答を期待して質問したのではないでしょうか?
自民党が木っ端微塵になるときに総裁になってしまった麻生さん。こんなときに「個人の価値観」を「まじめに回答」して、火に油を注いでしまった。
総理はいわば、日本国全体の公務員のトップです。相手に相槌を打つだけでは済まされないのですよ。ただの「良い人」では済まされないのです。
やはり、麻生総理は、公務員のトップの自覚に欠けるのではないでしょうか?
総理には憲法遵守義務(99条)があります。国民に対して健康で文化的で最低限度の生活を保障する(25条)義務(国民の権利の裏返しとしての公務員の義務)があります。
そのことを自覚しないで「真剣に」発言してしまう麻生総理。だからこそ、このように、マスコミに叩かれてしまうのでしょう。ただ、この程度の方しか総裁になる人材がいない自民党とすれば、「惨敗やむなし」かと思いました。