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注目の衆院選神奈川11区、「世襲」争点にならない“小泉王国”、対抗馬にも思惑
横須賀市内の町内会館で20日夜、自民新人・小泉進次郎氏の個人演説会が開かれた。用意した約100席はすぐに埋まり、ほぼ同数の立ち見が出る盛況ぶり。開始前から家族連れや女性が列をつくり、小泉氏との握手や記念撮影の順番を待つ。その光景を見て、陣営幹部は驚くようにつぶやいた。「まるでスター並みだな」
地元で抜群の人気を誇った父・小泉純一郎元首相の後継として出馬した小泉氏。当選すれば4代目の国会議員となる。身内の自民党からも指摘された世襲問題の象徴的な選挙区として、全国の注目を浴びる。
だが、候補者の間で世襲問題は目立った争点になっていない。逆に、小泉氏は世襲批判を逆手に取るかのように、横須賀・三浦への思いを演説で強調する。「28年間生まれ育ったまちから出られることを誇りに思っている」「逆風や逆境は乗り越えるためにあるということを証明するため、地元の皆さんと共に戦いたい」。5人の候補者で唯一の地元出身者という点を意識した発言。聴衆の拍手が最も響く瞬間だ。
対する民主新人・横粂勝仁氏は愛知県出身。共働きの両親に育てられ、奨学金とアルバイト代を頼りに東大を卒業した。選挙に有利な「地盤、看板、かばん」がない中、街頭では「皆さんの生活を守っていくのは生活が分かり、雑草魂を持っている横粂」と訴える。
政治家の世襲には正面からの批判はしない。「制度一般として禁止すべきだと思うが、街頭で言うと『あいつは民主特有の反対ばかりだ』と思われ、本来の生活を守る民主党というイメージを消してしまう」。迷いながらの活動が続く。
陣営幹部も世襲問題は重視していない。「世襲批判に対する有権者の反発もある。それなりに努力していれば認めるべきだ」。4年前の「郵政選挙」で、小泉元首相は小選挙区で全国トップの得票となる19万7千票を獲得し、民主党候補に14万票以上の差をつけて大勝した。100年にわたって続く「小泉王国」の強固さを肌身に感じている。
ただ、陣営は世襲問題でマスコミの注目が集まったことを歓迎している。横粂氏は公募で選ばれて知名度が低かっただけに、「小泉候補の対抗馬として取り上げられ、知名度が高まった」。
一方、共産新人・伊東正子氏は「わたしたちの党ではあり得ない」と世襲に批判的。しかし、街頭演説では党の政策を一貫して訴え、世襲問題には言及していない。幸福新人・鶴川晃久氏は「世襲政治は若者が政治をあきらめたり、政治に無関心になったりすることにつながる」と批判している。
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