徳島市加茂名町庄山の眉山北側斜面で助け出された雌犬・通称「崖(がけ)っぷち犬」の里親を決める「飼い主を探す会」が二十八日、神山町阿野の県動物愛護管理センターであった。県内外から訪れた里親希望者十一人のうち、抽選でつるぎ町半田の主婦馬木カズ子さん(66)に決まった。馬木さんは、広島県の孫娘と携帯電話で相談し、「リンリン」と名付けた。
抽選会場は、県内外から詰め掛けた愛犬家や報道陣約百人でむせ返るような熱気。抽選で外れた少女が涙を流して悔しがる一幕も。馬木さんは当選後、センター内のふれあい広場で対面。最初はおびえ、逃げようとしていたリンリンだったが、馬木さんが優しく背中をなでると安心したように携帯用のおりに入った。
馬木さんは「テレビで見ていた犬が家族の一員になってうれしい。慣れるまで心配な面もあるが、大事に育てれば気持ちは通じる。一緒に散歩に行きたい」と笑顔を見せた。救出以来、世話を続け、会見に臨んだ獣医師の城万里さん(34)は「ゆっくりと信頼関係を築いてほしい」と話した。
この日の探す会では、リンリンと同時期に保護された姉妹とみられる犬は引き取り手がいなかった。
【写真説明】崖から救出された雌犬「リンリン」の飼い主に決まった馬木カズ子さん=28日、神山町阿野の県動物愛護管理センター