フランチャイズのロイヤリティ問題を探れ(前編)
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表●コンビニ店の不思議な損益計算書(単位:千円) |
「ちょっと変わった様式の損益計算書ですねぇ」
これは勘定科目ごとに集計した試算表段階のものですが,フランチャイズ方式を採用しているコンビニ業界では見慣れたものです。様式は変則的でも,会計の基礎知識があれば,この損益計算書に隠されたトリックを読み取れるはずです。ただし,会計の入門書しか読んだことがなければ,戸惑うかもしれませんが──。
むしろ,入門レベルの書籍などたとえ百冊読破しても,実務の最前線では歯が立たないことを知るべきでしょう。
ひところ,分数計算のできない大学生が増えた,という話題が世間を騒がせたことがありました。分数を理解せずに大学に入ったのだから,在学中に分数をマスターしようという気力があるとは思えず,そのまま社会人となってしまった人が圧倒的かもしれません。この表の右側には構造式を示していますから,社会人としての基礎力を試してみてください。
「この損益計算書のどこに問題があるのですか?」
注意すべきは次の2点です。
(1)「III 本部へのロイヤリティ」は直前の「粗利益」に対して60%を乗じる様式になっている。 →表で青く表示したところ (2)「II 売上原価」の「商品廃棄損▲4,000(千円)」と同額のものが,「IV 営業費」にも計上されている。 しかも,プラスとマイナスが逆転して。 →表で赤く表示したところ |
この裁判については,次回詳しく紹介することにして──,とにかく腹が減ったので弁当を食べてからにしましょうよ。
「おいおい,そこからかよ……」
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■高田 直芳 (たかだ なおよし) 【略歴】 公認会計士。某都市銀行から某監査法人を経て,現在,栃木県小山市で高田公認会計士税理士事務所と,CPA Factory Co.,Ltd.を経営。 【著書】 「明快!経営分析バイブル」(講談社),「連結キャッシュフロー会計・最短マスターマニュアル」「株式公開・最短実現マニュアル」(共に明日香出版社),「[決定版]ほんとうにわかる経営分析」「[決定版]ほんとうにわかる管理会計&戦略会計」(共にPHP研究所)など。 【ホームページ】 事務所のホームページ「麦わら坊の会計雑学講座」 (http://www2s.biglobe.ne.jp/~njtakada/) |