羅老号:韓国の宇宙開発の行方
国策課題として育成すべき
羅老号が人工衛星の軌道投入には失敗したが、失望するにはまだ早い。得られた成果も少なくないためだ。韓国の研究陣は羅老号打ち上げの準備をしながら、一部の分野では先進国を超える技術を蓄積した。専門家らは今回の羅老号打ち上げの過程から得られた成果を指摘し、足りない部分を埋めていく体系的な支援に取り組むべきだと指摘した。
何よりも大きな成果として挙げられるのは、正確に作動したロケット追跡技術だ。今回韓国航空宇宙研究院が自主開発した遠隔ロケット追跡システムは、世界を驚かせたという評価を受けている。単純な飛行軌跡だけでなく、秒速数キロで飛行する羅老号の速度や位置情報をリアルタイムで確認することに成功したためだ。この技術が可能になったのは、羅老号が飛行しながら自らの速度、方向情報などを無線通信で送るシステムを構築したため。延世大学天文宇宙学科のチェ・ギュホン教授は「宇宙大国のフランスやロシアも、レーダーを使ってロケットの軌跡を追跡するだけで、韓国のように無線通信を活用してロケットの速度・位置情報をやりとりするシステムは作れなかった」と話した。一種の新型宇宙ナビゲーションシステムを開発、実用化したことになる。チェ教授は「ロシアが逆にわれわれのロケット追跡技術を購入したいと言い出す可能性もある」と話す。
- 26日午前まで、KAIST人工衛星センターは羅老号に搭載された「科学技術衛星2号」と交信するため不断の努力を続けたが、科学技術衛星2号が軌道進入に失敗、消滅したことが伝えられると、交信の試みは中止された。/写真=シン・ヒョンジョン記者(大田)
もう一つ韓国にとって慰めとなるのは、羅老号の2段目固体燃料エンジンが打ち上げ初期に正常に作動したという事実だ。韓国科学技術院(KAIST)航空宇宙工学科の権世震(クォン・セジン)教授は、「韓国航空宇宙研究院に与えられた予算が日本やインドよりかなり低い水準だという点を考慮すれば、2段目固体燃料エンジンがこれほど作動したのは事実上奇跡に近い」と述べた。
羅老号開発を始めた2001年に比べると、これは大きな発展と見なすべきということだ。ロケット、宇宙センター、追跡システムのうち、今やロケットの問題だけ解決すればよいというわけだ。もちろん、ロケット技術が最も重要で確保しにくいのも事実だ。しかし、国家次元で引き続き支援策を用意すれば、宇宙大国入りは決して夢ではない、というのが専門家らの分析だ。何より2018年、韓国の技術で完全に自主製作した羅老2号が打ち上げられる予定だが、それまで引き続き打ち上げ実験を重ね、技術を積み重ねるべきだ、と専門家らは主張する。
チェ教授は「だからといって、海外協力なしに独自に行ってはならず、必ず従来の宇宙大国との協力体制を構築しなければならない」と語った。ソウル大学機械航空工学部のキム・スンジョ教授は、「羅老2号の打ち上げ前に、規模を縮小した別のロケットをまず何回か打ち上げる必要がある。そうすれば技術検証や効率的な開発が可能になる」と話した。宇宙開発を支援する行政機関設立の必要性も高まっている。権教授は「今回の打ち上げで宇宙開発を戦略的な国策課題として育成する必要が出てきた。政府機関として宇宙開発の責任を負い、支援する宇宙庁の設立が切実な問題だ」と主張した。キム教授も「現在宇宙開発を総括する政府組織は教育科学技術部の1課にすぎない。米国はもちろん、日本や中国のように、われわれも最高統率権者に直接報告が可能な宇宙庁の設立が必要だ」と述べた。
チョ・ホジン記者
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