2009総選挙
公示から終盤戦に入った衆院選。30日の投開票日に向けて各地は選挙一色に
【社会】万引犯更生に奉仕活動 警視庁研究委 高齢者急増で提言2009年8月27日 朝刊 増加する万引への対策を検討してきた警視庁の調査研究委員会は二十六日、「万引防止対策に関する総合的提言」をまとめた。近年の万引について「子どもの犯罪から大人の犯罪になり、特に高齢者(六十五歳以上)の犯罪の比率が急激に高くなった」と指摘。防止策の一つとして社会奉仕活動を挙げた。 警視庁によると、昨年の東京都内での万引の認知件数は約一万七千八百件。摘発された高齢者の割合は二〇〇三年の10・8%から〇八年は22・6%と倍増した。少年は30・5%から25・8%と減少している。 調査研究委は、四〜六月に都内で万引で摘発された千五十人を対象にした意識調査を教育、哲学の専門家らが分析。万引をする心理的要因(複数回答)として高齢者の24%が「孤独」、8%が「生きがいがない」と答えた。一方、過去にも万引で摘発された二百二十六人の調査で、初犯の際の処分について「意外と軽かった」「何とも思わない」の回答が少年、成人、高齢者の全年齢層でいずれも五割を超えた。 調査研究委の坂井昭宏委員長(桜美林大教授)は「初犯者や、再犯の数が少ない者に限り、試験的にでも地域のボランティア活動をさせるのが効果的だ。厳罰化で排除せず、特別なケアで更生させるのが望ましい」と述べた。 社会奉仕活動による更生をめぐっては、犯罪者に清掃などをさせる「社会奉仕命令」や、刑期途中で釈放して更生させる「一部執行猶予」について法務省が一月、法制審議会(法制審)に試案を出しており、法制審は今秋にも更生保護法などの改正に向けた要綱案を答申する見通しだ。 提言はほかに、小売店に被害をすべて届け出るよう促し、警察には被害届の受理手続きの簡素化と迅速化を求めた。また、高齢者・成人対策として福祉行政、警察、ボランティア、民間非営利団体による連携強化の必要性を挙げた。
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