ここから本文エリア 選挙のまちで◆40代のホームレス2009年08月27日 夜8時過ぎ。人通りがまばらになったJR山形駅前に5〜6人の男が戻ってきた。一番の若手は47歳。「最近、街に人が減った。飲む金もないんだろう」。たばこの煙を吐き出し、つぶやいた。 正社員からホームレスになるまで、あっという間だった。山形市内のマンションで一人暮らしをしていた昨年6月。上司と対立して約20年勤めた食品会社を辞めた。蓄えはほとんどなし。「なんとかなるだろう」と高をくくっていた。外車を買い主に届ける仕事で1回5千〜1万円の稼ぎを得たが、リーマンショック後、仕事は消えた。途端にマンションのローンが重くのしかかってきた。 結局マンションを差し押さえられ、駅前のベンチがねぐらに。冬は漫画喫茶で寒さと雨風をしのいだが、もうその余裕もない。半年以上ハローワークに週2度通い、面接も数社受けたが、ダメだった。ケータイも止められ、連絡手段も失った。 朝、まどろみの中で選挙カーの音が聞こえてくる。会社員時代は「自民党に」と上司に言われるまま投票してきた。前回総選挙も。最近、ふと思う。「小泉さんがぶっ壊してよくなったものは何もないんじゃないか?」 といって政権が変わったら、何か変わるのか。「雇用」を何とかしてほしいと願いつつ、どの党の主張も「結局は政治ゲーム」に見えてしまう。 投票用紙は、たぶんマンションに届くはずだ。
マイタウン山形
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