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【韓国】30%の非課税枠撤廃、外国人所得税改革案

8月27日8時30分配信 NNA

 韓国政府は26日までに、日本人を含む外国人に対する給与総額の30%の非課税枠撤廃などを盛り込んだ税制改革案をまとめた。改革案は国内の高所得者や大企業への増税を行う一方、低・中所得者や中小企業への減税も打ち出しており、「取れるところから取る」方針に変えたのが特徴。韓国在住の日本人駐在員にとっても改革案の内容を十分に検討する必要がありそうだ。

 ■年7.7兆Wの税収増に
 
 税制改革案は国務会議(内閣に相当)を経て、9月末の通常国会に提出され、早ければ来年初めにも施行される見通し。企画財政部は、同案により来年は7兆7,000億ウォン(約5,780億円)、今後3年間で10兆5,000億ウォンの税収の増加が見込めるという。
 
 税制改革案によると、日本人など外国人労働者に対する所得税について、現在は「給与総額の30%を非課税とし、残りを通常の所得税を適用」もしくは「給与総額に対し15%の単一税率を適用する」とされているが、これを15%の単一税率のみにする。
 
 また、外国人技術者に対する勤労所得税は、現行の5年間100%免除から2年間50%減免に縮小し、2011年末まで2年間延長する。すでに、外国人に対する所得税率が17%から15%に引き下げられていることや、諸外国は自国民および外国人に同一の所得税を課していることなどを反映した形だ。
 
 ■大企業の負担増
 
 このほか、所得税や法人税については、全般的に税率を引き下げる一方、高所得者や大企業の税負担は引き上げる方針だ。
 
 大企業に対しては、企業所得に賦課する税率の下限を引き上げる。100億ウォンを超える企業に関しては、◇1,000億ウォン以下は13%◇1兆ウォンを超える場合は15%――と、2008年の水準にまで引き上げる。
 
 一方、中小企業および、地方税賦課の基準となる課税時価標準額(課標)が100億ウォン以下の企業については当初の計画通り、最低減税率をそれぞれ8%から7%に、11%から10%に引き下げる。
 
 高所得者に関しては、給与総額が1億ウォンを超える労働者について、年間50万ウォンの勤労所得税額の控除を廃止。勤労所得控除率は、◇給与総額8,000万ウォン以上1億ウォン未満は5%から3%◇1億ウォン以上は5%から1%――にそれぞれ引き下げ、事実上、増税する。
 
 また、クレジットカート利用額に対する控除限度は年間500万ウォンから同300万ウォンに縮小。弁護士や医師など高所得の専門職に対しては、1件当たり30万ウォン以上の取引時、クレジットカード領収書や現金領収書、税金計算書などの発給を義務付ける。
 
 また、冷蔵庫、テレビ、エアコン、ドラム洗濯機の、エネルギー消費量が多い家電製品については来年4月1日出荷分から5年間、個別消費税5%が賦課される。課税対象となる品目や選定基準については、今後大統領令で規定する方針だが、個別消費税導入で販売価格が上昇する見通しだ。
 
 ■成長分野は優遇
 
 大企業を中心に負担が大きくなる改革案だが、将来的に経済発展が見込める分野については税額控除などの減税が盛り込まれている。
 
 成長が見込める事業および基幹技術分野の研究開発(R&D)費用に対する税額控除率を、それぞれ20%、25%(中小企業は30%、35%)に引き上げる。さらに、企業の買収・合併(M&A)に関する税制を先進国水準に引き下げるほか、事業者登録申請や休・廃業の手続きの簡素化、事業者登録内容の変更の際の処理期間の短縮などの内容も含まれた。
 
 今回の税制改革により、高所得者と大企業の今後3年間の増税負担は全体の90.5%に当たる9兆5,000億ウォンに達している。「取れるところから取る」方針が強く打ち出されたことで、今後の国会での議論や財界からの反発も予想されている。ソウル経済新聞などが報じた。

最終更新:8月27日8時30分

NNA

 

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