「派遣村」の抗議にカチンときた
2009年08月27日07時15分 / 提供:PJ
【PJニュース 2009年8月27日】舛添要一・厚生労働大臣の発言に対して、年末年始に日比谷に設置されていた「派遣村」の「有志一同」が抗議した。抗議文全文は抗議文(派遣村ブログ)で読むことができる。
ハローワーク開設当日に応募者がいなかったのは「国会への請願行動や議員申入れなどをして」いたため、とか、当初に求職者登録をしなかったのは「派遣村に持ち込まれた求人の多くが、『住み込み』など寮付きの求人」だからで「今度こそは、自分の住居を確保して、職場に通いたい、だから住み込み求人への、応募には躊躇する、というのは心情としても理解できる」とか、突っ込みどころ満載の抗議内容だ。
カチンときたのは、「大半の方が派遣切り後に、ハローワークや様々なところに相談に行ったり、必死の思いで職探しをおこなって来られていました。その結果、有り金も底をつき、どうしようもなくなって派遣村にたどりつかれています。心身共に疲弊した状態では求職活動を満足に行うことはできません。」という部分だ。(そんな人たちが集まった派遣村で、半数しか求職者登録をしなかったのはなぜなのだろう、という疑問はさておき。)
今年3月、以前からお付き合いのあったモノづくり中小零細企業の経営者の方々と個別に話す機会があった。世間話の中で、異口同音に話されていたのは「年を越せないと思った」ということだった。年末年始には例外なく大変なご苦労をされたとのことで、営業と金策で食事をする時間もなく、元請けから普通なら考えられないような低い値段での契約を求められ、従業員の人件費を出せないために自分で徹夜で作業し、まさに、食う暇も寝る暇もなく働いていたという。
経営者の一人は、年末の金策から戻る途中で倒れ、そのまま1月に他界した。それを聞いて焼香に伺った時、奥様が「倒れる前の晩に、死ねば借金が無くなる、と言ってたので、自殺するんじゃないかと心配していたんですが、こんなことになってしまって、本当に命がけで家族と従業員を守ってくれてたんだと思っています」と話されていたのが忘れられない。これは極端な例だとしても、多くの人々は、歯をくいしばって働いている。へとへとになるまで働いて、食費を削り、電気代を節約してなんとかやりくりしている。このような人々の前で「心身共に疲弊した状態では求職活動を満足に行うことはできません。」と言えるのか。どんなお膳立てをすれば求職活動をして"いただける"のだろうか。
振り返ってみれば、「派遣村」は、なにもできなかった。派遣村から住人が「巣立っていった」のは、個人の自助努力によるものだろう。結局、政治的パフォーマンスでしかなかったのではないか。すでに解散した派遣村の「有志一同」が、これほどのスピードで抗議文を発表したことも、何をかいわんや、である。
アメリカ合衆国独立宣言の起草者の一人として、100ドル紙幣に肖像が描かれているベンジャミン・フランクリンは、今から250年以上前の1757年「天は自ら助くる者を助く(God
helps those who help themselves.)」と著した。現実社会においても、自助努力を発揮することなしには(天さえも)助けてくれない、という思想は、相互扶助の在り方の原則だと思う。
当時、派遣村の若者へのインタビューで、農家での働き口があるという情報に対して、「農業はちょっと」と答えていたのを思い出す。いつまでも言ってろ、と思ったことも思い出しだ。【了】
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ハローワーク開設当日に応募者がいなかったのは「国会への請願行動や議員申入れなどをして」いたため、とか、当初に求職者登録をしなかったのは「派遣村に持ち込まれた求人の多くが、『住み込み』など寮付きの求人」だからで「今度こそは、自分の住居を確保して、職場に通いたい、だから住み込み求人への、応募には躊躇する、というのは心情としても理解できる」とか、突っ込みどころ満載の抗議内容だ。
カチンときたのは、「大半の方が派遣切り後に、ハローワークや様々なところに相談に行ったり、必死の思いで職探しをおこなって来られていました。その結果、有り金も底をつき、どうしようもなくなって派遣村にたどりつかれています。心身共に疲弊した状態では求職活動を満足に行うことはできません。」という部分だ。(そんな人たちが集まった派遣村で、半数しか求職者登録をしなかったのはなぜなのだろう、という疑問はさておき。)
今年3月、以前からお付き合いのあったモノづくり中小零細企業の経営者の方々と個別に話す機会があった。世間話の中で、異口同音に話されていたのは「年を越せないと思った」ということだった。年末年始には例外なく大変なご苦労をされたとのことで、営業と金策で食事をする時間もなく、元請けから普通なら考えられないような低い値段での契約を求められ、従業員の人件費を出せないために自分で徹夜で作業し、まさに、食う暇も寝る暇もなく働いていたという。
経営者の一人は、年末の金策から戻る途中で倒れ、そのまま1月に他界した。それを聞いて焼香に伺った時、奥様が「倒れる前の晩に、死ねば借金が無くなる、と言ってたので、自殺するんじゃないかと心配していたんですが、こんなことになってしまって、本当に命がけで家族と従業員を守ってくれてたんだと思っています」と話されていたのが忘れられない。これは極端な例だとしても、多くの人々は、歯をくいしばって働いている。へとへとになるまで働いて、食費を削り、電気代を節約してなんとかやりくりしている。このような人々の前で「心身共に疲弊した状態では求職活動を満足に行うことはできません。」と言えるのか。どんなお膳立てをすれば求職活動をして"いただける"のだろうか。
振り返ってみれば、「派遣村」は、なにもできなかった。派遣村から住人が「巣立っていった」のは、個人の自助努力によるものだろう。結局、政治的パフォーマンスでしかなかったのではないか。すでに解散した派遣村の「有志一同」が、これほどのスピードで抗議文を発表したことも、何をかいわんや、である。
アメリカ合衆国独立宣言の起草者の一人として、100ドル紙幣に肖像が描かれているベンジャミン・フランクリンは、今から250年以上前の1757年「天は自ら助くる者を助く(God
helps those who help themselves.)」と著した。現実社会においても、自助努力を発揮することなしには(天さえも)助けてくれない、という思想は、相互扶助の在り方の原則だと思う。
当時、派遣村の若者へのインタビューで、農家での働き口があるという情報に対して、「農業はちょっと」と答えていたのを思い出す。いつまでも言ってろ、と思ったことも思い出しだ。【了】
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パブリック・ジャーナリスト 小林 亮一
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