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| 前戦のチェコGPは、ロレンソ選手の息詰まる攻防戦の末、ロッシ選手が勝利を手にしました。まさしく「王者の貫禄」を感じさせる戦いだったと言えます。 | 
'09 MotoGP Rd.12 インディアナポリスGP ここが見所!
'09 インディアナポリスGP 8月29日〜8月30日開催 
山田宏 (ブリヂストン モーターサイクルレーシングマネージャー)
チェコGPを振り返って
 前回のチェコGPは、またロッシ選手の強さが発揮され、今期5勝目を挙げました。予選でロッシ選手はポールポジションを獲得したのですが、それ以外のセッションではロレンソ選手がかなり安定して速く、レースでもロレンソ選手有利と見られていました。スタートでは予選3番手のペドロサ選手が飛び出しますが、すぐにロッシ選手が抜き返しトップに立ちます。その後ロレンソ選手がロッシ選手の背後に迫ると、ペドロサ選手がそのペースについて行けず徐々に遅れ、2人の一騎打ちとなりました。トップの2人は、昨年ストーナー選手が記録したラップレコードを上回る回数が何と29回(二人で)!8回ものラップレコード更新を繰り返しながらの速いペースでのバトルを繰り広げます。そして17周目に遂にロレンソ選手がトップに浮上!しかし翌18周目に転倒してしまい、決着が付きました。2位にはペドロサ選手が、3位には3台による激しい争いの末、エリアス選手が今期初の表彰台を獲得しました。今回のレース前には、ストーナー選手が体調不良の為、残念ながらミサノまでの3戦欠場を発表しました。またランキング2位のロレンソ選手が転倒によって無得点に終わり、1位ロッシ選手:212点、2位ロレンソ選手:162点、3位ストーナー選手:150点、4位ペドロサ選手:135点となりました。残り5戦でロッシ選手が50点のリードというのは、かなりのアドバンテージを築いたと言えるでしょう。
 
◆以下、前戦、Rd.11 チェコGPのレースリザルトです。           
 
| ■ MotoGPクラス 第11戦 Czech Rep. Grand Prix | 
| ブルノ 
8月  16日 
Fine/Dry 
5.403km×22周=118.866km   | 
 決勝出走:17
/完走:13 
 
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| Pos. | 
No. | 
Rider | 
Tyre | 
Team | 
Machine | 
Maker | 
Laps | 
Time | 
 
| 1 | 
46 | 
バレンティーノ・ロッシ | 
BS | 
フィアット ヤマハ チーム | 
YZR-M1 | 
ヤマハ | 
22 | 
43:08.991 | 
 
| 2 | 
3 | 
ダニー・ペドロサ | 
BS | 
レプソル・ホンダチーム | 
RC212V | 
ホンダ | 
22 | 
43:20.757 | 
 
| 3 | 
24 | 
トニー・エリアス | 
BS | 
サンカルロホンダ グレシーニ | 
RC212V | 
ホンダ | 
22 | 
43:29.747 | 
 
| 4 | 
4 | 
アンドレア・ドビジオーゾ | 
BS | 
レプソル・ホンダチーム | 
RC212V | 
ホンダ | 
22 | 
43:30.409 | 
 
| 5 | 
65 | 
ロリス・カピロッシ | 
BS | 
リズラ スズキ MotoGP | 
GSV-R | 
スズキ | 
22 | 
43:30.529 | 
 
| 6 | 
69 | 
ニッキー・ヘイデン | 
BS | 
ドゥカティ チーム | 
デスモセディチ GP9 | 
ドゥカティ | 
22 | 
43:34.535 | 
 
| 7 | 
5 | 
コーリン・エドワーズ | 
BS | 
モンスター ヤマハ テック3 | 
YZR-M1 | 
ヤマハ | 
22 | 
43:34.667 | 
 
| 8 | 
15 | 
アレックス・デ・アンジェリス | 
BS | 
サンカルロホンダ グレシーニ | 
RC212V | 
ホンダ | 
22 | 
43:43.100 | 
 
| 9 | 
52 | 
ジェイムス・トーズランド | 
BS | 
モンスター ヤマハ テック3 | 
YZR-M1 | 
ヤマハ | 
22 | 
43:44.608 | 
 
| 10 | 
14 | 
ランディ・デプニエ | 
BS | 
LCRホンダ MotoGP | 
RC212V | 
ホンダ | 
22 | 
43:48.815 | 
 
  | 
  | 
| Pole Position: バレンティーノ・ロッシ 
フィアット ヤマハ チーム/YZR-M1/ヤマハ 
 | 
| Fastest Lap: ホルヘ・ロレンソ 
フィアット ヤマハ チーム/YZR-M1/ヤマハ 
1:56.670 
166.716km/h 
16周  | 
インディアナポリスGPについて今週開催されるインディアナポリスは、インディ500マイルで有名なコースです。このコースでは年間を通じてインディ500と、NASCAR、そしてMotoGPの3回しかレースを開催しないそうです。MotoGPでは昨年このインディが始めて開催されました。インディアナポリスは、F1が2006年まで3回開催されたのですが、MotoGPではF1のコースをもとに、更に変更改修を加えて、新しいコースが作られました。このコースはF1の時とは逆周りになっており、MotoGPでは反時計方向に回ります。
1周4.216kmのコースは、左:10、右:6の16のコーナーからなっていて、中低速コーナーが主体です。メインストレートは長いのですが、低速コーナーが多いので、昨年の予選ラップタイムでの平均速度は、150.6km/hとGPコースの中では最も低くなります。路面は新しい部分と古い部分が混ざっていて、何種類かの路面が混在します。新しい路面は比較的つるつるで滑りやすく、古い路面は凸凹でグリップも良いようです。
昨年のレースは大変でした!土曜の予選までは良かったのですが、日曜日には、アメリカ東南部で大被害をもたらしたハリケーン「アイク」が、インディアナポリス近くを通り過ぎたため一時的にもの凄い風と雨に見舞われました。レースは小康状態のWETでスタートしたのですが、その後強風と雨とでレースは20周にて中断され、そのまま終了となりました。強風の為コース脇のテントが飛び、コース上にも物が飛び散る状態で安全が確保できないと判断されたためです。MotoGPでフラッグトゥフラッグ(ドライからウェット等の天候、路面の変化の場合は、ピットインしてマシンを交換してレースを続行する。)が採用されてから、初めてレースが中断という事になりました。レースはロッシ選手−ヘイデン選手−ロレンソ選手の順でゴールしました。
◆以下、昨年2008年のインディアナポリスGPのレースリザルトです。         
| ■ MotoGPクラス 第14戦 | 
| インディアナポリス 
9月  14日 
Rain/Wet 
4.216km×20周=84.32km   | 
 決勝出走:19
/完走:19 
 
 | 
| Pos. | 
No. | 
Rider | 
Tyre | 
Team | 
Machine | 
Maker | 
Laps | 
Time | 
 
| 1 | 
46 | 
バレンティーノ・ロッシ | 
BS | 
フィアット ヤマハ チーム | 
YZR-M1 | 
ヤマハ | 
20 | 
37:20.095 | 
 
| 2 | 
69 | 
ニッキー・ヘイデン | 
MI | 
レプソル・ホンダチーム | 
RC212V | 
ホンダ | 
20 | 
37:26.067 | 
 
| 3 | 
48 | 
ホルヘ・ロレンソ | 
MI | 
フィアット ヤマハ チーム | 
YZR-M1 | 
ヤマハ | 
20 | 
37:27.953 | 
 
| 4 | 
1 | 
ケイシー・ストーナー | 
BS | 
ドゥカティ・コルセ・チーム | 
デスモセディチ GP8 | 
ドゥカティ | 
20 | 
37:48.257 | 
 
| 5 | 
4 | 
アンドレア・ドビジオーゾ | 
MI | 
JiR チームスコット MotoGP | 
RC212V | 
ホンダ | 
20 | 
37:48.919 | 
 
| 6 | 
11 | 
ベン・スピーズ | 
BS | 
リズラ スズキ MotoGP | 
GSV-R | 
スズキ | 
20 | 
37:49.740 | 
 
| 7 | 
50 | 
シルバン・ギュントーリ | 
BS | 
アリーチェチーム | 
デスモセディチ GP8 | 
ドゥカティ | 
20 | 
37:56.318 | 
 
| 8 | 
2 | 
ダニー・ペドロサ | 
BS | 
レプソル・ホンダチーム | 
RC212V | 
ホンダ | 
20 | 
37:57.353 | 
 
| 9 | 
7 | 
クリス・バーミューレン | 
BS | 
リズラ スズキ MotoGP | 
GSV-R | 
スズキ | 
20 | 
37:58.537 | 
 
| 10 | 
15 | 
アレックス・デ・アンジェリス | 
BS | 
サンカルロホンダ グレシーニ | 
RC212V | 
ホンダ | 
20 | 
38:02.532 | 
 
  | 
  | 
| Pole Position: バレンティーノ・ロッシ 
フィアット ヤマハ チーム/YZR-M1/ヤマハ 
 | 
| Fastest Lap: バレンティーノ・ロッシ 
フィアット ヤマハ チーム/YZR-M1/ヤマハ 
1:49.668 
138.395km/h 
15周  | 
  | 
 | 
 ■インディアナポリス・モータースピードウェイ 4.216km×20laps=84.32km | 
  | 
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| インディアナポリスは、世界三大レースのひとつ「インディ500」(IRL)の舞台として知られるサーキット。MotoGP用のコースは追い抜きが難しく、予選順位が重要となります。 | 
予選、決勝の見所
ここは低速コーナーが多いので、パッシングポイントも少ないでしょう。そうなると当然予選順位も重要になります。メインストレートは長く、1コーナーのブレーキングがハードです。ここでのブレーキング競争は見ものです。シケイン状の最終コーナーをうまく立ち上がれば、ストレートでのパッシングも可能でしょう。そしてバックストレートエンドの左コーナーも、パッシングポイントと言えるでしょう。左コーナーが多いので、タイヤの左側はシビアになります。28周と周回数も多く、タイトコーナーの切り返しも多いので、ライダーにもタイヤにも厳しいレースとなるでしょう。
今週末の天気予報は、水曜までは良く、その後やや下り坂のようです。気温も現在の最高29℃から日曜日は21℃(最低気温は11℃)へと涼しくなりそうで、土曜は雷マークが出ています!日曜日は晴れ/曇りとなっているのですが、また天気を心配する週末になるかもしれません。
タイヤ
ここの路面は、コース改修の影響で、新しいつるつるの所と、古い荒い所とが混在しています。タイヤとしてはグリップの低い路面でしっかりグリップする事が必要です。また左コーナーが多く、左側の耐久性が厳しくなると予想されるため、今回もリアは左右非対称のコンパウンドを投入します。今回スペックはフロント:ミディアムとハード、リア:ハードとエキストラハードです。リアのスペックは、カタルーニャ、ザクセンリングで使ったのと同じコンパウンドの左右非対称スペックです。(カタルーニャとは左右のコンパウンドが逆です)昨年はウェットレースだったので、ドライでのレースのデータはありません。何種類もの路面があるため、どの部分を重視してセッティングをしていくか?タイヤスペックと気温との兼ね合いで難しい選択かも知れません。 
今週は昨年のようなハリケーンという事はないと思います!来週はイタリアミサノでのレースとなり、ハードなスケジュールとなりますが、白熱したレースとなる事を期待します。
インディアナポリスGPの決勝は8月30日(日)です。
《[番外編] 山田宏の「MotoGPタイヤ・アロケーション」レポートを見る》