きょうのコラム「時鐘」 2009年8月27日

 関東を騒がせた緊急地震速報の誤報は、ソフト改修時のミスが原因だった。人騒がせな話だが、北陸でもよそ事では済まされない

寝ぼけまなこで「震度5弱」と聞かされれば、誰もが驚く。鉄道も一時止まった。怒りの矛先が気象庁に向くのも分かるが、ものは考えよう。いざというときの備えを点検する早朝の訓練になったのでないか

量り売りの心理学という話を聞いたことがある。サラダや枝豆を100グラム買うとする。店員はまず目分量で品物をはかりに載せる。量が多ければ少しずつ取り除く。逆に量目が不足していれば足していく

よく見る光景だが、前者は禁物、後者に徹するという店がある。はかりに載ってしまった品がわずかでも減らされると、買う方は面白くない。逆におまけのように追加されると、悪い気はしない。同じ量なのに、客に心理の錯誤が生まれる

震度5が1にまで「目減り」したのだから、怒るのも分かる。が。その時、冷静に振る舞えた人は、ひとまず胸をなで下ろしただろう。慌てふためくだけだった人ほど、同じ震度1がひときわ腹立たしかったに違いない。