広島少年院(東広島市)元首席専門官で奈良少年院次長の向井義容疑者(47)=奈良市秋篠町=が特別公務員暴行陵虐容疑で逮捕された事件で、元法務教官の被告の1人が、2007年3月に広島少年院を視察した当時の安倍晋三首相を向井容疑者の指示で案内した際に「説明したのは広島少年院の取り組みの光の部分だけだった」と広島地検の調べに供述していることが13日、関係者への取材で分かった。
広島少年院は当時、少年の出院後の再非行率の低さなどから「少年院の模範」として教育関係者などの間で注目されていた。関係者によると、首相を案内したのは、法務教官=懲戒免職=だった田原克剛被告(43)。地検の調べに「(光の部分だけを説明したのは)自分も首席専門官も暴行などの不適正な処遇をしていたため」などと説明しているという。
地検などによると、田原被告は05年4月、同少年院に着任した向井容疑者の部下として処遇を担当。関係者によると、田原被告は調べに、向井容疑者が逮捕容疑とは別の機会に少年を脅す様子を直接目撃したこともあると供述。「(向井容疑者は)不適正な処遇をしないよう教官に指導していたが、これは表向きのことだと思うようになった」とも供述しているという。
|