核持ち込ませず、民主に波紋…鳩山氏「大統領を説得」
衆院選で民主党が政権を獲得した場合、米国に対して核の持ち込みを認めないことを明確にする考えを鳩山代表が示したことが波紋を広げている。
鳩山氏は23日のテレビ番組で、非核三原則の一つである「持ち込ませず」を明確にするようオバマ米大統領を説得する考えを示した。「鳩山首相」が実現すれば9月に米国で行われる国際会議の機会に訪米し、日米首脳会談を行い、この問題を取り上げる考えだ。
これに関し、民主党の菅代表代行は24日、「外務省は米国にはっきりものを言わない。自民党の外交は『外務省による外交』に乗っていた」と指摘。そのうえで「『鳩山首相』とオバマ大統領が胸襟を開いて話し合い、友好関係を深めた上で日本の声を米国に伝える」と訴えた。
米国は1990年代以降に、平時には艦船に核兵器を搭載しない方針に転換した。民主党内には、「持ち込まないと明言しても、現実に大きな影響はない」との期待が出ている。民主党が掲げる「対等な日米関係」の象徴になるというわけだ。
一方で、こうした見通しは楽観的に過ぎるとの指摘もある。
米国は核兵器の運用計画について「明らかにすれば抑止力を損なう」との立場だ。米側の知日派は「中国が核を保有し、北朝鮮が核開発をしている時に米国の核だけを問題にするのは安全保障に対する認識があまりにも薄い」と批判する。
非核三原則を巡る鳩山氏の発言の「ぶれ」への懸念も出ている。
鳩山氏は7月、核持ち込みを巡る密約に関し、「必要性があったからこそ現実的な対応がなされてきた」と発言した。その後、社民党の福島党首に押される形で非核三原則の法制化検討に前向きな考えを示した。民主党内では、「わざわざ火種を作っている。公約違反と言われないよう、あいまいにしておくべきだ」との声も出ている。
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「かつていろんなやり取り」外務次官
外務省の藪中三十二次官は24日の記者会見で、米国の核の日本への持ち込みに関し、日米両政府で解釈の違いがあった可能性に言及した。
藪中氏は「その昔にどういう解釈の違いがあったか。かつていろんなやりとりはあった」と述べた。一方で、「それが密約うんぬんという話ではない」と強調した。
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