台湾国防部長らが辞表  台風対応遅れで批判受け

　【小林村（台湾高雄県）共同】台湾の陳肇敏・国防部長（国防相）は１９日、台風８号の大雨被害に対する軍の対応遅れに強い批判が出ていることを受け、劉兆玄・行政院長（首相）に辞表を提出した。台風被害が広がる最中、台北のホテルで家族と食事をしていたとして非難された薜香川・秘書長（官房長官）も辞表を出した。地元メディアが一斉に報じた。

　馬英九総統は１８日の会見で対応の遅れについて頭を下げて謝罪。９月上旬までに関係者の処分を行うと言明し、事態の収拾を図った。しかし被災住民らの批判は収まっておらず、馬総統が大規模な内閣改造に踏み切らざるを得ない状況となってきた。辞表を受理するかどうかを近く判断するもよう。

　外交部（外務省）が各国からの支援を「遠回しに断れ」と在外公館に文書で指示していたというスキャンダルでも、夏立言外務次官が１８日、辞表を出した。

　一方、馬総統は１９日、約４９０人が土砂崩れで生き埋めになるなど壊滅的な被害を受けた高雄県小林村を初めて訪れ、遺族や家を失った住民を慰問した。住民は「政府の対応は遅すぎる。家族がみんな死んでしまった」と強い口調で訴えていた。