2009年8月26日7時21分
気象庁が「関東地方で震度5弱程度の揺れがある」とする誤った緊急地震速報を発表した問題で、同庁は25日、地震計のソフトウエアの改修を依頼した明星電気(群馬県伊勢崎市)が、依頼したものとは別のソフトウエアに無断で変更を加えた上、変更内容も誤ったことが原因だったと発表した。
同様の変更は計4台に加えられており、25日夕に改善されるまで、いずれも誤った緊急地震速報を流す可能性があったという。
誤った変更が加えられていたのは、今回の誤報の元となった千葉県南房総市に設置された地震計のほか、千葉市の千葉測候所、兵庫県加西市観測点、大阪管区気象台の地震計。地震の情報を東京と大阪の処理システムに同時に送れるようにするため、気象庁が全国237台の地震計のソフトウエアの改修を明星電気に依頼。同社は24日、手始めに4台に実施したが、依頼分の改修と同時に、地震の振幅のデータを処理するソフトウエアについても無断で変更を加えたという。
改変点は、これまで小数点以下を切り捨てて処理していた振幅の数値を、四捨五入してより正確な数値に近づけるというものだった。しかし、振幅を表す単位を「マイクロメートル」とすべきところを誤って「ミリメートル」としてしまったため、振幅が実際よりも常に500マイクロメートル大きくなるようになったという。
今回の誤報では約20倍の大きさになって伝えられ、振幅を元に計算される地震の規模を示すマグニチュード(M)は、実際にはM4.1だったのがM6.6とされた。
気象庁には25日、100件以上の苦情や問い合わせがあったという。明星電気は「地震計の性能の向上を目指してやったが、本来なら気象庁に提案し、承認されてから変更すべきだった。なぜ無断で変更を加えたのか、現在経緯を調査している」としている。
一方、今回の問題で、気象庁は速報が25日午前6時37分に流れた直後に誤報であることを認識しながら、午前10時半の記者会見まで発表しなかった。同庁は「原因をまず調べていた」としているが、発表の遅れで混乱が続いた可能性もある。同庁は今後、同様のことが起きた場合、報道機関に速やかに更新情報を提供することを検討するとしている。