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密約文書「自分が署名」 沖縄返還訴訟で吉野元局長が陳述書 12月に証人出廷へ (08/25 18:39、08/26 07:30 更新)

吉野文六・元外務省アメリカ局長

吉野文六・元外務省アメリカ局長

 1972年の沖縄返還に伴い、日米両政府が交わしたとされる密約文書の存否を争う訴訟の第2回口頭弁論が25日、東京地裁であった。原告側は吉野文六・元外務省アメリカ局長(91)の陳述書を提出。吉野元局長は、密約文書とされる米公文書中の「BY」の署名を自分のものと認めた。杉原則彦裁判長は10月27日の次回弁論で原告側と国の主張を整理し、12月1日に吉野元局長の証人尋問を行う方針を示した。

 公務員経験者に職務上の秘密について尋問するには、民事訴訟法上、当該官庁の承認が必要。杉原裁判長は「速やかに手続きを進める」とした。

 吉野氏は当時の返還交渉の担当者で、北海道新聞の2006年の取材に政府関係者として初めて密約の存在を認めた。法廷でも陳述書に沿った内容の証言をするとみられ、一貫して密約を否定してきた政府の主張を覆す証拠となりそうだ。

 署名があるのは、沖縄の米軍用地の原状回復費400万ドルを日本側が肩代わりする内容の71年6月の文書。陳述書ではさらに、米軍放送「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」の移転費用1600万ドルを日本が負担するとの文書も「イニシャルはないが、自分が署名した」と認め、いずれの文書も「(日本政府用の)写しはとったと思う。その後、どのように保管したかは分からない」と述べた。

 各文書とも原告側が米公文書館で入手し、先に証拠として地裁に提出していた。

 吉野氏は25日までの北海道新聞の取材に「積極的に話したいわけではないが、裁判所が話を聞きたいというなら出ることになると思う」と述べ、当時の日米交渉について「国民すべてが事実関係を知っておいた方がいい」と話した。

 裁判は、元毎日新聞記者西山太吉さんや作家澤地久枝さんら計25人が3月に提訴。文書の情報公開請求に対して国側が不存在を理由に非開示としたため、処分取り消しと開示を求めている。

 国側は同日、原告側が密約の証拠とする米公文書について「体裁や内容などから、米側が交渉途中で何らかの記録や備忘録的な文書として作成し、米側にのみ存在する可能性が高い。仮に日本にあったとしても廃棄されたことも十分あり得る」と主張する書面を提出した。

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