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社説:小学校の英語必修 指導者軸に基盤固めを
小学校の新学習指導要領が2011年度に完全実施され、外国語活動(英語)が5、6年生を対象に必修化される。県内でも教師の研修が断続的に開かれるなど、「本番」に向けた取り組みが一段と活発化してきた。義務教育の現場に大きな変革を迫るものであり、その指導方法や体制については教育界全体で工夫を重ねながら課題克服に努めていかなければならない。
昨年3月に改定された新指導要領によると、小学校英語は「音声や表現に慣れ親しませ、コミュニケーションの素地を養う」のが目標。テストは行わず、さまざまな体験活動によって英語を話す楽しさを知ってもらうことに重点を置いている。活動時間は原則、年間35時間だ。
小学校での英語活動は必修化が決まる前から導入され、県内でも2000年ごろから実施校が増加傾向にあった。総合的な学習で英語活動を行ったのは07年度で98・6%に上ったが、本年度は新指導要領の先行実施として全257校が取り組んでいる。年間活動時間も07年度の平均12時間から本年度は23・8時間に倍増。2年後の必修化を前に、教育現場では英語指導の試行錯誤が続いている。
中教審の外国語専門部会が06年に「小学校の英語教育必修化」を提言する以前は、文部科学省の意識調査で教師の54%が必修化に反対するなど現場が混乱した。だが必修化が決まった現在は、「不安を抱えながらも前向きに頑張る教師が大半」と県内小学校の英語指導担当者らが話すように、教育現場での足並みはそろいつつある。
これまでの取り組みを通し、既に成果が確認されていることにも着目したい。県内のある小学校では、5年生の時には「英語でいろいろな人と話したい」が要望のトップだったが、6年生になると「外国の人と交流したい」が最多になるなど、関心の質的高まりが顕著になった。教材などの英語資料の展示コーナーが低学年の児童たちにも刺激を与え、一方で教師自身も国際理解を深める上で大いに役立つとする意見が目立っている。
もちろん課題も多い。例えば、指導要領では生きた英語に触れることができるようにALT(外国語指導助手)の活用も求めているが、現在の県内のALTは72人。しかも中学、高校に籍を置いているため、小学校を訪れるのには限界がある。
このため、担任教師の英語力向上が不可欠であり、これが最大の課題だろう。
県教育庁では主体的に英語活動を指導できるリーダー的な教師を育成しようと本年度から5カ年研修を実施している。リーダーを軸に校内、地域の推進体制を強化しながら英語指導のレベルアップを図るのが狙いで、こうした取り組みは急務だ。子どもたちが抵抗なく中学の英語授業に向かうことができるようにするためにも、小中の枠を超えた縦の連携も重要である。
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