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外交・防衛政策 日米の対等な関係とは(8月25日付) | |||
衆議院選で、自民党と民主党の主張が異なるものに外交・防衛政策がある。自民党は「日米安保体制のたゆまぬ信頼向上」と関係強化をうたい、民主党は「緊密で対等な日米同盟関係をつくる」と言いながらも、米国と少し距離を置くことをにおわせている。どちらが日本の将来のためになるだろうか。 自民党が日米関係強化を主張する背景には、北朝鮮の核・ミサイルの脅威がある。麻生太郎首相は「国民の生命を守ることは政治の大きな使命」といい、ミサイルや核から日本を守るため「弾道ミサイル防衛で連携する米国艦船の防御が可能となるよう手当てを行う」としている。 このことは集団的自衛権の容認を示唆している。これまでの法律解釈では、北朝鮮が米国や米国の艦船に向かってミサイルを発射した場合、自衛隊が迎撃することはできない。またソマリア沖で他国の船が海賊に襲われた場合、自衛隊は海賊への威嚇射撃もできない。 日本の防衛力のあり方を検討してきた「安全保障と防衛力に関する懇談会」は、こうした集団的自衛権の解釈を変更するよう求める報告書を麻生首相に提出していた。自民党のマニフェストは懇談会の意向に沿ったものだ。集団的自衛権の行使には賛否両論あるが、党の姿勢を示したことは評価できる。 一方、民主党はマニフェストで「緊密で対等な日米関係」を主張しているが、「緊密」と「対等」が具体的に何を意味するのか、はっきりしない。「中国、韓国はじめ、アジア諸国との信頼関係の構築に全力を挙げる」としており、外交の軸足を米国中心からアジアに移そうとしている。これもひとつの見識だ。 記載されている「日米地位協定の見直し」や「米軍再編や在日米軍基地の見直し」は重要な課題であるが、これを求めたから「対等」というわけではあるまい。米国と日本の軍事力には大きな差があり、日本は軍事力を行使できないから一方的に米国に守ってもらっている立場だ。 「対等」と言うからには、米国の防衛力に匹敵する日本の役割を果たさねばならない。しかし民主党はインド洋での自衛隊の給油活動にも反対してきた。外交の継続を重んじ、すぐには給油活動をやめないとしているが、やめた後に同盟国としてどう役割を果たすか、具体的に示してほしい。 また民主党は「国連の平和維持活動(PKO)などに参加して平和の構築に向けた役割を果たす」としている。PKO活動は、自衛隊が生命の危険にさらされることも十分考えられる。集団的自衛権を認めるのか、早急に議論すべきだろう。 民主党は政権をとれば社民党、国民新党との連立政権となる。社民党は「自衛隊の海外派遣を許さず、平和憲法を守る」「自衛隊をインド洋から即時撤退させる」としている。連立しても各党の主張は維持するということか。有権者には分かりにくい。
新駐日大使として着任した米国のジョン・ルース氏は「来年は日米安保条約締結50周年。外交・安全保障の強化や文化交流を積極的に進める」と語った。政権交代しても良好な日米関係は維持すべきだろう。(園田 寛) |
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