事件・事故・裁判

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解説:性犯罪事件の裁判員除外、最高検指針 被害者、不安なお 具体的範囲など課題

 性犯罪を審理する裁判員の選任手続きで検察側が打ち出した方針には、法の趣旨に沿って裁判の公正さを保つことを前提に、被害者の不安を取り除く狙いがある。

 不公平な裁判をする恐れがある者を除くため、選任手続きでは一定の情報を候補者に開示するのは避けられない。最高裁は被害者情報について大まかな住所や年齢などの説明にとどめ、心当たりがある候補者には個別に名前を挙げてもらう対策を示した。

 しかし、被害者側の不安は払しょくされていない。関係団体は「被害者とかかわりがある地域の住民を裁判員から外して」と求めるが、これだけでは「不公平な裁判をする恐れ」とは言えず、住民から無作為に裁判員を選ぶ制度の仕組みにも合わない。

 検察側の方針は、被害者側の要請に応える内容だ。ただし、理由を示さないで不選任請求できる原則4人まで候補者を絞り込む必要がある。被告が複数の事件で起訴された場合は、被害者も複数いて絞り込みが難しくなる。候補者への質問は裁判長しかできず、検察側が求める質問が採用されるかどうかも不透明な側面がある。除外を求める具体的な範囲の設定も今後の課題だ。

 性犯罪を巡っては、6人の一般市民に被害を知られる負担や公開法廷でいわれなき「落ち度」を追及される不安など選任以外の問題も指摘されている。「精神的な二次被害を恐れて被害申告を控える人が増えた」と指摘する関係者もいる。検察を含む法曹三者は、さらに努力を続ける責任がある。

毎日新聞 2009年8月26日 東京朝刊

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