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ウグイス嬢、実は政治家登竜門

 18日に公示される総選挙(30日投開票)まで約2週間と迫った3日、候補者たちを支えるウグイス嬢の猛特訓も始まった。ウグイス嬢あっせんなどを手掛ける選挙プランニング会社大手「エクセレントサービス」(さいたま市)では、この日から新人ウグイス嬢の短期集中強化研修を実施。さいたま市の研修会場に集まった約50人が、マイクを握って本番さながらの厳しい修業をスタートした。

 さいたま市内で行われた研修初日。「エクセレントサービス」の張信子代表は「プロを作る厳しい研修です。自信のない方は今すぐ帰っていただいて結構です」とあいさつ。20代中心に集まった約50人の女性は静まりかえり、真剣な表情でメモを取った。

 通常3カ月の研修を行うが、今回は全国の陣営から計数百人の要請を受け、経験者だけでは足りなくなり、急きょ、新人養成のために4~6日間(計約10~15時間)の短期特訓を行った。今回は、1902年(明35)以来107年ぶりの8月総選挙。暑さに加え、帰省や旅行で人が動く時期にあたり、陣営もスタッフを確保しにくいことなどが「プロ」ウグイス嬢の需要増の一因とみられる。

 マイク研修では張代表が1回実演後、すぐに参加者に再現させた。タレントなどの名前を仮の候補者に想定して実習。「声を高く」「棒読みじゃだめ」「それじゃ失格」「顔を下げない!」など、次々に厳しいだめ出しが飛び出し、泣きそうになる参加者もいた。

 選挙カーの窓から、涼しい笑顔で支持を訴えるウグイス嬢たちだが、張代表は「窓から下は地獄」と表現する。夏の選挙カーの中はクーラー全開だが、窓も全開で、サウナ状態だ。首回りを冷やすのは当たり前。裏技として、ポロシャツなどの袖口から見えないように「脇の下の胴体側に、ケーキ用の小型保冷剤を粘着テープで直接張り付ける」のだという。熱中症が疑われる非常時には「氷と水を頭からかける」。化粧品は水泳用のウオータープルーフが基本だ。

 声のケアも重要だ。朝8時から夜8時まで声を出し続けるため、声帯が炎症を起こし「のどだけ熱くなってくる」(張代表)という。のどあめやスプレータイプの外用薬は必携。車内では首を氷で直接冷やす。夜は「縦半分に切った長ネギを布に包んで首に巻いて寝る」(張代表)という。

 参加者は経験者から、タレント、声優のたまご、「携帯電話販売キャンペーンでマイクを使った」という人までさまさま。「昔は比較的年配の方が多かったが、今は『政治家になるため』という大学生が増え、東大、早大、慶大の学生もいる」という。実際、政党関係者からスカウトされ、市議会議員などに転身した人も同社だけでも5人いるという。「ウナギの弁当を毎日食べても体重が1割減る」という夏の選挙。ウグイスたちの暑い夏はこれからだ。【清水優】

 [2009年8月4日9時27分 紙面から]


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