●かんべえの不規則発言



2009年8月 







<8月20日>(木)

○今からちょうど10年前、1999年8月20日夜、 http://member.nifty.ne.jp の個人サイト上に、この「溜池通信」は誕生しました。今となっては当時の原型はどこにも残ってはいないのですが、2002年春に今のドメインを取得した直後の姿は下記のような感じでした。

http://web.archive.org/web/20020420110521/http://tameike.net/ 


○基本的な造りが今とあまり違わないので、驚かれるかもしれません。要は進歩しないまま、書いたものの量だけ増えて、10年たったということなのでしょう。何でも長く続けばいい、というものではありませんが、この間、アクセス数はずいぶん増えました。お陰さまで、技術的にはまことに進歩のないサイトだけれども、ある程度は成功したと考えてよいのではないかと思います。あらためてご愛読に感謝いたします。

○さて、以前(2008年4月19日の当欄)において、「日本には創業100年を超える長寿企業が多い」という話をご紹介しました。拙著『オバマは世界を救えるか』の中でもこの議論を展開しております。ところが、「創業100年以上の企業は日本に何社あるか」という正確なデータがわかりませんでした。それが8月13日付の東京新聞で、「100年の老舗2万社超える」という記事が載っておりました。以下、引き写しておきます。


創業百年を超える超長寿企業は全国で2万1066社に上ることが、東京商工リサーチが12日発表した調査で分かった。明治後期の起業増などを背景に、2002年の前回調査に比べ5000社近く増えた。都道府県別では東京都(2377社)、大阪府(1168社)、愛知県(1106社)の順。全企業に占める割合では、京都府と山形県がともに2.62%で最高だった。

金融危機による世界同時不況を行きぬく超長寿企業には、「本業重視」「堅実経営」とともに、時代に合わせて変化する「柔軟性」も見られるという。東商リサーチでは「先行きの不透明感が深まる中、100年企業の柔軟性としたたかさを学ぶ必要がある」(経済研究室)としている。

100年企業の数は大都市圏に多い一方、全企業に占める割合では京都と山形を筆頭に新潟、長野、滋賀の各県が続いた。

創業が最も古いのは寺社建築業の金剛組(大阪府)で、飛鳥時代の578年とされる。



○東商リサーチではこういう資料も作っている様子。長寿の秘密が覗き込めそうです。


<8月23日>(日)

○あと1週間。民主党が圧勝、という選挙予測が流れていて、今さらながら各紙の選挙情勢をしげしげと見てみると、ワシの友人、知人、関係者の多くに「磐石」とか「有利な戦い」といった評価がついている。もちろんぬか喜びしてはいかんのだろうが、この辺の顔ぶれが国会に入るということは大いに結構ではないかと思う。あと1週間、全力を尽くしてほしい。

近藤洋介 山形2区
長島昭久 東京21区
中林美恵子 神奈川1区
大谷信盛 大阪9区
樽床伸二 大阪12区
緒方林太郎 福岡9区
吉良州司 大分1区


○問題は自民党側である。といっても自民党でどうしても通ってほしいという人は、幸か不幸かそれほどはいない。贅沢は言いません。この人だけは通ってほしい。というか、一度、この男にやらせてみたい。

さいとう健 千葉7区

○心配なので、選挙事務所に電話をかけて今日の日程を聞き、午後4時からPAT流山での立会演説会を見に行く。なにしろ隣の選挙区なので近いのである。行ってみたら、とっても地味な会合であった。本人と握手してきたけど、いかにも心配である。今日は夕方に柏駅前で麻生太郎氏来る、のイベントがあるのだけれども、流山には立ち寄らないようである。

○強いて言えば、あと一人、この人の応援をしておこう。この人は「みんなの党」であります。

浅尾慶一郎 神奈川4区


<8月24日>(月)

○自民党系の選挙コンサルをやっている人が、こんなことを言って嘆いていってました。

とにかく麻生さんに人気がない。あの顔を見ると、やっぱり自民党は許せない、この人が首相のままでは嫌だ、という有権者が少なくない。どうせなら、官邸に閉じこもってじっとしていてほしい。ところが本人は、外へ出ると人も集まるし(もちろん動員しているからだが)、キャーキャーともてはやされるし(写メを撮るだけだが)、自分は人気があると思っているから困ったものだ。でも、あれでは投票行動に結びつかない。

○1989年の参院選のときは、圧倒的に不人気な宇野首相を皆で押し込め、選挙戦は橋本龍太郎幹事長が中心になって仕切っていた。それと同じことが今、なぜできないかといえば、麻生さんが裸の王様になっていて、周りが止められなくなっているからでありましょう。どうも21世紀になってからの日本政治は、首相の指導力が強化されたのは良かったけれども、首相にとって怖い人がいなくなってしまい、簡単にワンマン化してしまう。コーポレート・ガバナンスが機能していない会社で、社長が簡単に独裁者になってしまうようなものです。

○これは安倍首相の「官邸崩壊」のときも同様でした。派閥が崩壊して以降の自民党は、いざというときに「組織最優先」の行動ができなくなっている。トップが暴走したときに、直言できる人がいない。これでは政党として弱体というほかはありません。たまたまダメな首相が3代続いた、というよりは、自民党がちゃんとした首相を演出できなくなってしまった、というのが実態に近いのではないかと思います。

○さらにいえば、政権を取った後の民主党はどうなるのか。政党としてまとまった行動が取れるのか。あるいは官邸に入った後の鳩山首相に、意見できる人はいるのだろうか。まあ、小沢さんの独裁体制になるから大丈夫、てな声もあるかもしれないが、それはそれでどこに行くのか分からないので怖い気がする。問題なのはトップという人材なのか、それとも日本の組織全体の病理なのか。鳩山政権で「官邸再崩壊」なんて未来は、できれば見たくないものであります。
















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編集者敬白





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by Kanbei (Tatsuhiko Yoshizaki)