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【コラム】羅老号に見る韓国の宇宙開発の現状(下)

 では、韓国はなぜよりによって、これほどまでに頑固なロシアを技術パートナーに選んだのだろうか。韓国航空宇宙研究院の説明はこうだ。1987年、米国の主導でミサイル技術管理レジーム(MTCR)が発足した。大量破壊兵器への転用が可能な射程距離300キロ以上のミサイルや飛しょう体の技術の拡散を防ぐためだった。韓国は2003年ごろ、高性能の液体ロケットの開発に本格的に乗り出したが、国際社会の反応は冷たかった。同盟国の米国ですら、技術移転をためらった。中国やインドはMTCRに参加していないため、パートナーに選ぶことはできず、またフランスは多額の金を要求してきた。そして、唯一好意的な姿勢を見せ、費用も比較的安いロシアがパートナーに選ばれたというわけだ。

 こうした事情は十分理解できるが、もう一つ疑問を抱かざるを得ない。ロシアとの技術協力が、果たしてロケットの中核技術の移転にまでつながるのか、ということだ。これについては正直、確信できない。現在、韓国とロシアの関係は、「技術協力」というより「技術依存」に近い。ロシアは羅老号の打ち上げまでの過程で、「技術保安協定」などを口実に、韓国が中核技術を学ぶことを許さなかった。技術的な面で韓国が何かを得ようとするためには、ロシア側が自発的に伝授するのを待つのではなく、韓国側が盗み出さなければならないというわけだ。

 だとすれば、ここらで冷静に考えてみよう。韓国が国際社会のけん制の下で、ぼう大な費用と時間を費やしてまで、独自の大型ロケットの技術を開発するのが国益にかなうことなのか。あるいは、韓国は科学技術関連の人工衛星の開発や宇宙空間の研究だけに専念し、打ち上げは必要なときに米国やフランスなどのロケット技術の先進国に依頼することが国益にかなうことなのか。イギリスやドイツなど、多くの先進国はなぜ、独自の技術による大型ロケットの開発をあきらめたのだろうか。そして、韓国の技術のレベルは実際どの程度であり、国家の安全保障や国際政治の観点において、高性能のロケットの開発が持つ意味は何なのか。政府はただ「宇宙大国」を叫ぶのではなく、こうした疑問点について冷静に考え、最も国益にかなった宇宙開発の方向性を見出すべきだ。韓国の将来が懸っている宇宙開発は、そうあるべきではないだろうか。

イ・ジュン論説委員

【ニュース特集】羅老号打ち上げ成功

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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