メディア企業向けに特化したCMS(Content Management System)で、今風の言葉で言えば「クラウド」だ。システムは、記事の投入や掲載といったコンテンツ管理だけでなく、会員の管理機能、メールマガジンの配信や小口課金もあり、広告の効果測定もできる。読者のプロフィールや記事の閲覧状況に応じた付加価値の高い広告を配信することも可能。開発を担当する井上氏は「これまでのWebメディアの運営経験を生かし、使い勝手にこだわった」と自信を見せる。
グーグルのアドセンスやヤフーのアドネットワークは単価が安いが、同社はisMediaに高品質なメディアを集め、共同で特集記事やタイアップ広告を横展開することで収益力向上を支援する。「システム、人的サービス、ビジネススキームの3つがそろっているのがポイント。メディアは利用することで開発やランニングコストを削減できる」と菅原社長。
ネット事業は決して「安く」ない。システム構築には資金も専門的な知識も必要だが、既存メディアにはノウハウはほとんどないため、システム会社に多額の費用を支払ったり、担当者の知識が古くなり市場環境に対応できなくなったりすることもある。「Webだけ自前でやるのは媒体ごとに印刷会社を持つようなもの。これはムダでしょう。雑誌がどこに印刷しているか気にならないように、Webシステムが自前かどうかも読者は気にしていない。それよりも、メディアのブランドが大事なのではないか」と菅原社長はネットワークへの加入を呼びかける。現在、isMediaを利用しているのは月刊誌「WEDGE」のウェブ版、近く数社加わるという。
川嶋編集長は、メディアネットワークの登場によって記者の働き方の変化も予想する。インフラではなく、ネットメディアがコンテンツで切磋琢磨できるような環境を作れば、記者は媒体に属さず「個」として活躍するようになるのではないだろうか。「バラエティ番組を作っている場合じゃない。技術が進歩して、ネットにはさまざまな『知』が集積されるようになっている。日本だけ置いてけぼりというわけにいかない。メディアを改革して日本を元気にしたい」と、川嶋氏は抱負を語った。
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