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故・宮川一夫さん作“銀残し”フィルム発見 色あせぬ現像処理技術 (2/2ページ)

2009.8.24 07:30
ほぼ半世紀ぶりに“開封”された「おとうと」のカラーポジフィルム(NHK提供)ほぼ半世紀ぶりに“開封”された「おとうと」のカラーポジフィルム(NHK提供)

 今回のポジは宮川さん宅の暗室の奥で、表に「おとうと」と書かれて密封されたフィルム缶の中から見つかった。撮影したネガフィルムのカット尻と呼ばれる不要な切れ端を1本につなげて、銀残しの試し焼きを行った「完成品」と同じ色合いのポジで、上映すれば30分程度の長さとみられた。

 東京現像所で水洗したところ、残念ながら完全に退色しており、フィルムも伸びてしまっていた。しかし、フィルム映像部タイミング課の福島宥行(ひろゆき)さんによると、黒色部分はしっかり定着しており、銀残しには「黒」を強める効果があること、独アグファ社製のアグファフィルムが適していることなどが分かったという。

 福島さんは「市川監督はモノクロで撮りたかったが、会社(大映)はカラーで撮るようにと譲らなかったため、やわらかな画調にするのにかなり苦労したらしい。ほぼ50年たって、モノクロに退色してしまったこのフィルムを監督が見たら、『こっちのほうがきれいじゃないか』と言うかもしれない」とも語る。

24日に衛星第2

 この銀残しポジフィルム発見は、24日にNHK衛星第2で放送される宮川さんの生涯を振り返る特集番組「映画カメラマン 宮川一夫〜没後10年 世界がみとめた映像の技〜」のなかでも紹介される。

 示野浩司プロデューサーによると、番組では東京現像所が保存する当時の「おとうと」の銀残しのタイミング(色彩調整作業)データをもとに、新たにテレビ放送用にニュープリントを焼き、同じ場面を通常の現像方法で焼いた映像との比較も行うという。

 「おとうと」のニュープリントは10月22日、同チャンネルで放映予定。示野プロデューサーは「いま見られる、製作当時の銀残しの色合いに最も近い映像になる」と話している。

このニュースの写真

ほぼ半世紀ぶりに“開封”された「おとうと」のカラーポジフィルム(NHK提供)
見つかったフィルムを試写。姉役の岸恵子の出演場面だが、モノクロに退色していた…(NHK提供)
世界初の銀残しカラーポジフィルムを密封缶から取り出して点検する長男の宮川一郎さん(右)と次男の二郎さん(中)=京都市北区の宮川さん宅(NHK提供)
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