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故・宮川一夫さん作“銀残し”フィルム発見 色あせぬ現像処理技術 (1/2ページ)

2009.8.24 07:30
ほぼ半世紀ぶりに“開封”された「おとうと」のカラーポジフィルム(NHK提供)ほぼ半世紀ぶりに“開封”された「おとうと」のカラーポジフィルム(NHK提供)

 今月で没後10年となる世界的な映画キャメラマンの宮川一夫さんが昭和35年、フィルム現像に映画史上初めて“銀残し”という特殊な手法を用い、市川崑監督がカラー映画ながらモノクロを思わせる淡い色合いの画調に仕上げた名作「おとうと」(大映東京)。その“銀残しのカラーポジフィルム”が製作当時に密封された状態のまま、京都市内の宮川さん宅で見つかった。すでに退色していたが、現像処理技術をたどる上で「貴重な発見」とみられている。(山根聡)

名作「おとうと」

 「おとうと」は大正時代、作家の父と継母の間で荒んでいく弟(川口浩)と、そんな弟をかばう気丈な姉(岸恵子)との絆を描いた幸田文の自伝的小説の映画化。

 昨年が生誕100年の宮川さんは、著書『私の映画人生60年 キャメラマン一代』の中で、銀残しについて語っている。

 「私の年代だとあの時代を知っている。こういう色で、こういう状況だったと記憶があります。それで、ラボの方の手を借りて、銀残し(現像ずみのポジから発色部分の脱銀粒子を残す手法)という特殊現像をしました。撮影のときも、大正時代の古びた感じを出したかったので、ロケーションのときに、コンプレッサーで木の葉にグレーの塗料を吹きつけたりして、被写体の色を殺してモノクロに近い感じで撮っています」

 銀残しは近年、米映画「セブン」や「プライベート・ライアン」のほか、邦画でも使用されているが、「おとうと」が第1号だ。

このニュースの写真

ほぼ半世紀ぶりに“開封”された「おとうと」のカラーポジフィルム(NHK提供)
見つかったフィルムを試写。姉役の岸恵子の出演場面だが、モノクロに退色していた…(NHK提供)
世界初の銀残しカラーポジフィルムを密封缶から取り出して点検する長男の宮川一郎さん(右)と次男の二郎さん(中)=京都市北区の宮川さん宅(NHK提供)
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