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故・宮川一夫さん作“銀残し”フィルム発見 色あせぬ現像処理技術 (1/2ページ)
今月で没後10年となる世界的な映画キャメラマンの宮川一夫さんが昭和35年、フィルム現像に映画史上初めて“銀残し”という特殊な手法を用い、市川崑監督がカラー映画ながらモノクロを思わせる淡い色合いの画調に仕上げた名作「おとうと」(大映東京)。その“銀残しのカラーポジフィルム”が製作当時に密封された状態のまま、京都市内の宮川さん宅で見つかった。すでに退色していたが、現像処理技術をたどる上で「貴重な発見」とみられている。(山根聡)
名作「おとうと」
「おとうと」は大正時代、作家の父と継母の間で荒んでいく弟(川口浩)と、そんな弟をかばう気丈な姉(岸恵子)との絆を描いた幸田文の自伝的小説の映画化。
昨年が生誕100年の宮川さんは、著書『私の映画人生60年 キャメラマン一代』の中で、銀残しについて語っている。
「私の年代だとあの時代を知っている。こういう色で、こういう状況だったと記憶があります。それで、ラボの方の手を借りて、銀残し(現像ずみのポジから発色部分の脱銀粒子を残す手法)という特殊現像をしました。撮影のときも、大正時代の古びた感じを出したかったので、ロケーションのときに、コンプレッサーで木の葉にグレーの塗料を吹きつけたりして、被写体の色を殺してモノクロに近い感じで撮っています」
銀残しは近年、米映画「セブン」や「プライベート・ライアン」のほか、邦画でも使用されているが、「おとうと」が第1号だ。
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