2009年8月25日10時18分
三菱自動車は今後、製造現場で必要となる非正社員は、直接雇用の期間従業員で確保し、派遣従業員は使わない方針を固めた。昨秋以降の不況で「派遣切り」が社会問題になったことを受けて、派遣会社を通じず、直接非正社員と契約することで雇用責任を明確にするという。
三菱自は、エコカー減税などの政府支援で国内販売が底打ちしたこともあり、増産に踏み切る方針だ。年明け以降日中だけの勤務だった岡崎工場(愛知県岡崎市)では9月から、水島工場(岡山県倉敷市)の乗用車ラインでも11月から昼夜2交代制にする。
2交代制にともない、岡崎工場では約350人、水島工場では約300人の非正社員を採用する予定だが、いずれも期間従業員とする。今後、増員が必要な場合も派遣従業員は原則使わない方針だ。
三菱自の主力となる水島工場では、昨年11月末にいた非正社員約1400人のうち約千人が派遣従業員だった。しかし、民主党が製造業への派遣の原則禁止を打ち出すなど、実質的な雇用主と労働者の間の責任が不明確とされる派遣への批判が高まるなか、直接雇用に絞ることにした。
ただ、期間従業員も派遣社員も契約期間が終了すれば、解雇できる不安定な雇用であることは同じだ。三菱自は、今後採用する期間従業員は本人の希望に応じて正社員への登用制度に応募できるようにして、正社員への道を用意する方針だ。(大日向寛文)