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【産科医解体新書】(51)子宮頸がん検診受けて
産婦人科領域のがんで若い人にも増えているもの、それは子宮頸(けい)がんです。ほかのがんは中高年になってからの発症が多いですが、子宮頸がんは30代半ばが発症のピークです。妊娠を契機に発見されることもありますし、まれですが10代の患者さんもいます。多くの子宮頸がんは性行為によってHPV(ヒトパピローマウイルス)に感染することが原因で発症するといわれています。
若い人に増えているといっても、初期に発見できれば子宮を取らなくてもすみますし、その後の妊娠・出産も可能で、ほぼ完治します。ただ、検診を受けずにいると妊婦健診で偶然見つかることもあります。そうなると、進行具合によっては赤ちゃんをあきらめる必要があるかもしれません。発見が遅ければ、命にかかわることもあります。
やはり早期に発見することが大事ですが、それには検診を受けるしかありません。日本の子宮頸がん検診受診率は欧米に比べて、いまだ低いのが現状です。この状況を改善するために行政も検診費用を補助しています。検診費用を賄っても病気自体を早期に発見できれば、結果として医療費を抑制できるからです。
不正出血などの症状がなければ病院へ行きたくないのが人情かもしれません。特に婦人科の場合は、妊娠や病気がないのに受診するのには抵抗があるでしょう。しかし、検診自体は意外にあっさり終わります。病気の重大性とてんびんにかければ、気持ちを切り替えるしかないでしょう。
女医さんのクリニックも増えています。そうしたところへまずは相談に行くと良いかもしれません。「がんのことはがんの専門家に」と、最初からがんセンターなど大きな病院に検診を受けにいく人もいますが、検診だけなら町の産婦人科のクリニックで大丈夫です。町のクリニックの医師も、大抵は大きな病院でトレーニングを受けており、必要があれば最先端の病院を紹介してくれますので、安心して受診してもらえればと思います。(産科医・ブロガー 田村正明)