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第17回 NTTドコモ山田和宏氏・加納出亜氏インタビューボタンひとつで展開される新世界 docomo「iウィジェット」

2008年11月に発表された「iウィジェット」は、「iアプリ」をベースに構築されたNTTドコモが提供するウィジェットのプラットフォームです。「iウィジェットボタン」と呼ばれる専用ボタンを押すことで別画面にて表示され、最大8つのウィジェットを画面に同時起動することができるのが特徴で、発表以来着々と搭載端末を増やし、ユーザを拡大しています。今後発表されるdocomoの携帯電話にはデフォルトで搭載されていく予定であるこの「iウィジェット」の導入意図から今後の展開まで、NTTドコモの山田和宏氏、加納出亜氏にお話をうかがってきました。

導入にあたって

--今回、iウィジェットはどのような目的をもって導入が決定したのでしょうか?

加納 : 我々は日々、携帯電話の発展と活性化のためにサービスの向上を追求しています。情報アクセス性やユーザビリティをさらに向上させるために何ができるのか、についての多角的なに模索の一環として、もともとリリースしていたiアプリをより手軽に利用できる新たなアプローチがあればと考え、iウィジェットを導入しました。iアプリと緊密な連携をするというところを活かして、iウィジェットをiアプリの出店のように使ってもらいたいと思っています。マルチタスクで上手く利用していただくのが我々としての理想ですね。

--他社の発表している携帯電話のウィジェットとの違いを教えてください。

山田 : 大きく2つの違いがあります。それは開発言語と利用画面です。まず、開発言語ですが、他社やwebでのウィジェットはHTML、JavaScript、CSSなどの言語で設計されていますが、iウィジェットは言語としてはJavaで動くようになっています。これはもともとiアプリとの連携を考えて導入したことが大きな背景になっています。
次に利用画面ですが、他社の携帯電話で利用するウィジェットの場合、待受画面に直接貼る形式のものがありますが、弊社は専用ボタンと専用画面を提供しており、iウィジェットは普段の画面とは別の画面に表示されるようになっています。携帯電話は、IT機器を利用することに慣れていない方にも使っていただく商品ですので、できるだけ邪魔にならないようなユーザインターフェイスへの配慮からこの見せ方に行き着きました。

--なぜ、iアプリをベースにしてiウィジェットを展開することになったのでしょうか?

加納 : 携帯でウィジェットを活用する際に、どのように使うのが一番面白いのかと考えました。通常のPCのウィジェットとは違ったアプローチで、携帯ならではの機能を利用できるといい。例えば、端末の電池残量や電波状況から、GPSでの位置情報を利用したサービスやお財布ケータイを利用したものなど、PCではできないものを実現させたい。それらを自然な形で活用するのにどうすればいいか、というときに、弊社のサービスとしての過去の蓄積があるiアプリをベースにするのが自然な流れでした。

--ウィジェットを開発する側からすると、多くのプラットフォームに対応させようとした場合に開発言語が異なることによって、1つのサービスをワンソースで済ませられないのが悩みですが、そこはどうお考えでしょうか?

山田 : ワンソースに対応することの重要性は理解しています。しかし、実際の開発現場で、複数のプラットフォームに対応しようとする際に本当にワンソースでできるかというと、答えはNOです。iアプリはすでに開放されたプラットフォームになっているので、そのメリットを流用できるようにしたほうがプログラマさんも開発しやすいだろうと思っています。セキュリティモデルなども、iアプリ開発者にはなじみのものなので、iアプリをきちんと理解されている方は簡単にiウィジェットも制作できるはずです。Javaがプログラムとして特殊な言語ということはないので、こなれたJavaで面白いものを制作してほしいと考えています。

--将来的にiアプリベースを離れる可能性はあるのでしょうか?

山田 : 可能性としては否定していません。先にも述べたように、携帯電話の発展と活性化のために、日々、webやPCサイドの技も含めて、様々な技術の革新を模索しています。しかし会社としては、今までiアプリで情報提供していただいていたコンテンツプロバイダの意向や過去の資産を無視して開発環境のサービスを提供するにより、混乱を起こしてしまうことは避けたいと考えています。

開発環境と事例紹介

--iウィジェットを開発したい場合はどういう環境を整えればよいのでしょうか?

加納 : 開発環境は、ひとことでいうと、iアプリの環境をそのまま活用いただけます。開発ツールなどは、作ろうiモードというページで公開していますので、そこから自由にダウンロードしていただければと思います。Starプロファイル向けの開発ツールにiウィジェットのための機能が同梱されています。制作・配布についても、通常のiアプリと同様に自由配布可能なので、iアプリとうまく連携したものも含めて自由に創意工夫してウィジェットアプリを作っていただければと思います。

--iアプリとの連携が図られているiウィジェットにはどのようなものがあるのでしょうか?

加納 : まず、連携が端的なものとしましてはマクドナルドのウィジェット「マクドナルドトクするアプリ」ですね。iウィジェットのほうで、マクドナルドのお店にある看板のようなマークがくるくる動くことで、新着のクーポン情報があることをお知らせします。それでメインであるiアプリへ誘導し、そこからマクドナルドの最新情報をチェックしたり、利用可能店舗が順次拡大している「かざすクーポン」をあらかじめ選んで、お店で利用したりすることができるようになっているんです。

加納 : これは弊社がゼンリンデータコムさんと共同開発したiウィジェット用の地図アプリなんですが、GPS機能によって、起動しただけで現在地付近の住所を確認することができます。さらに「地図検索」か「地図へ」を押すことでiアプリ本体のほうへアクセスして、詳細な地図を確認したり、ナビゲーションへとつなげることができます。また、現在地周辺か全国から施設検索をできる機能も利用できます。

加納 : iウィジェットらしさが良く表されているアプリとして、「ぴたのり」(正式名称:電光掲示発車案内/提供元:交通新聞社様)というウィジェットアプリがあります。駅・路線・方面をご登録いただくことで、現在時刻にあわせた発車時刻表と運行情報をスマートに確認できるようになっています。駅の電光掲示板をイメージしたデザインで、機能性だけでなく、初めてウィジェットに触れるユーザへの馴染みやすさも兼ね備えています。

今後の展開

--これからiウィジェットはどのように展開していくのでしょうか?

加納 : 使い勝手をよくすることを念頭において、色々な取り組みをして次なるアイデアを考えていきたいです。iウィジェットは導入したばかりのサービスで、改善の余地がまだまだあります。ユーザビリティなど、よりフレンドリーなものになるように改良していきたいですね。
先ほどのiウィジェットの利用画面の話と重複しますが、今回のiウィジェットは、作る側・使う側両方のエントリバリヤを低くしたい、という狙いから別画面で操作するようにしたという経緯がありました。
そこには、お好みの画像を貼ったりする待受画面としての特性、すなわちユーザのカスタマイズ性を確保しておくことや、お財布ケータイ機能を利用したウィジェットを待受画面に置くことで個人情報が露出してしまうのではといった懸念を避けるためや、待受画面にウィジェットが常駐することが電池消費を早めてしまう要因になっているのでは、と感じさせてしまうことを抑えるためという理由もあります。
他社の提供している携帯電話で利用するウィジェットのスタイルだと、画面をまるごと占有してしまう、待受画面に散らばってややこしい印象をユーザに与えてしまうなどの問題が予想されます。携帯の画面は小さいので、ウィジェットがアイコンと変わらないものになってしまう、という懸念もあります。
このように課題はたくさんあるので、ウィジェットのサイズや見せ方はどのようなものがいいのか、今の形から今後どうしていくかは常に意識したいですね。

-iウィジェットの開発者に関してはどう普及を働きかけていく予定がありますか?

山田 : iモードの黎明期~普及期には、公式から発表されたものがモデルとなって、それをユーザやプログラマが見て、それならこういうものもできるのでは? という形で新しいアイデアが具現化されていったという経緯があります。iウィジェットに関しては、現状は公式のコンテンツに先導していただいていますが、ある程度端末も普及してきたところなので、個人開発者の方々のご登場というところを期待したいです。
サンデープログラマの方がiウィジェットやiアプリを開発していくのは我々も大歓迎ですので、開発者のコミュニティに対しても積極的に情報提供など開発しやすい環境づくりに取り組んでいければと思っています。
iウィジェットは手軽に使えるものにも適した設計になっているので、サンデープログラマの方もわりと楽に開発ができるのではないでしょうか。

--widgetownの読者には、iウィジェットを開発するプログラマの方も、利用するユーザの方もいらっしゃいます。彼らへのメッセージをお願いします。

山田 : 開発者へは、Starプロファイルに進化したことで、iアプリ全体が格段に進化したということをお伝えしたいです。タッチパネル対応ができるようになったことなどの良さも活かして、iウィジェットとiアプリの2面性をもった作品を、今までのiアプリの延長で作っていただけるとありがたいと思っています。
われわれなりにリッチでかつ使い勝手がよいものを作ったと自負していますので、プラットフォームをするめのようにしゃぶりつくしていただきたいです。

加納 : ユーザへは、今回ウィジェットを導入するに当たって、これまで以上にiアプリが身近なものになったことをお伝えしたいです。簡単にかつ手軽に日常生活を楽しく便利に過ごせるツールが揃っていますので、先ほど紹介させていただいた地図ウィジェットやクーポンのみならず、お客様にマッチしたウィジェットアプリを、ふと思ったときにウィジェットボタンを押して活用する、という使い方をしていただきたいと思います。

--ありがとうございました。

文:widgetown編集部
2009年6月2日

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山田 和宏

株式会社NTTドコモ
コンシューマサービス部 ネットサービス企画 サービス戦略担当主査
1999年入社。最初のiアプリ対応端末の企画から、同サービスのビジネス要件定義等に携わる。サービス部門の中でアプリ技術によるサービスの高度化の企画を担当し、その一環としてiウィジェットのプラットフォーム企画に参画し、技術面を中心に担当。

加納 出亜

株式会社NTTドコモ
コンシューマサービス部 ネットサービス企画 サービス戦略担当
2000年入社。システム開発、技術リサーチ業務を経て、新サービス実現のためのニーズ発掘と要件企画に従事。iアプリやブラウザ等のサービス、ユーザインターフェースの高度化に参画し、その中でiウィジェットの企画を担当。

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