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第18回 mixi椙原誠氏インタビューmixiアプリが誘発する次世代のコミュニケーション
国内最大のSNS「mixi」が8月24日にリリースした「mixiアプリ」は、「mixi」ユーザのプロフィールやソーシャルグラフといった独自のデータベースを利用できるwebサービスです。1700万人を超えるユーザが利用することになること、企業も個人開発者も参加しやすいビジネスモデルだということ、一攫千金のサクセスストーリーが生まれる可能性があることなどから、大きな注目と期待を集めています。これからのコミュニケーションスタイルを変えかねないこの大型プラットフォームについて、mixiの椙原誠氏に詳しいお話をうかがってきました。
--今回、mixiアプリはどのような目的をもって導入が決定したのでしょうか?
椙原 : mixiは幸いなことにとても多くのユーザ様にご利用いただいております。それはとても嬉しいことなのですが、その反面ユーザ様のニーズの多様化が起こり、メインのサービスである「mixi日記」以外にもユーザ様に喜ばれるサービスを提供する必要性が出てきました。しかし、mixiだけで新しいサービスを一つずつ開発・提供していくのはとても難しいという状況がありました。また、mixiが大きくなっていく過程で、様々な企業から一緒にビジネスができないかと提案を頂いていたのですが、mixiとしては自社サービスの拡充にリソースを裂かれてしまい、提携的なサービスを思い切って進められないという状況がありました。そういった2つの状況から、mixi自体をプラットフォーム化することによって、サードパーティの方が自由にサービスやアプリケーションを提供できる仕組みを整えれば、ユーザ様のニーズも満たせますし、mixiと一緒にビジネスがしたいという方の要求も満たせると考えたのです。そこから「mixi Platform」、「mixiアプリ」が始まりました。
--本来mixiが管理していた場所を開放することで、運営の際のイニシアチブが弱くなるという考え方もあります。それでもオープン化を判断したポイントは何だったのでしょうか?
椙原 : mixiの利用方法は色々ありますが、どの利用方法も、実際の人と人とのつながりがあり、そこでコミュニケーションをはかっていただくというのがベースとなっております。より魅力的なサービスにするためには、既存の日記など以外にも、1700万以上のユーザの皆さまやシーンごとの様々なニーズに合った、コミュニケーションツールを増やすことが活性化に繋がるだろうと考えました。そのためには弊社のみでそれらの機能を開発していくよりも、オープン化をして、多くの企業や個人の方に開発いただいた方が、様々なアプリが生まれ、それらをお使いいただくことで、mixiがさらに活性化していく、そういう判断でオープン化に舵を切ることを決めました。
--mixiアプリは、「ソーシャルアプリケーション」という名称で呼ばれています。これはどういう概念なのでしょうか?
椙原 : まず、PCのデスクトップで起動する「デスクトップウィジェット」や、携帯電話で利用できる「モバイルウィジェット」などと呼ばれているものがあります。これは色々な定義があるでしょうが、私どもの定義としては、自分が自分のために使うツール、というものです。「ソーシャルアプリケーション」は、それとは違い、人間関係をベースに利用するものです。誰かと一緒に使うことで、面白さが倍増するようなものになります。例えばゲームのアプリの場合、一人でもくもくと点数をかせぐような仕様ではなく、他のユーザに対してギフトをあげることでゲームが進行したり、互いに競争ができたりという仕組みが組み込まれたものになります。
--では、mixiアプリを、ユーザはどのように活用していくのでしょう?
椙原 : mixiアプリはコミュニケーションを活性化させるツールなので、マイミクシィ同士、mixi利用者同士で共有感をもってご利用いただければと思います。そこからさらにmixiの便利さや楽しさが深まるようなことがあれば嬉しいですね。
--mixiアプリの開発に必要な環境などを教えてください。
椙原 : 基本的にブラウザに表示できるものならなんでも動きます。グーグルが提唱しているOpenSocialという規格に則っているプラットフォームなので、APIなどはそれに準拠しています。
--制作・配布は誰でもできるものなのでしょうか?
椙原 : mixiアプリはオープンなプラットフォームなので、アカウントを取ってログインしていただければ、個人での制作、法人での制作、両方とも問題なくできます。配布に関しても、利用規約に反していないものであれば、制限無く広めることができます。
--ビジネスとしてmixiアプリを提供する方への機能としてはどんなものがありますか?
椙原 : 広告のレベニューシェアモデルや、ユーザ様に課金する為のAPIなど、ビジネスをサポートするプログラム機能を用意しています。また、一人のユーザ様が利用をはじめると、そのユーザ様が利用しはじめたことをマイミクに自然と伝えられる機能がありますので、マイミクからマイミクへと、バイラルしていきます。いいアプリであれば、提供サイドがマーケティングコストをかけることなく、自然と広がっていくのです。マイミクとのつながりを活かしたアイデアだけでも勝負ができるプラットフォームを目指しています。
--反響が大きいだろうと予想しているmixiアプリの分野はありますか?
椙原 : 「ソーシャルアプリケーション」という軸で考えたときに、流行るだろうなと思っている分野が2つあります。それは「ゲーム系のアプリ」と「便利系のアプリ」です。「ゲーム系のアプリ」は、友達と一緒に遊べたり、ちょっかいをだせたり、アイテム交換ができたりする、という機能を持った人間関係を活かしたゲームです。「便利系のアプリ」とは、マイミクシィ同士のスケジュール調整をする、共有メモを残す、といった、知り合い同士で使うことによってより便利になるものですね。
--一発芸などのジョークアプリはどうでしょうか?
椙原 : ジョークアプリも、友達に見せる、笑わせる為に使うものだと思うんです。誰もいないところで一発芸してもしょうがないので。仲間内だけでも楽しめるものならば、それはソーシャルアプリだと思いますよ。それが他の人にも伝播するようなら素晴らしいと思います。
--mixiアプリの展望と携帯版mixiアプリについて教えて下さい。
椙原 : OpenSocial準拠のAPI以外にもmixi独自のAPIなども準備して、より多くの情報を利用できるようにしていきます。携帯版に関しては、PC版の一ヵ月後にリリースする予定になっています。mixiのモバイルでの利用頻度は非常に高いです。コミュニケーションはいつでもどこでもやりたいことなので、肌身話さず持ち運びできるデバイスでのmixi活用が頻繁になるのは当然だと言えますよね。mixiアプリがモバイル対応になることで、より爆発的に広まるのではと考えています。
--最後にmixiアプリの開発者へ向けてメッセージをお願いします。
椙原 : 先ほど「ソーシャルアプリケーション」の説明のときにお話したように、mixiアプリは人間の相互関係を基にしています。ユーザ同士の関係をうまく企画に盛り込むことが出来れば、成功するmixiアプリが作れるでしょう。iPhoneアプリでの成功例のように、個人の方が一晩で莫大なお金を得ることもありえます。mixiアプリなら利用されることで皆に知られて利用されるスピードが格段に上がることは間違いありません。事業拡大を考えている企業からプログラミングを勉強している学生さんまで、ぜひとも開発にトライしていただきたいと思います。
--ありがとうございました。
文:widgetown編集部
2009年7月28日
椙原 誠
株式会社ミクシィ
mixi事業本部 企画部 パートナーサービス企画グループ アライアンス推進チーム サービスプランナー
1979年9月8日生まれ。
2002年4月、株式会社NTTドコモ入社。
その後ベンチャー企業2社の立ち上げに参画。
2009年2月、株式会社ミクシィ入社。
mixi Platform関連のサービス企画、各種アライアンス業務全般を担当。
【追記】今回のタイトル写真は、受付に飾られているミクシィ創業時からの歴史を物 語る写真を背景に撮影されたものです。ミクシィ様を訪れる機会のある方は、ぜひそ の目で確かめてみてください。
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