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2005年05月13日

星野道夫と見た風景

著者:星野道子、出版社:新潮社
 写真家・星野道夫がカムチャッカ半島でヒグマに襲われて8年もたったそうです。奥さんが事故の真相を明らかにしています。彼はテレビ番組の取材に同行していたのです。このとき、心ない人物がヒグマを確実に撮影するために、ヒグマをおびき寄せようと考えて人間の食料を与えたらしいのです。ロッジを離れて、ひとりテント生活を送っていた彼を、お腹を空かしたヒグマが襲いかかりました・・・。
 キャンプ生活のときには、身のまわりに置かない、食後はすぐに食器を洗って片づける。そんなアドバイスを、奥さんは彼から受けていたと書かれています。彼が大変用心深かったことがよく分かります。惜しまれてなりません。
 それにしても新鮮なカットの写真集です。どれも生命の躍動を感じさせます。クマの親子が寄り添っている風景は、全身で信頼していることがよく伝わってきます。そして、アザラシの赤ちゃんの可愛いことといったら、ありません。白いぬいぐるみなんてものではありませんね、これは・・・。オッパイ飲んで満ち足りてスヤスヤ眠っている赤ちゃんの黒くぬれた鼻は生命力にみちあふれています。夕日にかがやく一群のカリブーたちの写真も傑作写真です。
 手にとって頁をめくるだけでも、ひととき心をなごませてくれる、いい写真集でした。

投稿者 霧山昴 | URL | トラックバック (0)

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