女性の服装が薄着になる夏は、強制わいせつなどの性犯罪が毎年増える傾向にある。県警は4月に犯罪抑止対策室を新設し、女性や子供をわいせつ事件から守るさまざまな取り組みを開始。専従班を作って取り締まりを強化するとともに、防犯意識を高く持つよう注意を呼び掛けている。
県警生活安全企画課によると、今年上半期(1~6月)の強制わいせつ認知件数は75件で、過去5年間で昨年同期(88件)に次いで多かった。8月は毎年、1年間で最もわいせつ事件が多くなる月で、昨年は7月の18件から29件に急増した。
時間帯で見ると、7割以上が午後6時以降の夜間に発生。1人で歩いて帰宅中の女性が路上で背後から抱きつかれたり、口をふさがれるなどして被害に遭うケースが増えているという。
特に、イヤホンで音楽を聴いたり、携帯電話を操作しながら歩いていると、不審者の接近に気付くのが遅れて危険といい、同課は「たまに後ろを振り返るだけでも効果がある。自分で防犯意識を持って、人けのない場所を歩く際は十分気を付けてほしい」と呼び掛けている。
また、未成年者に対する公然わいせつやつきまといなどの発生件数は今年1~6月で96件。昨年同期の113件から減少しているが、夏休み明けの9月に増加する傾向にあるため油断はできない。
同課は「性犯罪は徐々にエスカレートする。小さいうちに芽を摘んでしまうことが、性的暴行など重大犯罪の抑止につながる」としている。【鈴木一也】
毎日新聞 2009年8月15日 地方版