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プロジェクトコラム:H-IIB

H-IIBロケットにまつわる苦労話や思いなど、各担当の生の声をお伝えします。


有田 誠
担当:全段システム開発担当ファンクションマネージャ、ロケット班長

【はじめに〜大型ロケット10年目の集大成〜】

H-IIBロケット試験機は打ち上げのちょうど2ヶ月前となる7月11日に、地上総合試験(GTV)の発射リハーサルを無事に完了しました。山登りに例えれば9合目を過ぎ、頂上まであと一歩という感じですが、最後の仕上げにぬかりのないよう、打ち上げに向けた準備に全力で取り組んでいます。
思い返せば、H-IIBロケットは4年前の平成17年に本格的な開発が始まりましたが、その起源は今から10年前、平成11年のH-IIロケット8号機の失敗に遡ります。飛行中に突然停止し太平洋に沈んだ第1段主エンジンを苦労の末に回収。原因を究明して新型のH-IIAロケットに活かし、無事にデビューを果たしました。しかしこのとき、H-IIAの大きな目的のひとつであった「増強型」による打ち上げ能力の向上は見直しを余儀なくされ、HTVは打ち上げ手段を失います。ようやくH-IIAの打ち上げが安定した平成15年に、性能を更にアップしてリニューアルし、三菱重工との官民共同という新しい枠組みで開発を始めたのが今日のH-IIBロケットです。
ところがその直後、固体ロケットブースタ(SRB-A)の不具合によるH-IIA6号機の失敗などによって、H-IIB開発も停滞を余儀なくされる苦しい時期を経ました。世界に類を見ないほど低コストで短期間の開発もプロジェクト遂行上、常に悩みの種でした。
しかし今、種子島射場で打ち上げを待つH-IIB試験機には、全ての信頼性向上策を取り込んだ2基のLE-7Aエンジンと4基のSRB-Aが、新規開発した直径5.2mの第1段ロケットに取り付けられ、威風堂々、誇らしげにそびえ立っています。機体のアビオニクスと地上の打ち上げ制御システムの相性も申し分ありません。そして間もなく、HTVを搭載した新型フェアリングも合流し、打ち上げの時を待ちます。
このように、H-IIBロケットは、私たちJAXAやメーカ各社のロケット関係者10年間の熱い思いと努力の集大成であり、日本が世界に誇れるロケットだと思っています。これから打ち上げまでの約1ヶ月半の間、各担当からH-IIBにまつわる苦労話や思いを披露していってもらいますので、どうぞご期待下さい。

[2009年7月27日 更新]

川上 道生
担当:射点系・衛星系設備全般、設備班長代理/ロケット班長代理

打ち上げまで20日を切り、いよいよ高まる高揚感と適度な緊張感。この感覚が結構心地良く、入社以来の20年間、飽きることなくロケットの開発・打ち上げに関わる仕事を続けています。
現在の担当は、打ち上げに使用する地上設備の整備と運用、…最大のテーマは年季の入った設備の維持です。ロケットは打ち上げ毎に“新品”が工場から送られて来るのに対し、地上設備は雨風や塩害、あるいはロケットの噴煙にも曝されながら、古いものでは設置後20年間現役を通していたりします。これら古参設備と、H-IIB用に新設・改修された設備や最新の打ち上げ制御システムの全てを、打ち上げの瞬間に向け最高のコンディションに持って行くのが我々チームの使命です。人も同じ、ベテランと若手、関連会社の全員が一致団結して打ち上げに臨みます。
PS:打ち上げ後の小さな達成感とささやかな祝杯もやめられない理由の一つです。

[2009年8月24日 更新]

森 茂
担当:HTVインタフェース担当

HTVとの技術調整を担当しています。HTVはこれまでJAXAが打ち上げたペイロード(ロケットの積載物)の中で質量、大きさともに最大です。また、国際宇宙ステーション(ISS)に荷物を運ぶという特殊なミッションであり、通常の人工衛星とは違った要求があります。
HTVの投入軌道はこれまで打ち上げたことのない飛行経路を飛ばす必要があり、地上局との電波リンクを確保しながら、打ち上げ能力が最大となるように工夫をしながら経路の設定を行いました。また、HTVがISSへ運ぶ荷物は打ち上げ直前に変更になる場合があります。その場合、HTVを包んでいるフェアリングの中に作業者が入り、HTVのハッチを開けて荷物を交換する作業を実施する必要があることから、フェアリングには従来の2倍以上の大きなドアを装備しています。
H-IIBロケットの打ち上げも目前に迫り、ついにHTVと分離部の結合が無事に行われました。写真の指を指している部分が宇宙空間でHTVとロケットが切り離される部分です。
打ち上げ成功を目指して、関係者一丸となって作業を進めています。

[2009年8月24日 更新]

知久 成彦
担当:構造・機構・火工品系の開発担当

H-IIBロケットの最先端でペイロードを護る5S-H型フェアリングは、HTV専用に開発された国内最大のフェアリングです。外観上はH-IIAの5S型フェアリングを3m伸ばした形状ですが、構造強度を増加させた他、HTVの機能や装備品に合わせ、大型のレイトアクセスドアや突起物カバー、吸音性能を高めた防音ブランケット等を新規に開発しています。
私の後ろにあるのは、射場(種子島宇宙センター)に搬入され、機能点検および射場設備との適合性確認を終えた初号機(試験機)フェアリングです。今でこそ落ち着きましたが、開発段階では非常に厳しい状況に追い込まれました。大型化による荷重増加のため強度試験でこれまで経験したことのない事象が発生し、初号機出荷の直前まで改良と確認試験を繰り返すことになったのです。しかし、HTVの打ち上げスケジュールを絶対に守るという関係者の強い気持ちで乗り切りここまで来ることができました。
この先も、苦境を乗り越えてきた仲間たちと共に射場整備作業を着実に行って打ち上げに挑み、最後までHTVを護り抜きます。

[2009年8月24日 更新]

沖田 耕一
担当:ロケット推進系、1/2段エンジン、バルブ担当

H-IIB試験機打ち上げまで、いよいよ1カ月を切り、本格的に打ち上げ作業に移行しようとしているところです。
H-IIBでは、新たに信頼性向上目的とした4種のバルブと、LE-7Aエンジン液体酸素ターボポンプへの吸い込み性能を格段に向上させたインデューサを開発しており、全て初フライトになります。今回の初フライト品も開発時には不具合という洗礼を受け、新たな教訓となる経験を積み重ねさせていただきました。一時は目標通りの製品ができないという絶望的な状況もありましたが、最初から最後まで、関係者(三菱重工/IHI/JAXA)一丸となって、良い製品に仕上げようという熱意と努力によって、自信のあるものが完成したと自負しております。しかしながら、いざ打ち上げとなると、いい製品が完成したと自負しておきながらも、特に初フライト品はやり残したことはないか、と悶々とした日々が打ち上げが終わるまで続きます。

[2009年8月24日 更新]

嶋根 愛理
担当:射場管制官(RCO)

私たち射場班は、カウントダウン0秒からロケット追跡を行っています。その役割はロケットの位置を知るためのレーダ、内部の状態を知るためのテレメータ、制御をするためのコマンドと大きく3つあり、全てロケットが安全に飛行するために欠かせないシステムです。
私の担当する管制(RCO)はこれらのシステムの指揮を執る仕事です。0.1秒を争う管制室でテキパキ指示を出さなくてはなりません。ロケットが高速で飛行する短い時間の中、完璧な追跡を行うためには事前の入念な準備と抜群なチームワークがとても重要です。
さらに今回は、開発初号機ならではのたくさんの試験をクリアし、段々と本番に向かっていくプロセスは、射場班のみならずH-IIBに関わる全ての人の気持ちを一つにしていることを実感しています。
入社1年目の私は、7月に行われた地上総合試験(GTV)の発射リハーサルで初めて打ち上げに至る作業を経験し、打ち上げへの緊張感が高まってきました。最初に携わるロケットであるH-IIBロケット初号機は、私にとって本当に特別なロケットです。完璧な追跡ができるよう、今、ぬかりなく準備を進めています。

[2009年8月24日 更新]

中辻 弘幸
担当:推進系担当ファンクションマネージャ

H-IIB1段推進系は、日本で初めて、メインエンジンLE-7Aを2基装着する「クラスタシステム」をとっています。実はこのクラスタシステムの開発が始まったのは、10年以上前の1990年代後半からで、H-IIA増強型の液体ロケットブースの時に、この方式の開発が始まっていました。私がその当時担当していた基礎試験の結果は今も設計に使用されています。その後、H-II8号機の失敗を受けて、LE-7Aは各種改良が実施され、クラスタの液体ロケットブースターは、H-IIBの直径5.2mのコア機体として生まれ変わったのです。H-IIBの開発試験としては、昨年の厚肉タンクステージ燃焼試験、今年4月まで実施した実機型タンクステージ燃焼試験(CFT)と、何とか無事のりきることができました。しかし、エンジン2基装着するためにシステムが複雑になったこともあり、燃焼試験ごとに冷や汗の連続で、ここまでたどりつけたのもMHI(三菱重工)など関係者の努力のおかげだと思っています。10年以上に渡る、関係者のいろんな思いを込めて、H-IIBが宇宙に飛び立ちます。

[2009年8月17日 更新]

山口 敬之
担当:企画班 企画/気象係

私の所属する企画班はJAXA内外との窓口業務、スケジュール調整、打ち上げ隊の運営、予算管理、気象観測業務など打ち上げに係る幅広い業務を担当しています。
ロケットや人工衛星の打ち上げ整備作業を安全に進めるためには、常に気象条件に注意を払わなくてはいけません。特に、雷には要注意です。日常生活では何気ない雲であってもロケットや衛星、そして作業者に取っては命取りになりかねません。そういった不安定な大気が種子島宇宙センター近傍に来ないかどうか作業中は常に監視をしています。 H-IIBロケットのCFT/GTVの際にも天候状況を確認する会議が数回行われましたが、その結果によっては試験が延期となるため、結果が出るまでの間は毎回緊張と不安の連続でした。
H-IIBロケットの準備も順調に進んでおり、打ち上げまで1か月を切りました。皆さんの期待と思いと共にHTVを国際宇宙ステーションまで無事に届けるべく頑張ります。
打ち上げ当日が天候に恵まれるようてるてる坊主を作って打ち上げに臨みたいと思います!!

[2009年8月17日 更新]

原 利顕
担当:射点系地上設備の開発(機構系設備)

ロケットの打ち上げ時には、ロケットの噴射ガスからの設備保護、ロケット・衛星への音響反射低減などを目的として、大量の水を噴射しています。実は、この水がうまく噴射されないと打ち上げはできません。昨年の夏に、H-IIBロケット用に改修した冷却水設備の水流し試験を実施しましたが、想定外の水の跳ね上がりが発生して、噴射ノズルの方向調整など、その対処に悪戦苦闘しました。種子島の炎天下の中、1日中、試験に立ち会うこと2週間。水の跳ね上がりが収まったときの爽快感は今でも忘れられません。ヘルメットの紐の部分だけ白いままという「ヘルメット焼け」を経験したのもいい思い出です。などなど、そんな苦労話は他にもありますが、H-IIBロケット打ち上げに向けた地上設備の開発は無事に完了しました。あまり意識されないことですが、ロケットの打ち上げ成功の裏には地上設備の活躍があります。いわば、縁の下の力持ち。その力が、打ち上げに関わる全ての人の思いを載せて、H-IIBロケット打ち上げ成功に導いてくれると確信しています。

[2009年8月17日 更新]

川邊 泉
担当:H-IIBロケットの開発・製作にかかる検査・立会

名古屋駐在員事務所ではロケットを製作している工場へ行って、機体が要求通り製作されているか検査をしたり、製造において技術的に問題が起きた場合はメーカーと一緒になって解決していきます。名古屋はいわばロケット製造の最前線であり、名駐(名古屋駐在員事務所)は、JAXAの中でも実際に製造現場で間近にロケットが出来上がっていくのを見ることができる数少ない部署です。
昨年4月、私が入社したての頃、このH-IIB試験機の製造が本格化してきました。この1年間でH-IIB試験機が段々出来上がっていくのと同時に、私自身も少しずつですが、ロケットについて、モノ作りについて、製造・品質管理について、学び成長していけたような気がします。電気系の検査や試験立ち会いを主に担当しているので、機体製造の最終段階に実施される電気機能試験では、毎日のように工場へ通い、試験に立ち会ってロケットが持つ色々な機能に問題がないことを一つ一つ確認していきました。こうやって、たくさんの工程を経て、その間にはJAXA職員はもちろんのこと、メーカーの設計される方・作業をされる方をはじめとする本当にたくさんの人の手がかかって、やっと一つの機体が出来上がっています。そんな一人一人の思いが詰まったH-IIBが9月11日に打ち上がるのを、H-IIBと共に過ごした私自身も楽しみにそして緊張しながら、打ち上げに向けて頑張っていきたいと思います。

[2009年8月10日 更新]

白石 紀子
担当:全段システム担当/LCDR

宇宙に行くことは難しい?車に乗ってでかけるように、船に乗って海を渡るように、飛行機に乗って空を飛ぶように、ロケットに乗って宇宙に行ける時代…そんな時代が早く来るように!それが、私がロケットの仕事を選んだ理由です。
入社して7年半、H-IIAロケット打ち上げの現場、6号機の失敗、H2A204開発と貴重な経験を積んで、今、H-IIBロケットの開発をしています。最近感じているのは、ロケットを打ち上げているのは人の力だということです。私が出会った多くの人たちが、種子島で打ち上げられるロケットのために日々仕事をしています。打ち上げを成功させるために必要なことは、開発試験、製造、点検、検査など一つ一つが確実に行われることです。そしてそれをしているのが、ロケットに携わっている人たちです。多くの人たちに支えられてH-IIBロケット試験機は今種子島宇宙センターで打ち上げを待っています。
打ち上げでの私の仕事はLCDR(ロケット発射指揮官)です。X-280秒に自動カウントダウン発令のボタンを押すには、それまでに全ての準備が完了している必要があります。ロケットに関わる全ての人達の協力を得なければ実行できない任務を担っていると思っています。打ち上げまで後1ヶ月ちょっと!みんなのロケットでHTVを国際宇宙ステーション(ISS)届けられるように、力を合わせてがんばりましょう。

[2009年8月10日 更新]

上田 広幸
担当:射点設備(推進・機構系)

H-IIBロケットの射点(発射場)設備は、H-IIAロケット用として作られた射点設備を基にH-IIBロケットに変更が必要な箇所だけに限定して改修をしました。
この改修工事を行う間にもH-IIAロケットの打ち上げ作業が行われていました。H-IIBロケットへの設備改修工事はH-IIAロケットの打ち上げに影響を与えないようにその合間を縫って行う必要があります。ロケットの打ち上げ日は、ロケット、人工衛星の状況やあるいは、天候等によって変わるため、改修工事も打ち上げが終了しなければ進めることができません。そのため工事中も、H-IIAロケットの打ち上げが遅れるとどうなる、次の打ち上げがいつ頃だからそれまではどこまでできる、という限られた時間の中で、関係者とスケジュールの調整を行い、工事を進めていく必要がありました。
H-IIBロケットが、種子島宇宙センターに入ってくる時期はおおよそ決まっており、射点設備の工事の完了期限は決まっています。しかし、H-IIAロケットの打ち上げ等があり、思うように工事を計画、実施できない期間が何度もありました。H-IIAロケットが打ち上がる前は、いつまでの遅れなら予定通り工事ができる、できない場合はどうするという検討を何度も重ねてきました。幸いにも、改修工事に大きく影響を与えるような打ち上げの変更はなく、工事を進めることができました。2008(平成20)年は、3月以降打ち上げがなかったたため、集中して工事を進めることができした。
H-IIBロケットの機能試験、CFT、GTV等確認作業が進むにつれ、発生したトラブルをひとつひとつ解決していき、射点設備が順調に可動していく様子を確認し、打ち上げに対する自信が深まっていきます。
射点設備は、H-IIBロケット試験機の打ち上げ終わりではありません。打ち上がった後は、射点設備を次の打ち上げに向けて補修、修理する必要があります。設備の開発は試験機が上がって次のロケットを無事迎える準備が終わるまで続きます。

[2009年8月10日 更新]

小林 清
担当:推進系開発担当、ロケット班プロジェクト管理係主任

思えば今まで5機種のロケットに係わった仕事をしてきましたが、基本設計から地上総合試験(GTV)まで一貫して担当できたのは、H-IIBロケットが初めてです。日本では前例のないエンジン2基クラスタ(LE-7Aエンジンを2基束ねて推力を得る方式)による推進系の開発でしたが、パートナーである三菱重工業と協力しながら、大きな問題無くここまで進むことができました。
秋田県の深い山中にある燃焼試験場で極寒深雪の時期に、初めて10秒間のクラスタ燃焼試験に成功したのですが、その瞬間は非常に冷静な気持ちだったのが自分としては意外でした。それまでの開発作業の結果から、成功して当たり前と頭の片隅で考えていたせいでしょうか。
同じように試験機のフライトもきっと成功します。種子島宇宙センターでのGTVも無事に完了し、あとは打つのみ!翔べ宇宙へH-IIB!!

[2009年8月3日 更新]

松田 武志
担当:CFT/GTV計画管理、打ち上げ運用管理等

昨年10月からこのプロジェクトに参加しています古株の新参者です。
振り返ってみればあっという間にH-IIBロケットCFT/GTVが終わった印象で、過去のロケット/設備の開発と運用を通して得られた経験と実績が生かされ、限られた予算の制約の中で着実に進歩しているんだなあ、と実感しています。これからは、間も無く始まる打ち上げに向けて気を引き締め、成功の美酒を飲むぞー!。

[2009年8月3日 更新]

名村 栄次郎
担当:構造・機構・火工品系の開発担当

H-IIBロケットを印象づける、太くどっしりとした1段機体。この大部分を占めるのがH-IIAに比べ2倍近い推進薬を搭載する円筒形の大型タンクであり、H-IIB開発の柱の一つです。このタンク開発も、他の構成品同様H-IIAまでの技術・実績にしっかり立脚したものですが、そこに直径5mを超える一枚板からお椀状のタンク鏡板を一体で製造する技術や、大型化に伴い厚肉化したタンク外板同士を溶かさず高品質に接合する技術など先端技術を意欲的に融合させ、高い信頼性と高い性能を兼ね備えた世界に誇るH-IIBに仕上がりました。
さあ、数多くの関係者が心血を注いだ試験機打ち上げまであとわずかです。4本の固体ロケットブースタ(SRB-A)を含めると幅10m、高さ57m、重さ550tというちょっとした高層ビルがそのまま飛び上がるような壮大な打ち上げとなります。必ずや歓喜のものとなるよう、この先も気を引き締め一致団結取り組んでいきます。

[2009年8月3日 更新]

古本 伸一
担当:ロケット班推進系

【SRB-A新型ノズルの開発】

固体ロケットブースタ(SRB-A)の不具合によりH-IIAロケット6号機が失敗した時、私は1段エンジン(LE-7A)担当でしたが、急遽SRB-Aの原因究明作業に加わることになりました。その後、関係者の努力により、無事、H-IIA7号機が打ち上げられましたが、恒久的な対策として「局所エロージョン排除型ノズルの開発」という難しい課題が残りました。果たしてこの課題を克服できるのか、初めは暗中模索のところもありましたが、メーカー担当者と議論に議論を重ね、様々な試験を通して、ついに解を見つけることができました。地上燃焼試験後のきれいなノズルを見て皆で喜びあった時のことは今でも忘れられません。新型ノズルはH-IIA15号機でフライト済みですが、今回は、すべての信頼性向上策を盛り込んだモータケースと組み合わせてのフライトとなります。ようやくここまで来ました。なんとしても成功させます。

[2009年8月3日 更新]

長田 弘幸
担当:地上設備(射点系)の開発整備担当取りまとめ、設備班長

【コストとスケジュールに奔走】

H-IIBロケットの地上設備整備構想は、吉信第2射座(新射点)をベースにスタートし早4年が経過、打ち上まで残り約2ヶ月弱となりました。開発当初に設定した地上設備整備コストは非常に厳しく、目標コスト内に収めるために、培った経験を基に必須なものとベターなものとの見極めに奔走、何とか目標コスト内に収め開発をスタートさせた事が昨日のようです。途中、一部の設備で設計変更やH-IIAロケット射場整備作業との干渉もあり、スケジュール的にもタイトな状況でしたが、関係者の協力と努力により今年3月に完成、その直後にほぼ計画通りに2回のCFTまでを無事にこなせたことは自身夢のようで、開発当初からは想像もできませんでした。より良い地上設備とするためには、まだまだ改善点はありますが自分なりに完成度の高い地上設備が整備出来たと思っております。試験機打ち上げまで緊張と重圧の日々ですが、是が非でも成功させたい思いのみです。

[2009年7月27日 更新]