7月31日(ブルームバーグ):スイスの銀行大手UBSが顧客の脱税を助けたとして米司法省が口座保有者名の開示を求めている訴訟で、米国とスイスの政府は和解案について大筋で合意した。米司法省の弁護士が31日、フロリダ州マイアミの米連邦地裁判事に伝えた。
司法省のスチュアート・ギブソン弁護士は同地裁のアラン・ゴールド判事との電話会議で、合意の詳細は明らかにしなかった。和解内容は8月7日に文書で提出される見込みだとしている。
ギブソン弁護士は「当事者らは主要点について原則合意した。詰めるべき点が幾つかあるが、1週間以内に解決できると考えている」と述べた。
米当局は2月19日に、5万2000人の米国人口座保有者の名前の開示を求めてUBSを提訴した。UBSはその前日に、7億8000万ドルを支払い刑事訴追をいったん停止させることで米国側と合意していた。この時の合意でUBSは、スイスの銀行として前例の無い守秘義務違反を受け入れ、250人余りの口座保有者名を内国歳入庁(IRS)に明かした。
IRSは同行の米国顧客が脱税しているとの疑いからデータの開示を求めている。一方、スイス政府はこれを主権の侵害だとし、UBSがスイスの法律を犯すことを強制されると主張していた。
WestLB・エクイティ・マーケッツのアナリスト、ゲオルグ・カンデルス氏は和解について、「現時点でUBSへの影響を推し量ることは難しい」として、「巨額の支払いを求められるなら良い結果と言えるかどうかは疑問だし、顧客の名前を開示させられれば将来のウェルスマネジメント事業の妨げになるだろう」と話した。
和解についての発表後のUBS株は一時、ニューヨーク市場で5.1%、スイス市場で4.5%上昇した。
クリントン米国務長官とカルミレイ・スイス外相はワシントンでの会談前に、和解合意を歓迎すると表明した。
翻訳記事に関する翻訳者への問い合わせ先:アムステルダム 木下 晶代 Akiyo Kinoshita Editor:Masashi Hinoki akinoshita2@bloomberg.net Editor: Shigeru Chiba記事に関する記者への問い合わせ先:Mort Lucoff in Miami at morsybil@bellsouth.net ;David Voreacos in Newark at dvoreacos@bloomberg.net