HTVの設計・開発から打ち上げを経てその後の運用まで、様々な立場でHTVに携わるスタッフのコラムをお届けします。
虎野 吉彦 担当:プロジェクトマネージャ
HTVプロジェクトのプロジェクトマネージャを任命されてから早いものでもう5年目です。開発費や運用機のコストの精査を行い再設定したり、CDR#2、PQR等の重要な審査を、国内のみならずNASA等の海外機関も含めて実施したり、昨年度は筑波でのシステム試験と、とっても大変でした。現在、射場(種子島宇宙センター)での組立整備作業を順調に行っています。
5年前まで輸送系と衛星系(出向中)しか知らなかった私にとってHTVはとっても新鮮で、面白いシステムでした。それ故、とても難しいシステムでもあります。それがもうすぐ打ち上がることになるとは、感慨もひとしおです。
早く宇宙に行って、我々がやってきたことの正しさを証明して欲しいと願っています。
[2009年7月27日 更新]
小鑓 幸雄 担当:サブマネージャ
NASDA(旧宇宙開発事業団)入社以来、H-Iロケット2段エンジン「LE-5」、H-IIロケット1段エンジン「LE-7」、それに「きぼう」日本実験棟や「セントリフュージ」と、とてもやりがいのあるプロジェクトを経験しましたが、HTVの開発ほど面白いプロジェクトは他にありません。一言で言って、技術者冥利に尽きます。輸送系技術、衛星技術、ランデブーを含む運用管制技術と有人技術、まさに宇宙開発技術のオンパレードです。加えて、技術とは異なるNASAとの調整術が加わります。
さて、打ち上げまで2か月を切って、プロジェクト内には適度な緊張感とともに高揚した士気が漂っています。初号機の技術実証機から運用6号機まで合計7機打ち上げます。これらすべての成功に向けて、一致団結、ベクトルを揃えて、明るく楽しい職場を維持したいと思っています。
皆様には引き続きご支援をお願い致します。
[2009年7月27日 更新]
長谷川 義幸 担当:国際宇宙ステーションプログラムマネージャ
HTVは、現在国際宇宙ステーション(ISS)への国際的な輸送便として位置づけられていますが、スペースシャトルが2010年に退役することがを決まる前までは、ISSでの位置付けは低いものでした。
スペースシャトル退役が決まる頃からNASAのHTVへの真剣度が急速に変わり、技術調整やマネージメント調整が急速に進展しました。スペースシャトル退役後、地球からISSへの食料や荷物を輸送する宇宙船は限られており、欧州や日本に頼らなければならない事情があります。
NASAが今回のHTV技術実証機(初号機)に、船外の実験装置だけでなく食料(900kg程度)も搭載したいと言ってきたのは、補給船としての重要さを表しています。
10年以上前にHTVが始まった頃の、日本の荷物だけの補給船のように思われてNASA交渉を苦労して粘り強くやっていた先輩方の苦労を思うと、現在の表舞台で脚光を浴びてきた状態は隔世の感があります。「絶対成功させるぞ」との緊張感と、技術立国日本の先端技術を世界に見せたいとの思いが混じった状態です。
ISS用の輸送機として厳しい安全要求を満足させた日本製のHTVが、日本製の新型ロケットH-IIBで日本の射場からまもなく打ち上げられます。
[2009年7月27日 更新]
川崎 治 担当:電力系及び太陽電池系とりまとめ・電気モジュール開発管理とりまとめ
基本設計の最初からHTVプロジェクトに参加し、対NASA要求の設定にはじまり、電力系担当として当初は無かった太陽電池の追加、電源系の冗長化など技術的に困難な大きな設計変更を経て10年以上。長かったようで日々追われるように過ぎて体重が増えて髪の毛が減りました。有人宇宙機の電力系はどうあるべきかと新規技術の山に試行錯誤し、設計に悩み、NASA調整に冷や汗をかき、試験に手ごたえを感じ、日本の輸送系技術と衛星技術と有人技術の集大成である、誰にでもできない仕事に携われてきたことは喜びです。
[2009年8月24日 更新]
高田 真一 担当:推進系/システム
HTVプロジェクトに来て以来、宇宙という環境をより強く意識し、人が滞在する国際宇宙ステーション(ISS)へ無人宇宙機が近づく難しさを思い知り、また高さ約10m、打ち上げ時全機質量約16.5トンというHTVの“でかさ”を実感してきました。
HTVが宇宙空間を自在に飛行できるよう、HTV推進系は開発者の英知がつまっています。推進系に求められる機能要求や作動範囲は、スラスタを代表格として非常に厳しいですが、各ハードウェアの限界を試験で検証し、時にはインターフェース調整を積み重ねて、よりシンプルな設計を実現してきました。
いよいよ実運用が近づいてきましたが、HTVプロジェクトでは、実際の開発担当者が運用を行います。その分大変だったこともありますが、設計の強い点、弱い点を知り尽くした開発メンバーが一体となって実運用に臨めることは、何よりも心強いことです。
また、HTV開発で得られた技術や運用経験は、将来の軌道間輸送機や有人宇宙船を含め、今後の宇宙開発の更なる発展に活かしていきたいと考えています。
[2009年8月24日 更新]
神谷 岳志 担当:HTV与圧区画及び熱制御系の開発及び運用管制
食料や実験装置などを運ぶための一モジュールである与圧区画、及び過酷な宇宙環境の中で飛行するHTV全体の熱(温度)制御について、開発及び運用管制を担当しています。
2年前の機体製造時期には、プロジェクトから名古屋駐在員として派遣され、製造工場に毎日足を運んで工程や現品の検査をしたのですが、現場を知る非常に良い機会となりました。同時に、機体やチームに対する思い入れも一層増したと思います。
特に記憶に残っている作業は1ヶ月に渡り24時間体制で実施した、13mチャンバを使用した熱真空試験です。宇宙の厳しい温度環境や真空条件を模擬してフライト品の機能・性能を確認しました。「HTV、そんな環境の中でツライだろうが頑張って持ちこたえてくれよ」という気持ち。試験中激しい落雷により設備が緊急停止し、寝ていたところ深夜に呼び出され、ギリギリのところで機体を安全化したこともありました。「よく頑張った、HTV」、こういった幾多の試練を乗り越えたチーム、気合いの詰まった機体ですから、数ヵ月後には無事再突入を果たして盛大なお祝いをしていることでしょう。
実際の運用時は、与圧区画及び熱制御系の管制官として卓に座り、宇宙から地上に届く各種データを確認しながら他チームと協力してHTVを運用します。打ち上げを前に、武者震いするような気持ちが増す一方で楽しみでもあります。ロケットの発射時には「人事は尽くした」と言えるよう引き続き準備していきます。
一機入魂、ALL FOR HTV&H-IIB!
[2009年8月24日 更新]
市川 千秋 担当:電気モジュール・電力系
HTVの太陽電池パネル・電源系を担当しています。私が入社した時、HTVは開発最終フェーズで、私は主に筑波での電気系試験や運用準備、来年以降に打ち上げるHTV運用号機の開発に携り、“あっ”という間に1年5ヶ月が過ぎてしまいました。特に運用手順書等の作成は、地道な作業ながらも、留学経験を生かしてNASAと調整する事ができて非常に勉強になりました。まだ2年目ですが、楽しくて非常に聡明な先輩方に囲まれ、日々新しい知識を身に付けています。
また、幼い頃から夢見てきた「国際的」な「宇宙開発」を自分の仕事にしている事の喜びと興奮でいっぱいです!今回のHTV打ち上げ・運用を成功させ、今後の更なる日本の宇宙開発の発展に貢献出来るよう、全力で頑張ります!!!
[2009年8月17日 更新]
植松 洋彦 担当:ファンクションマネージャ、射場班長、技術支援班長
様々な経緯を経て、このプロジェクトに配属されたのが約4年前。久々に自分の分野である誘導制御系に戻り、これだけ技術的ハードルの高いプロジェクトに携われることになったのは、エンジニアとしてこの上ない幸運と感じています。
そして今、打ち上げを目前に控え、開発を共にしてきた仲間といよいよHTVを打ち上げることができる。身が引き締まる思いと共に、技術者としての熱い血が騒ぎます。そして何より、開発を支えてきてくれた全ての人々、そして未来の宇宙開発を支える子どもたちに、「HTVってすごいな」っていう素直な感動を与えてあげたい。そして未来につながる一歩、一助となりたい。そう感じています。全力を尽くします。応援よろしくお願いいたしますっ!
[2009年8月17日 更新]
葛西 徹 担当:GNC(誘導制御システム)
「きぼう」の製造・試験現場担当からキャリアをスタートさせ、「おりひめ・ひこぼし衛星」の名で知られるETS-VII(きく7号)のランデブドッキング実験システム担当を経て、HTVプロジェクトに参加しました。
「おりひめ・ひこぼし」ランデブ実験デモンストレーションから約10年、ついに日本独自の技術で国際宇宙ステーション(ISS)へのランデブ飛行を実現できるところまで迫っています。絶対にISSへ衝突させないためにはどんなシステムを設計すれば良いか?既に設計が固まっているISSや「きぼう」に何を追加すれば良いか?という検討からスタートしたため、ランデブ用高信頼コンピュータの設計からISSにアンテナを取り付ける船外活動の検討まで、本当に深いところまで有人宇宙技術を掘り下げた10年間でした。
リフレクタガラスに金属をぶつけてひびをチェックしたり、ISSが水を放出することを恐れて光学センサに塩水を吹きかけたり、「実際にセンサーを故障させる試験」を実現しようとテニスラケットでレーザーセンサーの口をふさぐなど、思いつく試験は全て終わらせました。
後は日本の技術の真価を軌道上で示すだけです。
[2009年8月17日 更新]
濱野 治 担当:HTV再突入安全監視設備運用担当
HTVの最後を飾る再突入…。その最後の落下域を計算し、安全に地上に落ちていくところを確認するための設備開発と運用を担当してきました。
なぜ再突入をするか…。それは近年問題になってきている衛星などのデブリ化、要は宇宙のゴミとなることを避けるためであり、今後は注目されていく分野と考えています。
HTVと言うと、どうしても国際宇宙ステーションへのランデブ、そしてドッキング、初めての日本からの物資補給ミッションという部分に灯が当たりますが、実はその後の再突入を行い、安全に海上へ落とすというところも重要なミッションの一部です。
私は、この業務をとにかくやり遂げることを強く思うとともに、今後再突入が日常茶飯事のようになされることを期待しています。
[2009年8月17日 更新]
植田 聡史 担当:航法誘導制御(GN&C)系開発、ランデブ飛行管制
無人の宇宙船であるHTVでは、機体に搭載された各種航法センサとコンピュータを用いて、目標地点である国際宇宙ステーションに向かって自動でランデブ飛行を行います。この自動ランデブの機能を担う航法誘導制御系の開発を7年にわたって担当してきました。
高速で飛行する国際宇宙ステーションに自動でランデブするだけでも難しいのですが、それに加えて有人施設である国際宇宙ステーションに接近するためには2重3重の安全機能が求められます。これらの厳しい要求を満足することができるように、開発担当メーカの方々やNASAの関係者も含めて議論しながら設計を詳細に詰めてきました。さらに、要求されるすべての機能・性能を確認するための多くの試験を実施し、今では確実に国際宇宙ステーションへのランデブ飛行ができるHTVができ上がったと思います。
現在は、運用管制チームの航法誘導制御系担当として、HTVを国際宇宙ステーションに送り届けるためのランデブ飛行管制の訓練と準備を日々行っています。開発から携わった宇宙船を自分自身で運用することができるというのは幸運なことだと思います。
HTVの打ち上げ、国際宇宙ステーションへのランデブという日本の宇宙開発が新たな一歩を踏み出すチャンスを確実にものにすべく、全力でがんばります!
[2009年8月17日 更新]
本山 昇 担当:誘導制御・軌道
このプロジェクトに参加して約3年になります。HTVがロケットから分離して国際宇宙ステーション(ISS)にたどり着くまで、そしてISSから離れて大気圏に再突入するまでの軌道の計画・解析を主に担当しています。
秒速8kmというとてつもなく高速で飛んでいるISSに対して、絶対にぶつからない安全性を保ちながら徐々に近付いていくランデブー技術や軌道設計の大変さと奥深さを日々感じています。シミュレーション上ではHTVを何度も飛ばして理論上ではわかっていても、各機器・モジュールが組み合わさった実物を見ると、こんなに巨大なものが宇宙空間で目標を持って飛んでいくのかという想像の域を超えた凄さにただただ感心するばかりです。
数多くの人が関わり長い年月をかけてついにやってきたHTV技術実証機の打ち上げ。日本初の宇宙船の開発・運用に携われて光栄に思うとともに、ミッション成功の一端を担えるようにがんばります。
[2009年8月17日 更新]
内川 英明 担当:構造、環境試験
主に構造系開発、筑波宇宙センターでのシステム試験を担当してきました。現在は種子島宇宙センターでの射場作業に従事しています。
高校生の頃から、50年後、100年後、500年後…、と考えた時、必ず人類は宇宙に進出しその活動範囲を拡げているはず、そのための着実な一歩に自分も参画したいと思ってきました。このHTVは必ずやその一歩になることと信じています。
この子らの世代の次の一歩に繋がる、我々の世代の一歩が、もうすぐそこに来ています。
JAXA職員以外にも、HTVは多くのメーカ、事務員、その他大勢の方々の努力によってでき上がったものです。皆さん立場は色々ありますが、想いは一つです。
9月11日に、この種子島から皆の一歩が踏み出せるよう、次の世代に繋げれる一歩を刻めるよう、頑張っていきたいと思います。
[2009年8月17日 更新]
佐々木 宏
担当:ファンクションマネージャ、計画管理班長、HTV射場班長
入社当時から、日本でスペースシャトルのような輸送システムを開発して、運用したいというのが夢でした。今でこそ問題点がいろいろ指摘されるスペースシャトルですが、高圧液酸液水エンジン、再突入時の熱防護、有人環境制御技術、ランデブー飛行管制など、当時日本にない技術の集まりに思えました。さらに打ち上げから刻一刻変わる状況の中で、宇宙飛行士とも連絡を取りながら地上から管制チームが対応していく姿には憧れたものです。
日本は、H-IIロケット、再突入実験機、おりひめ・ひこぼし、「きぼう」日本実験棟とまだまだ同じレベルには到達していないものの、一つ一つ技術を蓄積してきました。最後に残ったのは、打ち上げからのランデブー飛行管制です。厳しい安全要求を満足した複雑な宇宙船を、日本から大型ロケットで打ち上げ、それを運用管制チームがNASAの管制チームや宇宙飛行士と協力しながら国際宇宙ステーションに接近させるのは感動ものと思います。
今回のHTV/H-IIBの打ち上げが、将来の有人宇宙船開発の足がかりになってくれることを期待しています。
[2009年8月10日 更新]
本多 健二 担当:カーゴインテグレーション
HRRという与圧カーゴを搭載するラック開発および、NASA、ESAから来るカーゴを搭載するカーゴインテグレーションを担当しています。全部で100個を越える荷物をちょうど重心が真ん中に来るようにHRRラックに振り分ける計画を作り、種子島宇宙センターで実際に搭載しました。「きぼう」でも同様に担当しましたが、HTVはNASA、ESAカーゴもあり、国際間でのレイアウト調整は数倍も大変でした。打ち上げ直前に搭載するカーゴもありまだ気が抜けませんが、自分で搭載したものが国際宇宙ステーションで活躍するのが楽しみです。
[2009年8月10日 更新]
沼田 俊彦 担当:アビオニクス
HTVは国際宇宙ステーションの近傍および係留中では、国際宇宙ステーションのデータ処理システムを介して機体に関する様々な情報を地上へ下ろします。限られた通信回線を利用してタイムリーに多くの正確な情報が得られるよう様々な工夫が講じられていることもあり、とても複雑な構成をしています。私たちはNASAの技術者と共同でこの複雑なデータ通信機能の検証を行ってきました。国内外の多くの関係者の方々のこれまでの努力により良好な結果が得られ、自信をもってHTV技術実証機(初号機)の打ち上げを迎えられることを大変うれしく思います。
[2009年8月10日 更新]
宮岡 三幸 担当:品質保証
HTVのプロジェクトに参加して2年4ヶ月が経ちました。ものづくりフェーズの後半から筑波宇宙センターで実施したシステム試験、そして種子島宇宙センターでの打ち上げ前準備作業と一貫して品質保証を担当しています。
現場では何が起こるか分からず気の抜けない日々ではありますが、打ち上げに向けた準備が種子島宇宙センターで少しずつ整っていくのを、この目で直に確かめることができるのはうれしいものです。
打ち上げまであと1ヶ月を切り、いよいよ最終コーナーにさしかかりました。HTVを無事に打ち上げて運用チームに引き渡せるよう、ラストスパートをかけてがんばります!
[2009年8月10日 更新]
鈴木 博行 担当:情報化
HTVプロジェクト情報化業務に携わり4年、管理する情報量も当初より格段に増えました。長年にわたり蓄積された膨大な情報は、プロジェクトの大切な資産、宝であり決して失うことのできないものです。
これらの情報はネットワークを介し、筑波や種子島など、JAXAの各事業所で利用されます。その運用に関していかにリスクを抑え、より安全なシステムをどのように構築、提供するかといったことは、HTVの開発を始め、様々な業務に通ずるものがあると思います。
いよいよ打ち上げが迫ってきましたが、今後も日進月歩向上する技術を日々習得し、開発に係わる全ての人たちが安心して情報システムを活用し、打ち上げに向け集中できるよう縁の下から支えていきたいと思っています。
[2009年8月10日 更新]
白川 正輝 担当:プログラム調整
国際宇宙ステーション(ISS)では、各国際パートナが物資補給などの共通的な作業を分担して運用や利用をサポートすることになっており、HTVはその一翼を担っています。特に、スペースシャトルの退役後、シャトルに代わって大型の実験装置や船外の機器を運ぶことのできるHTVは重要な役割を担うことになります。
こうした中で、私は事業推進部の立場で、HTVのプログラム的な(ISS計画全般にわたる)調整を担当しました。具体的には、日本(HTV)がどの程度補給を分担する必要があるか、日本以外の貨物(特に曝露パレットに搭載される船外の機器等)の取り付けや受け渡しの責任範囲、あるいはNASAからの新たな要求などに関し、国際間の調整を行ってきました。これらの国際調整は容易なものではありませんが、調整を通じてHTVの重要性や各国際パートナからの期待の大きさを肌で感じることができました。まずは、技術実証ミッションが無事完了することを願っています。
[2009年8月3日 更新]
水野 浩靖 担当:国際調整担当
HTVについて、ヒューストン駐在員事務所の駐在員として、NASAや他国のパートナーと最前線で各種調整を行っています。「言語」「習慣」「文化」「時差」等、様々な違いから生まれるミス・コミュニケーションを紐解いたり、私たちの主張を正しく理解してもらうため、NASAの施設内を日々奔走しています。顔を付き合わせて会話をすることで、互いの主張をよく理解する。その上で、私達JAXAと国際パートナーの戦略と駆け引きを考えながら、問題の糸口を導き出す。時には厳しく、時にはフレンドリーに。試行錯誤とドキドキの毎日です。どんなに困難な調整になろうとも、最後はお互いに握手!HTVに関わる全ての同僚達と、「グッド・ジョブ!」と笑顔で感動を分かち合えるよう、全力を尽くします。
[2009年8月3日 更新]
斎藤 直大 担当:カーゴ班
曝露パレットの開発を担当し、丸2年となりました。最初は右も左も分からない状態でしたが、同じHTVプロジェクトメンバーの熱い情熱に接するうちに、いつの間にかHTV一筋、の毎日です。
曝露パレットは今回のHTV技術実証機では2つのJEM曝露ペイロード(「きぼう」日本実験棟船外実験プラットフォームに取り付けられる船外実験装置)を運びますが、次号機以降では、これまでスペースシャトルが輸送してきたNASA非与圧カーゴも運ぶ計画になってます。このため、NASAやESAからも非常に期待されています。プレッシャーもありますが、非常にやりがいのある仕事ですので、まずは今回の技術実証機を確実に成功させ、期待に応えていきたいと思います。
[2009年8月3日 更新]
山本 紘史 担当:曝露カーゴインテグレーション
HTV技術実証機ではNASAが開発した実験装置の曝露パレット(船外実験装置を運ぶ装置)へのインテグレーションを主に担当しました。言葉の壁もあり、実験装置の開発担当者とのコミュニケーション上の苦労が耐えませんでしたが、「HTVと実験装置は運命共同体」と思って頑張るうちに少しは気持ちが通じるようになりました。当該実験装置は既に曝露パレットへの取り付けが完了しています。苦労した分実際に搭載されている姿を見るにつけ感慨ひとしおです。
曝露パレットで運ぶ実験装置は「きぼう」に取り付けられ、様々な観測・研究が実施されます。まもなくHTVの実運用が始まりますが、「きぼう」に無事実験装置を届けることができるよう全力を尽くしたいと思います。
[2009年8月3日 更新]
佐藤 亮太 担当:SMILESプロジェクト開発責任者
「やれることは全てやった!」と筑波での作業を終了して最後に向かった先が、種子島の宝満神社。その甲斐あってか、射場でのHTV側への引き渡しも無事終了し、今や打ち上げを待つばかりとなりました。
HTV に搭載された荷物(カーゴ)のひとつに私たちが開発した超伝導サブミリ波リム放射サウンダ(SMILES:Superconducting Submillimeter-wave Limb-emission Sounder)があります。1997年に船外実験プラットフォーム実験装置のひとつとして選定されて以来、情報通信研究機構(NICT)や開発メーカの方々と共に長期間に渡って数々の困難を乗り越え、ここまで到達できたことについて、関係者の方々に感謝の気持ちで一杯です。
SMILESのミッションは地球の大気の微量成分を観測することですが、このためにSMILESは世界に先駆けて超伝導ミクサという新しい技術を使い、装置を絶対温度4K(マイナス269℃)まで冷却することで実現します。
この技術により得られた高精度なデータを提供することで、ユーザの方々が大気微量成分の変化をとらえる手助けが出来るよう、気を引き締めて打ち上げに望みたいと思います。
[2009年8月3日 更新]