「岐阜県ツキノワグマ保護管理計画(案)」に対する熊森見解

            その前に、至急、差し替えていただきたいデータがあります。

2月20日 岐阜県庁に問い合わせると、資料の差し替えは出来ませんという、責任者の返事でした。こんなクマ問題の根本原因を隠した資料で、どうやってパブコメに応じろというのでしょうか。
2009年2月19日

@ 岐阜県庁野生生物担当者に、電話で以下の資料の差し替えをお願いしました(熊森本部)

県庁担当者
 パブコメは、電話では受け付けていません。文書でお願いします。

熊森     
 パブコメではありません。
パブコメ以前の問題です。
6ページの(表ー1)を、9ページの(表ー5)と同様、昭和27年からのものに差し替えてください。
第二次世界大戦後、岐阜県でどれだけ大量にクマたちの生息地であった自然の広葉樹林が、開発や拡大造林の国策によって失われたことかしれません。
 平成8年からだなんて・・・・林業が振るわなくなって、スギ・ヒノキの植林が下火になってからの、広葉樹林面積の推移表だけを載せ、広葉樹林の面積は、ほぼ横ばいですと県民に提示するのは、公正であるべく公務員のすることではありません。
広葉樹林の大減少を隠そうとしているとしか思えません。
 他にもこの計画案には、クマが悪いんだと県民が判断を間違うような細工が、いろいろめぐらされています。それはパブコメで書かせていただきますが、まず、この表だけは、至急差し替えてください。

県庁担当者
 そういうことは文書にして、パブコメに応募してください。

熊森
 それからでは遅いのです。ここで県民が、岐阜の森の変化の実態を正確に把握しておかないと、勘違いしたままでのパブコメなど、やっても意味がないと思います。責任者の方と変わっていただけますか。

責任者
 差し替えについては、検討させてください。

熊森
 至急、お願いします。それはそうと、一般県民が何も分からないだろうと、このようなずさんで意図的な保護管理計画案の提示をするなど、本来、公務員が決してしてはならぬことです。それはそうと、このような計画案を作られた方々のお名前をお教え下さい。(このページ最後の部分に掲載)


6ページ





 クマを使って研究したい研究者、クマによる被害を受けたという者、クマを獲りたい狩猟者、行政・・・・・岐阜大学からは4人も入っているというのに、検討会に、動物愛護団体、自然保護団体など、クマたち野生鳥獣の声を代弁できる人が、ひとりも入っていません!
日本は、全国いたるところ、このような実態です。動物達の心など分からなくなっている例外的な人たちが、国民が聞いたら胸がつぶれそうな残虐な案を次々と作り、国をそういう方向に持っていっています。
国民みんなで、声を上げていかねばなりません。




 2月20日 A ヘアートラップ法による生息推定数の算出に疑問があるのでたずねました。

熊森:これまで、岐阜県のツキノワグマの生息推定数が600頭でしたね。この3年ほどで、届出があったものだけでも300頭殺されていますね。激減しているはずなのに、岐阜県会員からの報告では、最近、ツキノワグマの生息数が増えていると新聞発表されたそうですね。その新聞を見せていただきたいのですが。
県庁:クマの生息推定数について発表などしておりません。
熊森:そうですか。会員に確認しておきます。それはそうと、少なくとも300頭は、有害駆除の届出があったのですから、間違いなく殺されたわけです。本当はもっと殺されているはずですが。殺しても届出しない人も多いですから。殺しすぎですよね。
県庁:岐阜県で、クマを殺して届出しない人などいません。証拠でもあるのですか。どこの誰がどういったかいってください。
熊森:全部は届出しないのは常識ですよ。いろんなところの猟友会から聞いています。まあいいです。300頭としましょう。600のうち300殺したら、なぜ、ヘアートラップ法で、1400頭もクマがいることになったのですか。
県庁:意見はパブコメで書いて出してください。
熊森:意見ではなく質問です。ヘアートラップの大きさ、県内にかけたワナ数、使った費用を教えてくださいますか。
県庁:一つのトラップ(=わな)の大きさは10平方メートル、岐阜県内にかけた数140箇所、調査したのは岐阜市にある自然学総合研究所、委託料金は1441万4千円。岐阜県はみんなHPで公表しています。
熊森:うーん、ありがとうございます。(密室行政がほとんどの国で、みんな公表しているという岐阜県の姿勢は、すばらしいことです。これに関しては、熊森は高く評価します。これがなければ民主主義国家は成立しません。ちょっと感動的)それはそうと、DNAの違いは何頭分見つかりましたか。
県庁:16種のちがうDNAが見つかりました。
熊森:そうですか。これで岐阜県には最低16頭のクマが生息していることが分かりましたね。それはそうと、16頭を確認して、なぜ、県内の生息推定数が1228頭や1430頭になるのですか。
県庁:岐阜県の森林面積は4078平方キロメートルなんですよ。測定した結果をその面積になるようにかけるのですよ。
熊森:ヒャー。乱暴、乱暴。場所によって生息密度はぜんぜん違いますよ。まして、ヘアートラップにはハチミツが仕掛けられているのでしょう。クマを寄せ集めておいて、その場所で生息密度を出して面積でかけたら、実際よりかなり多い数になりますよ。そんなので、生息推定数なんて出ませんよ。実は、ヘアートラップ法で、生息推定数など出ない。業者にお金がいくだけだというのを知った上で、きいてみたんです。
県庁:この方法がだめというのなら、どうしたら生息数が分かるのか、批判するなら代案を出すべきだ。
熊森:生息推定数を正確に出す方法などありません。猟友会でクマに詳しい人に、この辺で何頭ぐらいクマがいるかきいたら、とてもおおまかでよかったらわかるかもしれません。
県庁:岐阜県には、クマの顔を見分けられる猟友会がいるって聞いたことがない。ヘアートラップ法がだめなら、何で生息推定数を出すのか。
熊森:生息推定数の正確に近い数など、逆立ちしても出ません。それが自然というものなのです。
県庁:そうしたら、保護管理が出来ないじゃないか。何頭いるか分からないと、何頭殺してもいいとか数字が出せなくなるじゃないか。
熊森:(岐阜県庁の担当者は、本当に優秀だと感じました。その通りなのです)人間が、野生鳥獣の生息数を科学的に調整してやるとして、1999年に当時環境庁がびっくりするような法案を国会で通した。そこから、この国の野生鳥獣行政がどうしようもなくおかしくなったのです。人間が出来るのは、野生鳥獣に十分な生息地を保障すること。その中で、動物たちは増えたり減ったりしますが、それが自然、人は感知せずが、共存というものです。