初夏にさしかかった、暑い日のことでした。 「なっちゃん。私のプリン知らない?」 末っ子の夏樹にそう尋ねるのは、三女の秋です。 二人とも中学校の制服姿のまま、クーラーが過労気味に冷やしているリビングにいます。 「……し、知らないよ?」 明らかに挙動不審です。この日、一年の夏樹はテストの項目数の関係で、三年の秋より三時間早く帰宅していました。 プリンを冷蔵庫から盗み食いする時間は十分あったはずです。 さらに、長女の春香は大学へ、次女の冬美は高校に行っています。つまり、この家に夏樹しかいない時間が三時間もあったのです。 じーっと睨む秋の視線から逃れるように、夏樹はリビングのソファーへぼふっと俯せに倒れ込んじゃいました。 ふと、秋の視界にリビングのゴミ箱が入る。上からそっと覗くと、フタに「秋」と書いたプリンの空容器が捨てられているようです。 秋の脳内に住む金田一耕助が飛び上がりました。 「なっちゃーん……ちょっとこっち向いて?」 「な……何、お姉ちゃぁ----むぅっ?!」 振り返った夏樹の上から覆い被さった秋は、妹の頬を両手で捕まえ、小さい唇の中に舌をねじ込みます。 咄嗟の出来事に夏樹は両手足をばたつかせてもがくが、姉の力にはかないません。 「んーっ! んむ、うぅんふぅっ…むぅぅうぅ〜……!」 秋の舌が、夏樹の口内を満遍なく舐め回していきます。特に舌は念入りに、表も裏もしっかりと絡み付かせます。 「んっ、ちゅっ……ぷはっ。……この味は嘘をついている味だぜぇー!?」 なんということでしょう。かすかに夏樹の口に残ったプリンの味香を、秋は感じ取ったのです。 こうなってしまっては夏樹も平謝りしかありませんが、秋は嘘をつかれて怒りが二倍になっています。 どんな言い訳も通用しそうにありません。 たまらず逃げ出しますが、すぐに捕まってリビングの床に押し倒されてしまいます。 俯せに倒した夏樹の背中に馬乗りになり、両手を背中に回してお尻の下に敷いてしまいました。 これでもう動けません。両足をばたばたさせても、姉はびくともしません。 「嘘とプリンの罪は重いよ? 判決。被告、夏樹をくすぐりの刑に処す」 「えっ!? やっ、やだ、くすぐりはやだぁっ! お願いそれだけはやめてっ、なんでも言うこときくきゃりゃああぁぁぁぁ〜〜ひゃひゃひゃはははっ!」 必死の懇願もむなしく、秋の両手が制服の上から夏樹の脇腹を揉みほぐし始めます。 秋は知っています。夏樹がくすぐりに極端に弱いことと、一番の弱点が脇腹であることを。 だから、他の場所には手を出さず、あえて脇腹だけをしつこく揉み揉みといじめ倒します。 「あ゙はははははははははっ、ひっ、ひんひゃうっははははははっ! くるっくるしっひっはははっ……!」 目と口を大きく開き、溢れる涙と涎をだらしなく垂らして笑い狂う妹を見て、秋はサディスティックな快感に身を震わせました。 肋骨の位置に指を添え、指先に力を込めて揉むだけで、可愛い妹が狂ったような笑い声をあげて必死に藻掻くのです。 「苦しい? ねえなっちゃん?」 「あがぁっはははははははひっ、くうふくくくくくくひぃひゃははははっ、ひぃっ、くぅひぃよぉほはははははっ!」 尋ねる間も、指の動きは止みません。緩急と強弱を使い分け、最大の弱点を責められる苦痛を最大のまま長引かせます。 「じゃーあ、お姉ちゃんに謝りなさい。ごめんなさい、って千回言えたら許してあげる」 「いひっ!? えぉふぉへはははははぁがげぇぇひひっ…! あ゙ぁぁげひゃひゃはははぉごぉへひゃははがっ!」 獣のような声で許しを乞う夏樹。それでも、秋はじわじわと指を動かして笑わせるのを止めません。 お尻に敷いた夏樹の両手が、苦しそうにもがきます。力を入れるたびに秋にそれが伝わり、苦しさを如実に伝えます。 陸に揚げた魚のように、妹の身体が拘束から逃れようと跳ねます。そのたびに少しだけ姉の身体が揺れますが、びくともしません。 フリーの両足はバタバタと床を叩きます。あまりに暴れるのでスカートの中から白い太股がこぼれ、下着まで見えそうです。 くすぐられ過ぎた夏樹の顔は真っ赤で、目の焦点は合っていません。開きっぱなしの口は閉じることがなく、涎と涙で水たまりが形成されるほどです。 クーラーの効いた部屋だというのに、夏樹の身体からは汗が噴き出していました。 海老反りに暴れていた夏樹も、ぐったりと床にしおれてしまい、涎もそのまま垂れ流しで川ができています。 くすぐりの頂点に達した夏樹の身体は、もうどこを触っても「くすぐったい」としか感じないという極限状態に陥っています。 弱った動物のような呼吸をする妹の胸を、いたずらに揉んだだけで、過敏に反応してしまいます。 「はひゃぅっ……!? はぁ、はぁ、はぁ……も……ゆ…して……」 「だぁーめっ! こないだ夏樹にやられたのはこんなもんじゃなかったよ?」 数分のインターバルを終えて、再び秋の両手がわきわきと動き始めます。 姉はまだまだ許してくれそうにありませんでした。 |