洗脳されたもの同士が話し合っても解決はしない

終戦特番 平成17年8月14日(録画は7月21日)

ゲスト 栗原宏文(愛媛大学法文学部教授)

日本文化チャンネル桜

 水島総  特攻ドキュメンタリーのほんの一部をちょっと見ていただいたんですが、こういうものを愛媛大学の先生の学生さんたちに見てもらったということなんですが、感想というのはどんな感じだったですか。

 栗原  一番感激した人は、「自分の血が逆流するような感じがした」という学生も。本に収録してありますけれども、比較的肯定的な方が多かったです。中には、しかし何割かは否定的で、「見るに耐えない」「マインドコントロールされている典型的なものだ」との意見も出てきましたね。ただ、そのような人ですら授業の最後の頃にはだんだん分かってくるというか、そういうところがまた面白いんですね。だからそういう予備知識がなくて、このような特攻隊のビデオを見ると、何割かの人は必ず否定的な意見を持つことが多いですね。やはりそういうのを教え込まれているというか、きっとそういうのを教育でやられているんだと思うんですけれども。特攻というのは良くないことだと、悪いことだと。

 水島  命を無駄に。

 栗原  そういうことでしょうね。特に「上の人から言われたことを批判しないで、そのまま受け入れるということは良くないことだ」と、教わっているんだと思うんです。「戦前は典型的なマインドコントロールだ」と、必ずしもそうではないんですが、そういうふうに教わっているんじゃないんでしょうかねえ。

 水島  なるほどねえ。私は戦後、昭和24年生まれなので、戦後の教育をもろに受けてきましたから、先生の今お話になったことが非常によく分かるんですけれども、たとえば東條英機という開戦の時の首相ですね、総理大臣・陸軍大臣になったんですけれども、この人などは何が悪いのか分からないけど、とにかく悪党だというイメージを我々はそのまま教えられてきた気がしますね。何が悪いのか全然分からないまま、とにかく東條閣下は悪い人だと。

 栗原  そう教わってきたんですね。

 水島  そういう感じがありますよね。日の丸も特攻もある意味、イメージとして植えつけられてきたなあと。

 栗原  逆に東條さんのことを理解するようなことを話すと、却って

 水島  右翼、反動と。

 栗原  昔『プライド』という映画があって、私は見ていないんですけれども、ああいう映画をもっと評価してもいいのかもしれませんね。

 水島  そうですね。このあいだ、うちの別の番組で東條閣下のお孫さんの東條由布子さんに出ていただいて、大変立派なお話を。やはり戦後は大変苦労なさったと、東條の一家なんかに米も服も売れないと、大変に困ったというお話を淡々とおっしゃっていましたけれども。

 栗原  「報道2001」と「サンデープロジェクト」に出ていましたね。60年経ってやっと出れるようになった。私はあの方の書いた本『東條家の母子草』を3、4年前に買って、読んで、だいたい話は知っていたので驚くことはなかったんですが、あれを私が不思議に思ったのは、「報道2001」も「サンデープロジェクト」もそうですが、なぜもっと早く、5年10年前からああいったことを報道しなかったのか。そうすれば靖国問題なども反発も柔らいだはずなのに。そこを報道してこなかったんですね。やはり避けたんじゃないですかね、メディアのほうが。メディアのほうもマインドコントロールを受けていると。そういうことだと思いますね。

 水島  そうでしょうね。そう感じますね。この番組に出た時、ちょうど東條さんがおっしゃっていたのは、「私は『靖国のことで中曽根さんと会ったことがない』と言っているんですけれども、中曽根さんは『東條さんに会って、分祀してもいいと。みんなに迷惑をかけた。国民の人がそれで喜ぶなら、そうしてもいいと言った』というふうなことを、いろいろなところでおっしゃっているけれども、私は一度も中曽根さんにお会いしたことがない」という話をした。こういうことは大変面白いんですけれども、これはメディアでは取り上げられないですね。

 栗原  そうですね。

 水島  そういうこともありますから、やっと60年、先生のこの本を含めて、だんだんとある種の封印が解かれてきたんじゃないかと思いますね。

 栗原  この問題を洗脳と位置づけて論じること自身が、タブーだったということも言えるのかもしれませんね。それが60年にしてタブーがやっと解け始めた。私がこの本を書くとき扶桑社の方から、愛媛新聞からいろいろ意地悪されるんじゃないかとか、大学内でも立場が悪くなるんじゃないかとか、そういうことをいろいろ言われたんですが、一切今までのところ足を引っ張るとか、目に見えた妨害は特にありません。

 水島  もしこれが20年前30年前だったら相当来たんじゃないですか。

 栗原  そういうことでしょうね。

 水島  時代が少しずつ、こういうものを生み出す土壌を作ってきたんですね。

 栗原  この本にも書いてありますが、3年前に「大学人のアピール」というもので、愛媛県を中心とした大学教授(名誉教授も含めて)百数人の署名したものを、県の教育委員会や市の教育委員会に申し入れをしました。今回も似たようなことをしたんですが、

 水島  それはどういうような内容のアピールですか。

 栗原  要するに、「つくる会」の教科書が愛媛の教育界で採用されることには反対であると、そういうことを申し入れたいという知識人・大学人の、主として教育学・歴史の先生が。今回はそれが20名に減ったんです。それを減ったと見るのか、たまたま時期的に20名しか集まらなかったのか分かりませんが、私が想像するに、3年前の百名くらいの署名からみると今回20名くらいに減ったということは、付和雷同して署名する人が減ったんではないかなと。あと、中核で残ったのが20名だと。このように私は解釈していますね。その名簿は実は公開されているので、それを入手して昨日学生に見せたんですね。「見ていいよ」と。そしたら感想が書かれていまして、みんなが見に行ったかどうかは分かりませんが、何人の学生が「見せてください」と見て、感想を書いた中で「私のサークルの顧問の先生の名前が上がっていて、ショックだった」と、こう言っていますので、やはりそういったことも脱洗脳に寄与すると。

 水島  情報公開が実に脱洗脳を促すということですね。

 栗原  特にこういう話をした。私の大学で比較的私に好意的なある先生にこの本を差し上げたことがあったんですね。謹呈したんですけれども。そのときにこの先生がおっしゃるのには、「私は新しい歴史教科書を買って、ほら、ここにありますよ」と書棚から私に見せてくれたんですけれども、実は3年前にもその先生のところにも署名のお願いが回ってきたと。ところが自分は署名はしなかったと。反対に署名を求めてきた先生に「あなたは新しい歴史教科書を読んだんですか」と聞いたら、その女性の先生は「そんなもの読めるわけないでしょう」と言った、という話をその先生から私は聞いたわけですね。これもまた授業で紹介したわけです。そうしたら学生のほとんどが「大学の先生であれを読まないで批判している人がいるとは信じられない」とか「あきれた」とか、こういう声がまた非常に脱洗脳にプラスになるんですね。

 水島  先生がおっしゃるように、そういうことは多いようですね。

 栗原  そういう面では、今も反対運動をしている人たちの振る舞い、今度大田原市に対して反対運動をするとか、東京都内でも杉並区とかで反対運動をしているあの映像とかを見ると、大体普通の人でも引いてしまう。というか、なぜそんなに反対するのかと。結局、拉致問題だとか中国の反日デモ・韓国の竹島問題などいろいろあったので、ああいうことに比較的冷静に見る人たちが増えてきたんですね、2、3年前から。そういう人たちから見ると、わけも分からずまた前と同じように韓国や中国の人を使って反対運動をしたり、闇雲に「絶対そういうことを採択するな」とか、そういうことを反対している人たちが奇妙に見えるんですね。そういうことも脱洗脳に寄与するんじゃないかと、私はある意味喜んでいます。

 水島  そうですね。このあいだ東京でいいますと、杉並区で中核派系という人たちが、本当に連日連夜集まって歌を歌ったりマイクでやったりいろいろやるわけですけれども、都議選があったんですけれども、中核派で都議選に立候補した人は以前は9千票取ったのが、9千票で落選したんですけれども、今回は7千票になったんですね。ということは、あれだけやったにも関わらず、支持者は逆に減っているということですね。

 栗原  そういうことだと思いますね。

 水島  そういう意味では脱洗脳かもしれませんね。

 栗原  愛媛でも8月の始めぐらいに、またリレー・ハンガーストライキというのがありました。それは3年前にもあったんですよね。

 水島  それは反対している人たちが

 栗原  反対している人たちが県庁に。まあ、ハンガーストライキといっても昼間だけなんですけれども、それを20人ぐらいで交代しながらやっている。

 水島  それもまた、いやですね。今、軽くぱっとおっしゃったんだけど、ハンガーストライキといっても昼間だけなんですか。夜はどうするんですか。

 栗原  そうなんです。夜は帰っちゃう。要するにそういうものなんですね。日陰で日傘を差しながら、時々水も飲みながら。ただ普通の人はそれも辛いでしょうけれども、その辛いことをやるということで、それをハンガーストライキと、リレー・ハンガーストライキと。3年前にやったことを、また今年の8月ぐらいにやるという話がその運動をしている人たちから出ていますけれども、そういうことやればやるほど、また引いてしまう感じじゃないかと思います。

 水島  先生のおっしゃったことも結構引きますよ。「なんだ、昼間だけか」とか「リレー・ハンガーストライキとかいって、もしかしてちょっとだけやって、次の人がやって」とか、あれじゃないですか。

 栗原  交代してやるわけです。

 水島  それ全然ストライキと違いますね。

 栗原  ただやる目的は、必ずメディアが取り上げる。特に愛媛新聞が取り上げる。これが狙いなんです。そうすると、あたかも体を張ってがんばっている。それに対する同情も集まるでしょうし、反対者もいるんだということちゃんと認知されるということでしょう。それはきっとまた韓国とかに見せて、また一緒に頑張ろうという形でやる。それはひとつの運動なんです。裁判もそうですよ。勝てっこない裁判を次から次へ起こしていて、加戸知事や教育委員を提訴して、やるんですね。そういう、メディアを使って反対運動組んでやっているんですね。大学の中でもやるんです。大学の中でもいろんな講演会を開いて学生を集めてメディアを呼んで、するとメディアがのこのこ出てきて、またそれをカラー写真で大きく報道するんですね。タッグマッチみたいなものです。

 水島  なるほどねえ。最近よく言われる昔のフランクフルト学派ですか、アントニー・グラムシという共産党の指導者だった人も、いわゆるヘゲモニーといいますか、いろんな分野でやろうとしている。メディアも教育も、革命を起こそうというよりも、現場で主導権を握ってという、そういう運動に変えていると。このベースになっているのが先生もおっしゃっていたこれまでの戦後の洗脳みたいな。先生、一つ一つの情報公開ということも洗脳を解くということなんですけれども、その洗脳をどうしたら解くかというのは結構重要なことなんですけれども、これは先生どういう形でやったんですか。脱洗脳。

 栗原  これは今までは授業でやったけれども、人数が限られているので、ひとつは本を書くことによって横の広がりが出来てくると。それとこれに同調してくださる先生も増えてきて。愛媛大学の中でも去年までは私一人だった。というか、私以外にあまり相談に乗る、力になってくれる方がおられなかったのに。というか、好意的に見ていてもあえてこちらのほうには向かない。ところがこの本を書くことによって同調する方が現れて、一緒に講演を、この中にもそうですけれども、あとで紹介しますが、講演を一緒にやってくださる方、特に教育学部の先生も賛成する。それはたまたま私が教えている学生が書道部に属していて、その書道部の顧問の先生が教育学部の先生だったと。その方は日本文化・書道がないがしろにされてきて、戦後のGHQの関係で、教育学部の中では非常に狭い立場だったのが、私がこういった本を書いたということで非常に喜んでくださった方がおられますね。あとは脱洗脳というと、公開講座を開きます。

 水島  ちょっといいですか。ご紹介します。これは先月の30日に開かれた公開講座ですけれども、『市民のためのメディア・リテラシー公開講座』ということですね。メディア・リテラシーという言葉はちょっと聞きなれない方もいるかもわかりませんが、簡単に言うと、これは

 栗原  メディアの情報操作に加担しない能力を養おうと。

 水島  という公開講座で、それぞれ学者さんから専門家の人まで集まりまして、公開講座を開いたということなんですけれども、これはもう7月30日、31日に行われたんですけれども、先生、こういうのもかなり前から。

 栗原  いえ、急にこんなのをやってみようと、いろいろなことをやってみようと。こういうのが愛媛をスタートとして全国に各大学でメディア・リテラシーということで、もっと情報操作に注意深くなろうというか、警戒するというか、そういった運動が広まることによって脱洗脳が加速されると、こういうふうに考えているんですね。

 水島  この中で面白いのは、「マインド・コントロールから解けた学生は言った」「頭上に雷が落ちたような衝撃を受けた」と。こういう感じは今までの前提というか

 栗原  今までタブーだったんですね。メディア批判がタブーだったのを、タブーを外していかなければいけないということだと思うんですね。

 水島  そういう意味では、このあいだいろいろ朝日新聞とNHKの大きな騒ぎになった論争がございましたけれども、あれもやはりいろんな形で公開されたことは良いことじゃないかなと思うんです。必ずしもNHKがいつも公平無比ではないという。それから朝日新聞もやはり公平・中立というのではないという。

 栗原  そういうことですね。やはりメディアの方も一生懸命やっているでしょうが、批判を受けなくてはメディアも良くはなっていかないですね。

 水島  そうですね。そういう意味ではメディア自身がここの(本の題名を指して)歴史洗脳を解くということを必要としているわけですね。

 栗原  そういうことですね。

 水島  先生、先ほど冒頭の方でおっしゃっていましたけれども、メディアの洗脳・歴史的洗脳を解くことはある意味で、今いろんな分野、今インターネットとか別の情報をいろいろ出すようになった。教育の問題は難しいですね。先生がこれを教えているわけですから。

 栗原  教育の場合は教育の先生というのは身分が保証されているわけなんで、これを取り変えるとか、考え方を変えるというのは非常に難しいですね。ただ教育に対する批判も、きっと公開講座みたいな形で、自ら教育問題も批判していかなければいけないと思うんですね。ただそれは時間がかかります。すぐには出来ないでしょうね。大学自体が公開講座で教育批判をやるとなると、ちょっと難しい。まずメディアの方をやって、次にでしょうね。教育の問題をやりたい。

 水島  メディアの役割というのは大事ですね。情報というものは子供も大人も見る分野ですから。情報操作というものがいったい誰がやって、何のためにやっているかというのがなかなか。

 栗原  なかなか本人も気がつかないでしょうね。本人も親切で一生懸命やっておられるでしょうから。

 水島  自分たちは本当に良いことをやっていると。

 栗原  そうですね。そういうことなんですね。

 水島  先ほど言ったように、扶桑社の歴史教科書を読んでもいないのに「戦争に行かせてはいけない、子供たちを」、そういうような信仰みたいな境地で、読みもしないのに反対するパターンですね。この中でお書きになってきた中で、洗脳という非常に刺激的な言葉ですけれども、まとめて言うと、こういう公開講座とか、そういう中での情報公開ということですね。これが一番ですかね、やっぱり。

 栗原  そういうことですね。いろいろやっているんですけれども、この本を授業で使ってこの本に対する感想を書かせたりしているんですけれども、その感想文がまたインターネットなどに公開しますと、それが結構影響が出ると思うんですね。特に単にこの本の感想に限らず、「自分の身の回りの人を脱洗脳するにはどうしたらいいか」と、学生に考えさせたんです。それは実際にはとても難しいんですけれども、学生は一生懸命に考えて、普通に「あなた洗脳されていますよ」と言ったのではだめなので、反発されないためにはどうしたらいいかということをレポートに。

 水島  なるほど。その方法を考えさせたんですね。

 栗原  そのレポートをまたいつかインターネットで公開したいと思うんですね。そうすることが、学生にも言っているんですけれど、こういったことを発表する機会というものを自分たちで。大学祭などで発表することも大きな影響を持つし、匿名ということだとインターネットに感想文を書くことでも脱洗脳は進んでいくんじゃないかと私は思っております。

 水島  そういうことで考えますと、戦後60年作り上げられてきた、ある種の洗脳というものを解くには時間もかかりますよね。

 栗原  ものすごくかかるでしょうね。

 水島  時間をかけて作ったものは時間をかけないと、なかなか呪縛からは逃れられないと思うんですけれども。先生はまもなく愛媛大学からは定年となってきましたが、この呪縛・洗脳がライフワークになったんじゃないですか。

 栗原  どうもそういうようにおっしゃる方がおられますね。今のところその機会があれば、こういう話をさせていただきたいなあと思っています。

 水島  きわめて、でも、面白い世界ですね。

 栗原  ええ、面白い世界ですね。学生も初めて知的な授業を受けたと。普通の、いわゆる知識を受ける・知識を覚えて調べるんじゃなくて、考えると。本当に考えさせられた授業だったと言っていますね。洗脳という問題は自分の心との戦いなので、人の心・コミュニケーション、全て絡んでいる問題なんですね。そういう面では学生にとっては非常に良かったんじゃないかと思っていますね。

 水島  それと若い人が自分を客観視して、自分がマインドコントロールされてたんじゃないかというところまで考えられるようになるという

 栗原  結局学生は、「脱洗脳させるには自分が脱洗脳しただけではだめで、それを周りに広めなければいけない」という意識をみんな持っていたんで、それをいかにしたらいいかということで、いろいろ考え方とかやり方とか、いろいろあるんでしょうが、そういうことを考えてくれただけでも、脱洗脳をさせなくてはならないという気持ちを持ってくれただけでも、私の授業の目的は

 水島  その目的さえ持てば、もうほぼ。あとは70%ぐらい。知識を自分でね

 栗原  そういうことですね。あとは自然に、良いチャンスがあって、脱洗脳する機会が恵まれるんだと思うんですね。 

 水島  このチラシですね。7月に行われたチラシの中で、「頭上に雷が落ちたような衝撃を受けた」と表現した学生さんがいたってことをみますと、やっぱり相当きついものがこの教育とかメディアの中で行われてきたということですね。

 栗原  そういうことですね。それにまたそれに気がつかない、そのことにあえて触れないのが、こういう形で来ていたんだと思うんですね。

 水島  これちょっと私も聞いてびっくりしたんですけれども、学会・学問の世界で戦後の洗脳という面から、ないんですね。

 栗原  それが皆無なんですよ。それはタブーですから、この問題を取り扱うと誰も論文として認めてくれないし、誰も評価してくれないわけです。学会も論文を書いて認めてもらえて、本数何本で教授とかになっていく世界なんで、洗脳の問題を扱って拒否されたらもうそれで困まっちゃうわけですね。そういう世界です。ところが偉い先生ほど染まっている可能性があるわけなんで。

 水島  歴史家・学者になろうとする人にとっては

 栗原  これ簡単ですよ。「これは学問じゃない」と言われたら困っちゃうわけですよね。「学問であることを証明せよ」と偉い先生から言われたら、なかなかしにくいわけで。私みたいにこれをだれかに認めてもらわなきゃいけなくない人なら書けますけれども、若い人がこういうことを研究して、上の人に認めてもらえる保証はないんですよね。日本の社会がこういうことを認めるかどうか。いろいろ学会もあるんですよ、メディアとかマスコミなんかの。ほとんど取り上げません。取り上げた人たちはきっとのけ者にされるんじゃないでしょうかねえ。それも大きな問題なんですね。学会も。

 水島  学会ですねえ。ということは学会自体がマインドコントロールが、洗脳されている

 栗原  そういうことです。こういうことをやっていると出世しないわけですよ、先生としても学者としても。そういう世界だと思いますね。そう私は解釈しているんですよ。

 水島  それじゃあ是非、先生が若い人を育てていただいて、その学会の主流になっていくことですね。

 栗原  学会はそういう面ではもうあきらめていますけれども。ただ今の学会の人たちに、何人かにこういった問題に関心を持ってくれる人を増やそうとは思っています。

 水島  そうですね。先ほどおっしゃったように教育学部の先生とか仲間がネットワークを作っていくことだと思うんですけれど。

 栗原  こういう本を書くことによってネットワークが広がっていくということですね。この公開講座もそうなんですけれども、これを全部ビデオをとって、各大学に、関心のある人に広めたいと思っています。

 水島  今これからのこともチラッとお話いただいたんですけれど、先生のお考えになっているこの戦後の呪縛・洗脳、こういうものをトータルでもう一回まとめてどういうふうに持っていったらいいか。脱洗脳ですね。これは学生さんに限らず日本国民全体、メディアとか教育を受けてきた人たちが社会をなしていますから、これ一番良いやり方として、これから先生がおやりになっていくこと、どんなことをイメージなさいますか。

 栗原  今のところは1歩1歩やってみて、公開講座をやって、次はこういう1回こっきりじゃなくて、連続的にたとえば月に2回くらいの講座でですね、もっと広めて。他のところでもこういう公開講座をやってくださるところはきっとあると思うんです。そういうキャラバンじゃないですけれども、そんな形で広めていくのが次かなあと思います。まず認知、この本自身がまだ認知されていないんです。少なくとも産経新聞以外には、書評はまだ出ていないんです。もちろん朝日とか毎日が書かないのはしょうがないですが、読売ですら出ていない

 水島  読売には書いてもらいたいですね。

 栗原  そういう面ではまだ認知されていないといいますか、一部にしか認知されていない。本も大半は愛媛でしか売れていない。愛媛以外ではそれほど多く売れているわけではない。

 水島  それでは、これをごらんになった方は、是非。

 栗原  チャンネル桜受信者には、是非、買っていただきたいと。

 水島  本当にそう思います。これ確かに朝日新聞や毎日は取り上げたくないだろうなという気がしますが、新聞がこういうものを取り上げてくれるようになったときが本当の

 栗原  NHKがこの本を取り上げるような時代になったら、かなり目的は

 水島  時代が脱洗脳に

 栗原  そういうことだと思いますね。

 水島  ということで、ぜひ頑張っていただきたいと思うんですけれども。これはもう終わっていますけれども、こんな内容のメディア・リテラシー公開講座ですね。これ行われたんですけれども、ちょっとご紹介します。たとえば「戦争責任と日本」。講師は医学博士の方で、著書が「どこまで馬鹿か日本人」。なんか言いそうな方ですね。それから「コピーライターが見たNHK変更番組と歴史の見方」ということですね。それから「歴史洗脳を解く―タネと仕掛け―」。これは先生がおやりになっていたんですけれども。あとは、「なにわの坊ちゃん―坂の上の雲まちづくりを巡るメディア報道―」。これは元テレビ愛媛の社長さんで元産経新聞の記者さんがこれをやったりとか、現場に即したあれですね。翌日は「中学歴史教科書 愛媛では」。これは週刊愛媛経済レポートの方ですね。それから「ニュースを読む時は悪党になれ」。これは愛媛大学の工学部の教授の方がやった。

 栗原  この方が唯一私を支持してくださった

 水島  仲間の方ですか。それから「テレビを嗤う」と。これはメディア・コラムニストの方がこういう話をしていますね。

 栗原  非常に面白い、こういう方を集めた企画は今までにないと思われます。

 水島  そういう意味では、「歴史洗脳を解く―その達成度は?―」。これは先生のお話だったんですけれども、こういうことを地道に。これが連続講座になっていくといいですね。ぜひ我々も今度は、メディア批判のまとまった「桜塾」というのをずーっと今までやっているんですが、こういうものも考えてみたいと思います。最後に視聴者の皆さんに何か一言、本のことも絶対買ってもらいたいと思いますが。

 栗原  私が思うんですけれども、中国や韓国や日本の間で歴史認識の問題がいろいろ論議されていますが、私に言わせてもらえば、洗脳されたもの同士がいくら話し合ってもこれは解決はしないんです。中国や韓国と違った方向で日本の人たちは洗脳されているわけですね。結構偉い方、国際的な経済人も洗脳されている面があるんで、洗脳された人同士がやっても仕方がない。まず洗脳に気づいて解いてからでないと、実りのある話は出来ないんじゃないかと私は思っています。

 水島  どうもありがとうございました。