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インフルエンザの患者が病院に来たら、医師が診察する、というのが日本の現行制度だ。
一方、ブラジルでは、医師が診察する前に、看護師が簡単に問診する。(予診する。) しかも、その場所は、病院そのものではなくて、病院の外にある別室(コンテナ)である。……このことで、院内感染を防ぐわけだ。
病院前には、12畳ほどのコンテナが設置され、4人の看護師が患者に体温計を渡し、問診を行っていた。──
新型インフルエンザの症状に当てはまらない人には自宅安静を勧め、38度以上の熱があるか、風邪の症状でも妊婦など重症化リスクがある人には隔離病棟で医師の診察を受けるよう助言する。不安を抱える市民が病院に殺到、院内感染が拡大するのを防ぐのと、重症化リスクの高い人に優先的に治療を受けさせるのが狙いだ。「情報を聞きに来るだけの人もいるから」(33歳看護師)でもある。
こうしたトリアージは多くの病院で導入され……
( → 読売新聞 2009-08-22 )
これに似たことは、私も前に述べた。つまり、
「研修医がスクリーニングをする」
という方針である。( → 医者は何もするな )
私が提案したのは、看護師でなく研修医がやるものだ。ただ、どっちにしても、基本的には、「普通の医師ではない準医師みたいな人が、簡単に問診する」というふうになる。
( ※ 実は、私が書いたときも、研修医よりは看護師の方がいいとは思ったのだが、いきなり「看護師にやらせる」と書くと、医者などが反発して、「そんなことを言うやつはトンデモだ!」と大騒ぎしそうな気がしたので、ちょっと自重したのでした。 (^^); )──
話を戻す。
このように「事前問診」(予診)をすることは、とても大切だ。というのは、そのことで「院内感染」を防げるからだ。
だから、私は、上記の方式を 5月29日 に提案したのだが、その後、誰も、この方式を考慮しない。
厚労省は「病院に行く前に電話をしましょう」とか、「部屋や時間を分けましょう」と言うぐらいで、「別室での簡易問診」という方針を示していない。
ところが、私の提案と同じ発想が、海を越えたブラジルではすでに実施されているわけだ。
この事実は、非常に重要だ。この報道をした読売新聞は、称賛に値する。
一方、いまだにこの本心を示さない厚労省や、医療関係者は、みんな頭がどうかしているようだ。「ワクチンがどうのこうの」なんていう下らない方針ばかりを考えて、「院内感染を防ぐ」という最重要の方針を示さないからだ。
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はっきり言おう。
豚インフルエンザで大切なのは、感染者を減らすことではなく、死者を減らすことだ。なのに、「基礎疾患の患者(入院者や外来患者)を、死から守る」ということがないがしろにされている。
現状のままでは、基礎疾患の患者の院内感染が激増しそうだ。そのことで重症者が死にやすくなる。病院は死者を生み出すための施設となる。
[ 付記 ]
そもそも、「発熱外来を廃止せよ」と私が述べたのは、「そんなことはできないからだ」という理由からだったが、そのとき同時に、「院内感染を防ぐために簡易問診(スクリーニング)をせよ」と提案した。
ところが、そのことを理解できない人々が、「発熱外来を廃止せよ」ということばかりに飛びついて、「簡易問診(スクリーニング)をせよ」ということを無視した。
その結果、日本は、ブラジルよりもはるかに遅れた医療後進国となってしまった。