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深よみエンタ:山城新伍さん、寂しい最期 元妻、娘とは絶縁状態=佐藤雅昭

 ◇お別れの会 芸能仲間がにぎやかに

 23日に東京・青山葬儀所で「お別れの会」が営まれる女優大原麗子さん(享年62)の孤独死には胸が痛んだが、山城新伍さんの最期も寂しいものだった。「終(つい)の住み家」と公言していた特別養護老人ホーム(東京都町田市)で嚥下(えんげ)障害による肺炎のため12日に死去。弟の渡辺鎮雄さん(69)にみとられ、眠るように70年の生涯を閉じた。ちなみに嚥下障害とは疾病や老化などが原因で飲食物のそしゃくや飲み込みが困難になること。糖尿病と闘っていた山城さんに抵抗する力は残っていなかった。

 京都の開業医の家に生まれ、母親も看護師。外科医だった父の影響で少年時代から映画に親しんだ。府立山城高校を卒業後の57年に第4期東映ニューフェースに合格し、映画界入り。同期に曽根晴美(71)、佐久間良子(70)、故室田日出男さん(02年没、享年64)らがいる。

 子供向けのテレビ時代劇「白馬童子」(60年)で一躍人気者になり、その後も「不良番長」「仁義なき戦い」シリーズなどで存在感を見せつけた。70年代半ばからはテレビのバラエティー番組に進出。「独占!男の時間」(東京12チャンネル=現テレビ東京)、「新伍のお待ちどおさま」(TBS系)、「クイズ世界はSHOW by ショーバイ!!」(日本テレビ系)など、一時はレギュラーも十数本。歯にきぬ着せぬトークでお茶の間の人気をさらい、「チョメチョメ」という流行語も生んだ。

 関係者によれば、日本テレビの長寿番組「笑点」の司会を務めていた三波伸介さんの急逝(82年没、享年52)を受けて後任候補に挙げられたこともあったという。

 私生活では東映で同期だった花園ひろみ(68)との2度の結婚、離婚(65~85年、91~99年)が話題を呼んだ。破局の理由は2度とも山城さんの女性問題と言われ、三くだり半を突きつけられた形。一人娘の女優・南夕花(42)は両親の2度目の離婚後、「父とは呼びたくない」と絶縁を宣言し、山城さんの戸籍から自らの名前を抜いたほど。

 そんな愛娘でも、老人ホームの山城さんは「娘に会いたい」と常々口にしていたそうで、何とも切ない話。東京都目黒区の花園の自宅を訪ねたが、もぬけの殻。閑静な高級住宅街にたたずむ3階建ての豪邸。しばらく帰っていないようで、近所の住民も「3週間ほど見ていない」と話した。

 関係者によれば、蜜月時代、夫妻は文京区内に住んでいた。その後、目黒区内に一軒家を建築。その際、完成した家を2人が気に入らず、もう一度更地に戻して建て直したという話も伝わっている。離婚後、この家から山城さんが出て行った。

 「別れても好きな人」という歌の文句もあるが、この母娘は別。18日に京都市左京区の寺で営まれた本葬にも2人の姿はなかった。鎮雄さんによれば、山城さんがホームに入所する際に花園に連絡を入れたところ「死のうがどうしようが金輪際、連絡しないで」と告げられたそうだ。96歳の母親さよさんも「何より孫が一度もホームに見舞わなかったことが残念」と落胆しているという。

 関係者は「度重なる女性問題による恨みは相当深い」と言い切るが、代わって芸能仲間たちが後日、「お別れの会」の開催に向けて準備を進めている。東映同期の曽根に梅宮辰夫(71)、松方弘樹(67)の3人が発起人となって動いている。

 晩年、決して幸せだったとは言い難い山城さんをにぎやかに送ってあげようという趣向だ。<スポーツニッポン編集委員・佐藤雅昭>

毎日新聞 2009年8月22日 東京夕刊

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