朝鮮は「ロケット先進国」だった(上)
15世紀に2段式ロケットを開発
現代に引けを取らない設計技術
韓国初の宇宙ロケット「羅老号(KSLV1)」の発射を、全国民が今か今かと待ち望んでいる。初めての試みであるため、今回は宇宙開発の先進国・ロシアの助けを借りている。しかし、だからといって失望することはない。韓国はロシアよりもはるかに長いロケットの歴史を持っているからだ。約630年前に初のロケット兵器が登場し、朝鮮王朝時代には世界で初めて2段式ロケットを開発した。ミリメートル単位の精密度を誇り、現代のものにも引けを取らないほどだ。宇宙ロケットの技術は韓国にとって、初めて身に付けるものではなく、再び取り戻すべきものなのだ。
■「機械式弓矢」神機箭
韓国で初めて開発されたロケットは、高麗末期の1377年、火とん都監(火薬や火器の製造を担当した部署)で崔武宣(チェ・ムソン)が作った「走火」だ。文字通り「走る火」を意味するこのロケット兵器は、朝鮮王朝の世宗30年(1448年)、「神機箭(せん)」という兵器へと進化した。
「神機箭」は、「鬼のごとき機械式弓矢」という意味で、火薬の力によって矢を放つ兵器だ。「小神機箭」「中神機箭」「大神機箭」「散火神機箭」の4種類があった。簡単に説明すると、紙を巻いて作った、ロケットエンジンに相当する「薬筒」に燃料を詰め、竹製の矢の前部に装着したものだった。
燃料に使われたのは、火薬類の中でも最も古い歴史を持ち、19世紀末まで使われていた黒色火薬だ。「硝石」と呼ばれる硝酸カリウムに硫黄や木炭を混ぜて作った。映画やドラマでは、崔武宣が馬ふんを使っている場面が登場するが、動物の排せつ物をバクテリアが分解することにより、硝酸カリウムが発生する。
薬とんにつるした導火線に火を付ければ、黒色火薬が激しく燃え上がり、燃焼ガスが後ろ側へ放出される。そしてその反作用により、矢が前方へ飛んでいく。現在のロケットもまた、このような作用・反作用の法則(運動の第3法則)を利用している。神機箭の矢はロケットが真っすぐ飛んでいくように調整する「安全棒」の役割も果たした。これもまた、現在のロケットと飛行原理は同じだ。もちろん、現在のロケットは、安全棒ではなく尾翼や電子誘導制御装置を使用している。
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