2009年8月3日に金融商品取引業等に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令が公布されたことを受け、1年後よりレバレッジ規制が施行されることが確定となりました。この件に関連し、今後のFX業界はどうなるのか?
気になる関連記事が日経ヴェリタスに掲載されていましたので紹介したいと思います。
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◆FX業界「祭りの後は・・・」
上記のタイトルで日経ヴェリタスに取り上げられていたFX関連記事。それによると、7月31日に金融庁がFX倍率規制を導入するにあたり。反対意見が多かったにもかかわらず、その反対を押し切っての導入を決めたことを中心に今後のFX業界の行方について興味深く記載されています。
FX倍率規制については、業界側はメジャー通貨(ドル円・ユーロ円)だけでもレバレッジの上限を引き上げようと努力を試みているものの金融庁の姿勢は固く難航しているようです。
規制の導入にあたり、金融庁は5月29日から1ヶ月間パブリックコメントを募集しました。
米国の証券取引委員会ではパブリックコメントを集計、分析後にもう一度5人の委員が公式の場で議論し、最終的には委員による投票で規制導入を決定するそうなのですが、日本の場合は金融庁の主張が際立っている様子。
金融庁の意見 |
【1】顧客保護 【2】業者のリスク管理 【3】過当投機(抑制) |
レバレッジ規制後の経済的なマイナス要因や規制方法と有効性の比較など投資家が納得できる議論はされていないようです。
◆レバレッジ規制後の影響
レバレッジが規制されるとそれまで高レバレッジ(50〜400倍)で取引していた投資家が消える分市場の流動性が低下。
現在のFX業者は低スプレッド競争が激しいのですが、スプレッドが広がるとFX業界に与える影響は大きいです。
スプレッドを据え置いたとしても今度は手数料が発生する動きがでてくるかもしれないのです。
スプレッドと取引手数料はFXのコストであり、今は手数料無料や低スプレッドで各業者が低コストに力を入れており、低コストであることがFXの魅力のひとつになっているので、その魅力が薄れるとなるとFX業界の縮小が予想されています。
そこで注目されるのがサービスの質を向上することで、オンライン画面上で気配値を見て注文を出しても実際の売買成立は不利な方向にずれてしまう「スリッページ」です。
為替は常に変動しているのでわずかな時間差でも変動があることは仕方がないのですが、投資家に不利になるようにわざと取引価格を動かしたり、実際の相場が不利な方向に動いたときに約定し、FX業者に不利でも約定しないといったプログラムを組み込み業者も実際にあるそうなので、こういったスリッページが発生しないように力を入れてPRしている業者もでてきました。
今後2年先のFX業界の変化が表になっていたので紹介します。
現在 |
2010年8月 |
2011年8月 |
|
最低証拠金率 | 基準なし | 2% |
4% |
レバレッジ上限 | 上限なし (多いところで400倍以上) |
50倍 |
25倍 |
スプレッド | 米ドル円で0銭〜 | 広がる | 広がる |
取引手数料 | 無料 | 徴収する業者の増加 | 徴収する業者の増加 |
スリッページ | FX業者で異なる | 約定条件を透明化する方向 | 約定条件を透明化する方向 |
FX会社数 | 100社以上 | 減少傾向 | 減少傾向 |
上記のようにFX業界の競争はレバレッジ規制によりサービスの向上を高めることが生き残る条件となりそうです。
その分、本当に信頼できるFX会社が残ってくると思うので投資家の立場だとよいことかもしれません。
またFX以外の金融商品の需要が出てくことも考えられます。
FX業界の革命ともいえるレバレッジ規制ですが、導入する前に、慎重に議論されなかったことに疑問が残ります。