第405号(1992年12月合併号)


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記者座談会 入込は前半が好調・後半は息切れ

■首里城にあけくれる

A 今年の沖縄の最大の話題は首里城関連のものだった。バブルの崩壊で旅客数が大幅に落ち込む心配もあったが、一月から五月まで好調な入込が続いたため、観光業界に限ると他の業界に比べて、今年前半は不況感は薄かったような気がする。本紙記事を中心に今年を振り返ってみよう。表は今年十一月までの「観光とけいざい」紙の主要な見出しだ。

 新年号のトップ記事はやはり十一月にオープンする首里城のニュースだった。

B 同時に玉泉洞が進貢船を復元する、南西航空の山形=名古屋=那覇線の開設、ソウル線の開設、今年の観光は出足好調など新年らしい景気のいい話題が続いている。

 しかし、スターヒル(旧シェラトン)の開業が凍結されるなど、バブル崩壊の芽も見える。この問題はこの後四月に「ホテルグランメール目前で開業出来ず」、というところにつながっていく。

 七月に座談会でまとめたが、バブルの崩壊と沖縄の観光業界についての結論ではスターヒル、グランメールともに事業主体が本質的に不動産業者であり、観光業界とは縁の薄いところからの投資であり、その結果バブル崩壊の主役を演じた、というものだった。この見方は半年たった現在でも通用するように見える。

C 不況の影響が不動産・建設業界では前年の秋から沖縄でも現れたが、観光業界では一年遅れて今年の九月あたりから、数字に現れるようになってきた。その様子を入域観光客数でみると前年の湾岸戦争の反動もあって、年明けから好調な入込を見せ、五月まで高い伸びを示し、六月が微減、十月に微減した程度で、十一、十二月の結果はまだ出ていないが、年間を通じると約五%の成長を達成した。

D 沖縄の観光産業は首都圏の不況より一年遅れ、同時に県内の建設・不動産業界とも時期がずれたため、今年の本紙紙面は不況と好況が入り交じったものになっている。

B 三月には那覇市内のホテルは満杯で、レンタル会社にもベッドが全然なくなったという状態だった。実際今年の観光客数は三月まで二桁の伸びを続け、四、五月で三〜四%台、六月に五%落ち込み、再び七月に二桁、八、九月に一%前後の微増、十月に微減した。十一月の発表はまだだが、一〜二%の微増にとどまりそうだ。今年前半が良かったのは昨年が湾岸戦争で前年割れしており、前年割れの反動で伸び率が大きくなった側面もある。しかし、国内全体の観光需要が落ち込む中で年間ほぼ五%の伸びを達成出来たのは「快挙」と見るべきだろう。

A 量の面では確かに沖縄は伸びている。しかし、内容はどうだったか。

■5%増で前年並み

B 観光客の支出控え、というのはあった。これについては土産品店の実績が公表されないので有効な数字の根拠がなかなかないのだが、沖縄地区税関が発表する観光戻税実績統計で断面を見ることが出来るだろう。それによると、今年に入ってから戻税売上げは毎月三割〜四割もダウンしており、制度の利用率も年間を通じて毎月前年より低く、ついに年間の利用率は一〇%を越えることがなかった。

 観光戻税の売上げの九割は洋酒であるため、洋酒の売上げが落ちたのが最大の原因である。これについてはほとんど毎月税関の統計発表会で話題になるのだが、売上げダウンの原因は@平行輸入で格安の洋酒が市中に出回ったため、改めて沖縄で買う必要がなくなったAわざわざ重たい土産品を持って帰る人がいなくなったB戻税制度の存在を観光客が知らない、などが指摘される。しかし、Bについては業界のアンケート結果では七割前後が戻税制度を知っているといい、やはり、制度の魅力そのものが薄れてきていると見るべきではないか。

D 戻税制度には通常のお土産品とは異なる側面があるが、観光客が土産品を買わなくなったという点で共通の原因がありそうだ。特に今の理由で@、Aは他のお土産品にも当てはまる。沖縄ならではという商品が少なく、重たいものは最近では宅配便で持ち帰るケースが増えたから、送料を負担する分、お土産品そのものに回すお金が減っているのではないか。これまで何度も述べてきたが、沖縄観光は五%成長の場合、競争相手が増えているから、前年なみの実績をクリアするのがやっとだ。旅客が新しい店舗やホテルに分散するからで、個々の店舗では五%成長で前年なみということになる。

C その五%成長で前年なみがやっとという話だが、データの揃っている本紙調べのホテル稼働率をみると、今年は二、四、五、六、八、九、十月で客室稼働率が前年割れしている。二月は観光客数は前年比一七%増と大きく伸びているのに、客室稼働率は前年を一・二ポイント下回っている。これは閏年で二月が一日増えた結果、入域観光客数は増えたが、平均を計算する稼働率では大きな増加に結びつかなかったということだろう。客室稼働率でなく、定員稼働率がマイナスになった月と入域観光客数の増減を一緒に見ると、

四月【定員稼働率一・九ポイント減、観光客数四・七%増】

五月【定員三・一ポイント減、観光客三・一%増】

六月【定員六・九ポイント減、観光客五・四%減】

九月【定員三・一ポイント減、観光客一・五%増】

十月【定員三・八ポイント減、観光客〇・六%減】

 となっている。定員稼働率がマイナスとなった月の入域観光客数は五%以下の成長であったことが分かる。同時に定員稼働率がプラスとなった月は、観光客数は今年の結果では一〇%以上伸びた月が目立つ。例外的にに八月が観光客数は一・五%しか伸びていないが、定員稼働率も一・三ポイント増えている。八月はやはり航空座席はもちろん、ホテルも飽和状態にあるといえよう。

 定員稼働率のプラス・マイナスをわける入域観光客数の伸びはどの程度かというのは、実は今年の結果だけでは精密ではない。観光客数の伸びが四・七%の四月は定員稼働率は一・九ポイント減少している。しかし今年は四・七%以上伸びた月というのは一月の一〇・三%のデータがあるだけで六%とか七%ではどうなるのかが分からない。観光客数が五・五%くらい伸びれば定員稼働率は前年なみをクリアするのか。過去にさかのぼると九一年四、五、六月に伸び率が五・一%、七・三%、七・一%、というのがある。その時の定員稼働率の状態はそれぞれ一・八ポイント増、三・九ポイント増、六・一ポイント増だから、やはり観光客五%増の付近が定員稼働率の前年割れの分け目、という感じがかなり強い。今の例なら四・七%と五・一%の間に定員稼働率の明暗を分ける線があるということになる。

B 土産品店などからは観光客が五%増えて前年なみの売上げ、という声を聞くが、この感覚はかなり現実にあっているものと見られる。もっとも二〇%位増えないと前年なみの売上げを確保できないというところもあるわけで、実際には客単価がかなり落ち込んでいるはずだ。

A 客単価を類推する数字的な裏付けはないか。

■客単価が落ち込む

C 旅行社の実績が落ち込んでいることから、客単価も減少していることが分かる。特に沖縄方面に絞ったデータはないが、格安の沖縄商品が出回っていることは確かだ。記者の知り合いでも、東京の小さい会社だが、安いコースがあったから、社員旅行で沖縄に来るというところがある。

 客単価の落ち込みは鉄道やバスを使う旅行社の全国ベースのデータよりも航空会社の実績の方が、沖縄の状態を類推するのに適しているだろう。特に、国内路線の少ない日航の国内線客単価は、ストレートに沖縄の観光客の客単価に反映していると考えられる。それによると大幅な落ち込みという訳ではないが、今年は二月を除いて日航の国内線の客単価は九月まで前年割れで、幅は五月の〇・六ポイント減から三月と九月の四ポイント減の間だ。二月は沖縄への観光客も大幅に伸びたが、日航の旅客数も一二・二%と大きく伸びている。客単価も〇・九ポイント増えている。

A 航空会社の客単価の減少というのは、卸売り価格の値下げという意味だ。実際の旅行商品は五%や一〇%の値下がりとなっているわけだから、飛行機以外の仕入でもホテルやバスなどが値引かれていることになる。それにしても旅行商品が仮に五%下がり、観光客の消費金額が変わらないとすれば、安売りの分、県内のホテルや交通機関、土産品店の売上げも落ちることになる。実際、旅行商品というのは沖縄などは競争が激しいから、一〇〇円、二〇〇円の値下げ競争になっている。それが五%安いとなると、かなりのしわ寄せが県内の、特にホテルあたりにきていることが分かる。しかし、そうしなければ集客できないのが実状だ。

B するとこれまでの議論で旅客数が五%増えれば稼働率が前年なみを維持することが分かっている。しかし、今年は不況で商品価格と消費金額が減っているから、売上げはマイナスということか。

A そうなっているはずだ。つまり、旅客数の増減だけを見ると沖縄は不況にも関わらず五%成長を達成して、そこそこの利益を上げているように見えるが、実際に数字を検討してみると、売上げは沖縄全体でもマイナスとなっている可能性が高く、個々の施設では確実に前年を割り込んでいるという結果になる。

B 取材していて旅客数は増えているのに売上げが上がらないという声をしょっちゅう耳にするがまとめると@五%成長では個々の店舗には旅客が分散して、前年並みの集客がやっとという状態に加えてA不況で客単価が下がっているため、売上げについては前年割れ、というダブルパンチに見舞われている状態だという訳だ。業界では県の観光客統計と実際の売上げがあまりにかけ離れているため、入域観光客統計が間違っているのではないかというところもあったが、細かくみるとそういうことか。

 不動産や建設のように急な倒産劇というもの県内の観光業界ではなかったが、原因が分からないうちに客単価が落ち徐々に経営を圧迫してきた、という訳だ。

D 倒産がなかったというのは正しくない。例の名護自然動植物公園がある。これも本紙記事を引き金に県外でも報道され話題になった。ここは集客力に欠けていて、おそらく数年前からいま議論していたような事態が徐々に進行していただろう。その結果の解散劇であり、このまま不況が三年も四年も長期化すると観光業界でも倒産は免れまい。三、四年も不況が続くわけがないという楽観論もあるが、昭和五五年に前年比ゼロ成長、五七、五八、六一年はそれぞれマイナス成長を記録している。特に五七、五八年は二年連続のマイナス成長であり、このときに店をたたんだところが多い。大手は生き残っているが、仮に不況が長引くなら、企業の明暗はこれまで好況だった五年間にいかに体力を強化したかにわけられてくるだろう。

■入園料800円は高い

A 話題を変えて今年後半の最大の話題になった首里城関連に移ろう。

 一般公開前に県内で、あれほど話題になったが、全国の反応はどうだったのか。

B 県外の旅行業界の声を聞くと、どうも首里城は芳しくないようだ。お城というのは基本的に全国にあるし、首里城そのものが旅行の目的にはなり得ないのではないか。県内では首里城と福州園などをセットにしたお年寄り向けの一日旅行が好調のようだが。

C 東京の友人に聞いたら「ニュースで首里城開園を見た、なんかやっているようだった」という程度の反応なんだな。

D 確かに、首里城を見るだけのためにわざわざ沖縄にいく、という人は少ないだろう。首里城の場合、パンフレットに首里城の写真を使うことすらまかりならぬ、という態度だったので、沖縄では知らぬものはないだろうが、東京では誰も知らない。

A 誰も知らないというのはオーバーだろうが、ほとんど知られていないのは確かだ。しかし、NHKの大河ドラマの効果がこれから出てくるだろう。

 沖縄ではNHKは後発の放送局で馴染みが薄く、視聴率でもRBCやOTVにおよばず、軽視されている。しかし、全国的には大河ドラマを見るというのは日本人の「伝統的習慣」のようになっているのも事実で、放送開始後には相当大きな反響を呼ぶとみて間違いない。

B 沖縄観光に取って琉球の風が風速一〇%アップぐらいで吹くことを期待したい。

 首里城に戻るが、どうも運営面に難点がありそうだ。「勝手に写真を使うな」という態度もおかしいし、気になる入場者数も公開初日は五万人前後の見物が訪れて二時間も並んだが、その後、イベント期間中にも関わらず七千人とか八千人という実績だ。百五十億円を投じてその程度だと民間企業なら相当な危機感を募らせているところではないか。C 確かに投資に比べると入場者は少ない感じだ。ま、首里城にあんまり頑張ってもらうと、他の施設が客を奪われるということになるから、首里城で集客しようという旅行社以外は県内観光関連業界の受けとめ方はかなり冷たい。入場料八百円というのも高すぎる感じだ。

 むしろ、首里城というのは完成祝いで駆けつけた人たちが口を揃えて沖縄観光の底上げにつながる、といっているのだから、写真など、どんどん使わせて沖縄全体のイメージチェンジを図るために日本国民の目を向けさせる努力が必要だった。それを怠って「写真をつかうな」など高慢な運営を行おうとするなら、業界から秩序を見出すものとして、それなりの扱いを受けるのは必至だ。すでにあれはダメだという声も聞かれる。

D いやいやそういう声も聞かれるどころか、記者自身が体験したところでは、北殿の入り口にトイレがあって、受付の女の子に「使わせてくれ」といったら「ここは職員用なので南殿のトイレを使ってくれ」といわれた。南殿と北殿はかなり距離が離れているので記者は「我慢できんから使うぞ」といって使ったけどね。

A 結局、写真使用問題で変な対応をするものだから、トイレを貸す貸さないということまで問題になる。これは小さな問題だが、写真不許可の問題はしこりを残したなあ。

D 知り合いの編集者が、写真使用について問い合わせたら使用基準が出た後でも、電話をたらい回しにされたそうだ。十カ所の間違い探しのようなクイズ形式にして使うんだそうだが、使っていいのか悪いのか、どうも要領を得ない。「そんなのいちいち問い合わせる必要はないよ」とアドバイスしたのだが、明らかに対応がまずいな。

 しかし、首里城に関しては本紙の報道をきっかけに県内のマスコミも相当に取り上げて、写真使用問題が一応決着した。また特定の旅行社にしか出さなかったクーポン券も本紙報道の結果、旅行業界で問題になり全旅協各社が取り扱えるように解決した。

 首里城の取扱いについては本紙記事でかなりの部分が解決されたと見て、差し支えない。今後は首里城へのクレームは本紙を通じて行えば影響力を行使できるだろう。

A それは少しオーバーだが、首里城に関しては他のマスコミも動くから面白い結果にはなるね。

 最後にその他の動きで注目されたものをいくつか挙げてみたい。

B 今年はじめには新しいテレビ局の話題があったね。これも本紙が取り上げて、その後、県内の日刊紙が後を追った。あるテレビ局の社長は本紙の記事を呼んで「沖縄もとうとう三局、四局体制か」と呟いたが、その後、政治的に動いて三、四局の話はしり切れとんぼになった。

 その政治的な動きについて内部告発的な投書が寄せられたのだが、とうとう本紙では使わず仕舞いだった。FAXでの投稿で、気が変わったのか、機械の不良なのか途中で途切れて仕舞った。

 新たな系列のテレビ局が出来るというのは、ニュースや話題で沖縄が取り上げられる機会が増える、という意味で集客産業に取っては大変なプラスになるのだが、テレビ業界からやはり横やりが入った。しかし、先島にケーブルが届いた時点で何らかの動きが出るだろう。ケーブルが届くのが来年の十月、それから半年間テストして平成六年四月から本放送になるというから、ここ一年半余りでテレビ界も大きく動くだろう。

A インフラ関係では新石垣空港問題が新しい局面を迎えた。白保埋立案は自然保護の観点から没。新たにカラ岳東と宮良・牧中案というのが検討された。沖縄県の大田知事は宮良案を最終的に選択したが、石垣ではこの決定が猛反発にあっている。宮良案の決定の経過を説明するため石垣入りした仲井眞・副知事が、石垣市民の実力の抗議を受けて外に出られず、石垣空港からそのまま那覇に引 き返したほどだ。

B この問題に対して本紙の取り組みは、現空港の延長を通してきたつもりだ。

 しかし、宮良とカラ岳では本紙としても宮良案を支持したい。カラ岳東というのは山を削って滑走路をつくったらどうか、という議論もあったが、カラ岳は聖なる山だから削る訳には行かない、ということもあって、一部珊瑚礁にかかるカラ岳東案が有力になった。

 しかし、山を削らないカラ岳東というのは、いくら現代のハイテク飛行機が計器飛行で安全だといわれても、天候の都合や何らかの飛行中の事故が起こると、飛行機がカラ岳にぶつかる危険が残る。この意味では検討された空港予定地は宮良案が現空港の延長に次いで安全である。

 白保も含め自然保護か開発かという議論では自然を優先させるのが常識だ。特に沖縄は自然が売りものだ。そうではなく、航空機にとって安全か危険かのファクターが重要であって、その場合、白保とカラ岳、冨崎野は没。現空港の延長か宮良案しか残らない。

A 確かにその問題については、飛行機乗りの意見があまり聞かれないのは不思議な感じがする。B記者はパイロットの話を聞いているか。

B 現役のパイロットは引退しているが、石垣の空を知る尽くしている人の話は聞いている。

A ほう。県議会では学者じゃなくて、そういう人を証人にすべきだね。

D 明るいニュースとしては南西航空の山形=名古屋=那覇、エアーニッポンの大阪=宮古、アシアナ航空のソウル線があった。

 南西航空は名古屋=那覇より名古屋=山形の実績がいいようだ。宮古=大阪は搭乗率五割前後、ソウル線は苦戦しているようだ。

 台湾も不況の影響もあって沖縄への旅客が減っている。

C もうひとつは、昨年一年を通じて長期展望が県を中心に盛んに論じられたことだ。リゾート沖縄マスタープランで県は二〇〇〇年の観光客数を五百万人〜六百万人と見込んだが、三次振計、観光開発基本計画も五百万人〜六百万人の話をはじめている。また、那覇空港ターミナルは現在の七百三十万人から一千三百万人を受け入れるよう計画をまとめ、会社を設立した。この一千三百万人というのは往復と県内線を含めての数字だから入域観光客数に換算すると五百五十万人位を想定している。さらに、現在の一人当たりの空港の広さを現在の八uから一五uに拡大した上での五五〇万人だから、実質的には七百万人までならそれほど混雑せずに受け入れが出来そうだ。観光客数が一千万人前後になるとちょうど現在と同じ程度の混雑になるような設計だ。もっともそうなったら再び拡張が必要だけどね。

A もうひとつは、今年一年を通じて、沖縄の観光業界に歴史や文化への認識が深まったことが挙げられるだろう。来年の琉球の風への期待からだ。

 どうもやはり最終的には琉球の風の話題で来年は明けそうだね。


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新陣容で再発足 那覇空港ビルディング(株)

 新しい那覇空港ターミナルビルを建設・運営する第三セクター「那覇空港ビルディング株式会社」の設立総会が十一月二十四日、那覇市内の沖縄グランドキャッスルで開かれ、取締役の選任などを行った。

 新会社は国際交流の拠点、国際的観光地の形成、沖縄経済の自立的発展を図ることなどを目的に沖縄県、那覇市、那覇空港ターミナル株、航空会社、金融機関の共同出資によって設立されたもの。実際の設立登記は十二月一日。資本金は十七億五千万円。

 新会社の事業内容は直営事業として@不動産賃貸業(ターミナルビル賃貸業、搭乗橋・ターンテーブルなどの提供業)A設備管理業(建物の維持管理、電気および機械設備の維持管理)、付帯事業として@食堂および物品販売A有料駐車場B損害保険・障害保険代理店CインフォメーションDVIPルームE送迎デッキFロッカー。また関連新会社を設立して業務委託、広告取扱い業を行う。

 那覇空港は国の第六次空整で駐機場など、新ターミナルビル周辺を整備することになっており、新会社は旅客スペース(ターミナルビル本館、搭乗橋、有料駐車場の料金徴収所など)を約四百億円かけて整備して行く。国の周辺整備費をあわせると総事業費は一千億円を越える大型プロジェクトとなる。

 新ターミナルビルは現在の利用客七百六十万人(平成三年)に対し、一千三百万人と約一・七倍を想定している。現在の旅客一人当たりの空間面積が八uに対し、一五uまで広げた上での一千三百万人の想定となるため、かなりゆったりとした空間が確保される見込みで、床面積を比較すると現在の約二・八倍、七万八千uに広がる。

 また駐機場も現在の二十五スポットから四十三スポットに増やす。

 工事は山を削るなどの土地の整備を来年一月に着工し、ターミナルビルの設計は平成六年までに行う。設計にあたっては広く関係業界の意見も参考にする予定。ビル建設には平成七年に着手、共用開始は平成十年となる。

 建設にあたっては、最近、設計・建築された福岡、広島、関西、仙台などの空港のほとんどに外国企業が参入していることから、那覇空港ビルについても外国企業の参加が予想される。 

■資本構成と役員

【資本構成】▼沖縄県(二五・〇%)▼那覇市(三・二%)▼那覇空港ターミナル(株)(四一・〇%)▼日本航空(株)(七・〇%)▼全日本空輸(株)(七・〇%)▼南西航空(株)(七・〇%)▼エアーニッポン(株)(一・〇%)▼(株)日本エアシステム(〇・六%)▼日本アジア航空(株)(〇・二%)▼(株)琉球銀行(二・〇%)▼(株)沖縄銀行(二・〇%)▼(株)沖縄海邦銀行(二・〇%)▼大同火災海上保険(株)(二・〇%)。

【代表取締役会長(非常勤)】翁長助裕(那覇空港ターミナル取締役相談役)

【代表取締役社長】大城浩(那覇空港ターミナル代表取締役社長)

【取締役専務】高良尚光(那覇空港ターミナル取締役常務)

【取締役常務】上原幸雄(那覇空港ターミナル取締役企画本部長)

【取締役】▼仲井眞弘多(沖縄県副知事)▼屋比久敏雄(沖縄県企画開発部次長)▼小山昌夫(日航空港本部副本部長)▼川瀬友弘(全日空取締役福岡支店長)▼奥浜真一(那覇空港ターミナル取締役営業本部長)▼又吉康栄(那覇空港ターミナル業務部長)▼崎間晃(琉球銀行頭取)▼久手堅憲次(沖縄銀行頭取)▼島袋嘉憲(南西航空整備担当役員付部長)▼大城武男(大城組代表取締役社長)▼国場幸治(國場組代表取締役社長)▼稲嶺恵一(りゅうせき代表取締役社長)▼宮城義明(リウエン代表取締役社長)▼大城康秀(沖縄三越代表取締役社長)▼徳田安佑(那覇空港ターミナル専務取締役)▼幸喜克哉(那覇空港ターミナル総務部長)

【監査役】▼鈴木通雄(川島公認会計士事務所)▼知念良明(沖縄海邦銀行頭取)▼宇良宗真(大同火災海上代表取締役社長)


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増える砂の輸入 5億円で全国シェア40%

 沖縄県は全国の四〇%もの砂を外国から輸入しており、輸入量は今後も増えそうだという調べを沖縄地区税関がまとめた。それによると、沖縄は昭和六十年には全国の砂の輸入量の九九・九%を占めるほどの輸入があり、その後砂の輸入が全国にも波及して最近はシェアを落としたものの、まだ、全国の四割を沖縄が輸入している。

 これはゴルフ場の造成、ダム建設などの公共工事で海砂が使えない場合に、川砂などを輸入するため、沖縄の砂の輸入量が増加するもの。特に、宮古、石垣では周辺海域からの海砂が、自然保護やコスト高で採取できず、沖縄本島からの輸送コストも高いため、ほとんどが輸入に依存している。

 最近の砂の輸入動向を見ると、沖縄地区は昭和六三年の五十三万トンをピークに減少傾向にあったが、今年に入って急増、一〜九月の実績は三十三万五千トン(三七・八%増)、金額では五億六千三百万円(五〇・八%増)と増加した。

 全国の動向も概ね増加傾向にあり、一〜九月の実績は八十一万四千トン(三七・八%増)、金額では十五億五千万円(三四・四%増)となった。この結果、沖縄のシェアは四一・二%と大半を占めたことになる。

 今年、砂の輸入が増加した大きな要因は石垣島のダム建設にともなう中国産川砂の輸入、宮古島の活発な公共工事需要によるもの。

 また、全国的には環境保護の観点から砂の採取制限や移出制限の動きが広がりを見せており、全国的に砂は不足気味で、輸入は増加傾向にある。輸入された砂にはやや色がついているが、粒度分布が良く建設用に適しているといいコンクリート骨材、埋立、ゴルフ場造成などに使われている。

 沖縄地区の輸入相手先は昭和六十三年以降、台湾が全輸入数量の九割前後、中国産が一割前後で推移してきたが、今年は台湾産が二十四万三千トン(シェア七二・五%)、中国が九万二千トン(同二七・五%)となり、中国産砂が増加している。これは、コンクリート骨材に適した台湾産の人気が根強い反面、石垣島のダム建設など公共工事、県内のゴルフ場造成向けに中国産砂の輸入が伸びたため。

 全国では昭和六十三年時点で台湾が七七・六%、中国が一八・六%を占めていたが、年々中国産がシェアを伸ばし、今年は台湾産が二十六万トン(シェア三一・九%)、中国産四十一万四千トン(同五〇・九%)と逆転している。台湾産砂は河川砂資源の減少で価格が上昇しており、中国産が大量に輸入されはじめた結果である。

 今後とも沖縄では観光資源、漁業資源保護の観点から海砂の採取は減少していくものと見られ、特に宮古・石垣地域では輸入が増加するものと見られる。主要輸入先も中国にシフトしていくものと見られる。全国でも輸入砂の需要は高まりそうだ。


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